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広い視点なくして株では勝てない。「マクロ」と「ミクロ」、それぞれの米株式相場の見方

2023/04/29 17:30
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 投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」

「小難しいことを考えず、手軽に勝てる方法はないだろうか?」——株式投資を始めるとき、誰もがそんなことを思い浮かべ、心のどこかで淡い期待を抱くだろう。結論からいうと、そのような方法は存在しない。むしろ、無責任な「必勝法」を伝授しようと誘惑する声にビギナーは注意を払わなければならない。「存在するのは必勝法ではなく、『勝てる可能性の高い判断』。その見極めのために知識と経験を積もう」と呼びかけるのは、米国株の長期投資を基本スタンスとする投資系YouTuber・ロジャーパパさん。ビギナーが知っておくべき、株式投資の学び方をレクチャーしてもらった。

ビギナーが知っておくべき、株式投資の学び方をレクチャー
ビギナーが知っておくべき、株式投資の学び方をレクチャー


長期的に見て勝てる可能性が高い「アメリカまるごと」買い

「株式投資」と聞くと「自分が知らないだけで、どこかに必勝法があるのではないか?」と期待してしまうかもしれません。そんなみなさんに、あえてこの格言をお送りします。

「相場に王道なし」

「そんなあたりまえの答えなのか……」とがっかりしたかもしれません。でも、どんな大富豪だって「必勝法」は知らないのです。どれだけ見た目が信用できそうな人が「必勝法」を語っていても、それは真実ではありません。

ただし、「勝つ可能性を高める」ことはできます。私は、米国株で「S&P500のインデックスファンドを長期投資するのが有利」であるとビギナーのみなさんに解説していますが、これは「無理なく資産形成できる可能性が高いから」であって、あくまでも必勝法ではありません。でも繰り返しますが、「勝つ可能性を高める」ことはできます。

アメリカの株式市場は過去100年間で、株価が30%以上も低迷する大暴落を8回経験してなお、すべて回復して最高値を更新してきた実績があります。また、GDP(国内総生産)は世界一で、しかも安定して年2%〜3%の成長を続けています。2022年第1、第2四半期にはGDPが連続でマイナス成長になったこともありますが、その後はしっかりプラスに戻している。つまり、経済の舵取りが優秀な国なのです。そうした過去のデータに基づいて考えれば、いまから10年後も20年後も、アメリカ経済はさらなる成長を遂げている可能性が高いと見ることができます。

私のすすめる「S&P500のインデックスファンド」というのは、全米を代表する約500社に投資をするファンドです。その約500社がアメリカの全上場企業の時価総額の約80%をカバーしていますから、いわば、ほぼ「まるごとアメリカ」買いです。アメリカ経済が長期的に成長するなら、S&P500のインデックスファンドも連動して業績が伸び、資産形成ができるということを意味します。

もちろん、10年後にアメリカ経済が没落している可能性も否定できません。でも、600万分の1の確率で飛行機は墜落するからといって「飛行機に乗らない」という選択は賢明ではありませんよね?それと同じことだと私は考えます。長期投資はすぐには儲からないけれど、成功する確度は高いのです。

それでも、YouTubeを発信したり、セミナーに登壇したりするなかで、「短期投資で早く稼ぎたい。チャートを見るコツはありますか?」という質問や、「どの銘柄が数年で上がりますか?」という目先に焦点をあてた質問をたくさんもらいます。その気持ちはとてもよくわかります。

でも、チャートの読み解きひとつとっても、それこそアートのようなものなのです。プロが同じチャートを見ても、「上がる」と考える人と「下がる」と考える人が同時に存在し、絶対の評価はありません。そもそも、株式の売買自体が「上がると思うから買う人」と「下がると思うから売る人」が同時に存在するから、取引が約定する仕組みなのです。みんなが「上がるから買おう」と考えたら、売られる株がなくてストップ高になり、誰も約定できません。

短期投資で100%確実に勝つ人がいるとすれば、それは深く広い知識に加え、その人のセンスがものをいいます。でも、センスに基づく判断には再現性がありません。他人が再現できないノウハウを「これが必勝法だ!」と喧伝する人には、くれぐれも注意することをおすすめします。

マクロ視点のリサーチは、「経済指標」で行う

短期であれ、長期であれ、投資に成功する確度を高めるには、地道な学びが必要不可欠。株式投資を学ぶには、まず、あらゆる観点から経済や株式投資の知識に触れることです。必勝法はおすすめできませんが、投資や相場の基礎知識であれば、お気に入りのYouTuberでも、もちろん私の「ロジャーパパ米国投資」チャンネルでも結構ですので、モチベーションの継続できる方法で学んでいきましょう。

そのうえで、アメリカ経済をマクロの視点で俯瞰して見るには、アメリカの経済指標に目を通すことが大切です。例えば、以下のような経済指標をアメリカの公的機関が無料で公表しています。

<マクロ視点で「景気」を知るための主な経済指標>
●ISM製造業景況感指数(毎月第1営業日発表)
全米供給管理協会(ISM)が算出する、製造業の景況感を示す指数。

●ISM非製造業景況感指数(毎月第3営業日発表)
ISMが算出する小売業・サービス業などの非製造業の景況感を示す指数。

●非農業部門雇用者数(毎月第1金曜日発表)
労働省が発表する雇用統計のひとつ。農業部門を除く産業で働く雇用者数がわかる。

●米国消費者物価指数(毎月中旬発表)
労働省が発表する、アメリカ国内の物価の変動を表す経済指数。

●小売売上高(毎月中旬発表)
商務省が発表する、アメリカ国内の小売業・サービス業の売上高を集計した指標。アメリカの個人消費の動向がわかる。

●実質GDP(四半期ごと)
国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表すGDP(国内総生産)から、物価変動の影響を取り除いた指標。

このような経済指標を毎月、見続けることで前年比や前月比の実績を把握でき、アメリカ経済の状況をマクロの視点で理解できるようになります。長期投資で自分なりにアメリカの経済成長を実感したければ、定期的に目を通すといいと思います。

ミクロ視点のリサーチは「企業の決算書」を見よう

マクロ視点が経済指標であれば、逆にミクロの視点にあたるのが企業の決算書です。日本企業と同じように、アメリカの企業も四半期ごとに決算発表を行います。企業のWebサイト等で公開される決算書をチェックしてみましょう。

決算書を読むことで、その企業単体の業績や将来性を測ることができます。例えばアップル、グーグル、マイクロソフトの3社の決算書に目を通せば、テック業界のおおよその見通しを立てられるはずです。元気な業界、低迷している業界など業界別のリサーチを積み上げることで、ミクロの視点からアメリカ経済全体の動向を測ることができます。

ただし、決算書をすべて読み解くには、それなりに財務会計の勉強が必要です。そこでまずは、最低限として以下の3つの業績指標をチェックすることから始めてみましょう。

<3つの業績指標>
❶売上高
❷EPS(1株あたり当期純利益)
❸業績ガイダンス

➌の業績ガイダンスとは、業績見通しのこと。第1四半期から第3四半期までは、まだ通期の業績がわからないので、企業が自ら立てて株主に開示しています。ガイダンスといえるほど詳細な説明をしない企業もありますが、少なくとも通期での売上高と当期純利益の見通しは記載されます。

また、みなさんがS&P500(全米を代表する約500社を対象とする株価指標)などのインデックスファンドではなく、個別銘柄株や、より対象企業を絞ったファンド、業界別のファンドを検討するのなら、企業の決算書が重要な資料になります。

株価というのは、「企業の実際の業績が市場予測よりもよいか悪いか」で変動するものです。おおむね、決算書に記された当期の業績が市場予測に対して高ければ株価は上がり、低ければ株価は下がる傾向にあります。同様に、業績ガイダンスに記された業績予測が市場予測を上回り、かつ市場が納得できるものなら株価は高まる可能性があります。

口座を開設した証券会社の情報をフル活用する

ここで挙げた「マクロ・ミクロ」の情報を、すべて自分で各所にアクセスしていたら大変です。特に市場予測はどこを信頼すればいいのかわからないでしょう。そこで、みなさんが口座開設をした証券会社の情報発信を活用してください。私も株式投資を始めたころは、証券会社の提供する情報を頼りにしていました。

チャートの読み方などの基礎情報はもちろんのこと、市場のリサーチに役立つ情報も多様に提供されているので、「なにから学べばいいかわからない」人は、証券会社からの情報に頼ってみるといいのではないでしょうか。各証券会社のアナリストが多角的に記事を提供していますし、先に紹介した経済指標や業界別のリサーチについても、情報と読み解き方が発信されています。

特に、口座を開設したユーザーには、特典として有利なデータを提供してくれます。例えば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などでは、本来であれば有料の米国投資週刊誌『バロンズ』の日本語訳ダイジェスト版が口座開設者に無料で提供されるなど、証券会社ごとに多様な付加サービスがあります。

私自身、本格的に株式投資を始めたのは31歳のころと遅かったのですが、GAFAで働いていた際に自社株をもらえたので、自分の株の価値や先行きに興味があり、昔から証券会社の情報にはアクセスしていました。そこで基本的な知識を身に付けたので、今では米国労働省のサイトから消費者物価指数のデータにアクセスし、卵の値段の変動を調べるといった細かなリサーチも自分でできます。

「投資に王道なし」の格言通り、地道に学んでいくしかありません。しかし、知識の土台を自分のなかにつくることで、株式投資の見え方は確実に変わります。それこそ、投資系YouTuberのいっていることの根拠だってわかるようになりますから、彼ら彼女らの発信する情報の信頼性も見えてくるはずです。

この記事のひときわ#やくにたつ
・長期投資はすぐには儲からないけれど、成功する確度は高い
・マクロ視点のリサーチとして、定期的に「経済指標」に目を通す
・ミクロ視点のリサーチは「企業の決算書」を見る

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2013年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年末よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。現在は証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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