株の短期投資は、数日〜数カ月、またはおおむね1年以内の保有で株の売買を行う一般的な投資方法のひとつだ。しかし、多くのビギナー投資家が短期投資で損をする。わかりやすいチャートの動きに釣られたり、SNSや掲示板サイトなどで「この銘柄がくる!」という煽りを真に受けたりして、曖昧な判断で売買をしてしまうからだ。「短期投資は他人の意見ではなく、ファンダメンタルズ(国や企業の経済状況を示す指標)から自分なりに慎重な判断をして投資することが大切」と語るのは、人気投資YouTuberのロジャーパパさん。では、勝つ投資家は「なにを」「どのように」考えて投資を判断するのだろうか。具体例として、米国株の短期投資におけるロジャーパパさんのトレードのやり方を紹介する。

短期投資は「コア・サテライト運用」でリスクを抑えてはじめる
短期投資は、数週間から数カ月の期間で株の売買を行いますが、私はビギナーの人にはあまり短期投資をおすすめしていません。理由は明快で、「ファンダメンタルズ」といわれる国の経済指標や企業の業績指標を読み解き、株価を予測する知識と経験がなければ、勝率を高められないからです。
私のYouTubeチャンネル「ロジャーパパの米国株投資」でも、耳にタコができるくらいお伝えしているのですが、「投資ビギナーは、10年以上の長期投資を前提に積み立てで米国インデックスファンドのS&P500を買うこと」をおすすめしています。もちろん、「絶対に損をしない」とは言い切れませんが、S&P500のインデックスファンドは世界を見渡しても、過去100年間で最も安定した成長実績があり、誰もが「将来的な成長の可能性が高い」と認める投資商品です。
もっと成長率の予測が高く、配当金や分配金が高いファンドは、米国株式市場にもたくさんあります。また、個別銘柄株の短期投資なら、より短期間で資産を増やすことができるかもしれません。ただし、確実性はS&P500への長期投資より劣ります。そのなかで、自分なりに「これが買い時/売り時だ」と確信を持って売買をするのに必要なものが、知識と経験です。
私もそうですが、投資家が投資を学び、相場の知見を積み重ねる理由は、さまざまな投資に対して自分なりの「勝てる根拠」を導き出すためなのです。逆をいえば、確かな株式投資の知識を学び、知見を積み重ねれば、短期投資や、ハイリスクハイリターンのファンド、個別銘柄株のトレードなど、株式投資の世界は大きく広がります。
そこで、これから投資の学びを深め、短期投資にチャレンジしていきたい人におすすめするのは、「コア・サテライト運用」という考え方です。コアとは「守り」の運用、サテライトは「攻め」の運用のことで、これらを同時に行うことを指します。
例えば、コア(守り)としてS&P500などの安定した長期投資を行い、将来的な資産形成の基盤を確保します。そのうえで、余剰のお金で個別銘柄株の短期投資などのサテライト(攻め)運用を行うのです。これから経験を積むビギナーの人は、コアの比率を高くしておくことで、リスクを最小化することができます。
投資において、「失敗」も大切な学びです。その失敗が壊滅的な損害にならないよう、リスク管理は徹底しておきましょう。
短期投資では、「投資に見送り三振はない」ことを胸に刻もう
“投資の神様”ウォーレン・バフェットのことは、株主投資に興味があれば知っている人は多いでしょう。世界有数の大富豪であり、すでに90歳を超えていますが、世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイをCEO兼会長として率いる現役の投資家です。彼の数々の投資の格言のなかでも、これから短期投資をはじめる人は、この格言を覚えておきましょう。
「投資の世界には見送り三振がありません」
——ウォーレン・バフェット
株式市場は、さまざまなボールを私たちに投げてきます。急落して、この先の回復を期待させる株や、連日株価を上げている株など、「これは投資のチャンスでは?」と期待させてきます。そして、「いま買わないと損をするのではないか?」と思わせるのです。
でも、そんなわけありません。買わなければ、利益を得ることはできずとも、なにも損はしていないのです。見送るだけならアウトにはならない。ただし、相場を見誤って売買をすれば空振り三振アウトになる――それが株式投資です。
そうした誘惑的な株価の動きに連動して、SNSなどでも「いま、この銘柄を買うべき!」という声を目にします。そこで大事なことは、他人の意見を「参考」にしても、「鵜呑み」にはしないことです。その個別銘柄株が「上昇する根拠」を自分なりにリサーチし、確信を持てた株だけを買うべきです。
リサーチでは、現在の株価の動きだけで今後の動向を判断するのは危険です。どんなファンダメンタルズで値動きを読むかは、投資家によってノウハウや着眼点は異なりますが、参考として私が米国株をトレードする場合の考え方を一例として、みなさんにご紹介します。