「頭のよさより冷静さが重要だ」。“投資の神様”バフェットがそう言い切る理由

更新 2023/04/28 11:24
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株式投資で成功するには、成長が見込める株を見定める「頭のよさ」が大事だと思うかもしれない。でもそれは、成長性がイマイチな日本株や、一社単独の成長性を見抜かなければならない個別銘柄株など、シビアな投資をする場合の話である。「過去のデータに基づいて考えれば、もっとも安定して成長が期待できるのは米国インデックスファンドへの投資。あとは相場の波に慌てない冷静さがあればいい」と語るのは、投資系YouTuberとして人気を博すロジャーパパさん。その理由を、“投資の神様”として知られるウォーレン・バフェットの格言とともにお伝えしよう。

「過去のデータに基づいて考えれば、もっとも安定して成長が期待できるのは米国インデックスファンドへの投資。あとは相場の波に慌てない冷静さがあればいい」と語る、投資系YouTuberのロジャーパパさん
「過去のデータに基づいて考えれば、もっとも安定して成長が期待できるのは米国インデックスファンドへの投資。あとは相場の波に慌てない冷静さがあればいい」と語る、投資系YouTuberのロジャーパパさん


ウォーレン・バフェットってどんな人?

みなさんは、“投資の神様”として知られるウォーレン・バフェットを知っていますか?世界有数の大富豪で、90歳を超えてなお世界最大の投資会社であるバークシャー・ハサウェイのCEO兼会長を務め、世界中の投資家がバフェットの発言や動向、ポートフォリオに注目しています。

そんな投資の世界の神様が、こんな言葉を伝えています。

「辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています」
——ウォーレン・バフェット

つまり彼は、株式投資というのは「頭のよさ」より「冷静さ・我慢強さ」のほうが大事かもしれないといっているのです。「いやいや、頭がよくないと無理でしょう」と思いますよね。でも、頭のよさや知識はあったほうがいいのはもちろんですが、「絶対ではない」と私も思います。それは後ほど説明するとして、まずはバフェットについて説明しましょう。

バフェットといえば、自分の投資スタンスに非常に厳格であることで知られています。例えば、1990年代から2000年にかけてのITバブル期では、明らかに成長が見込めるIT企業に誰もが投資をし、巨額のマネーを手にしていました。しかしバフェットは、「自分はITに詳しくないから」という理由でIT関連株にまったく投資をしなかったそうです。彼は投資先とできれば生涯お付き合いしたいと考えるほどの長期投資が信条であり、自分がその企業を正しく理解でき、10年、20年以上の成長を確信できることが投資基準だったからです。

ITバブルのチャンスを逃したことで、投資家としてのバフェットの名は軽んじられた時期もありました。しかし、やがてITバブルは崩壊……。多くの投資家が悲劇的な結末を迎えたことで、長期的な成長性・信頼性を投資基準とするバフェットの投資眼の正しさがあらためて証明されたのです。

私もYouTubeなどを通じて一般投資家のみなさんにお伝えしている投資は、信頼性の高い米国インデックスファンドへの10年、20年スパンの長期投資がメインです。デイトレードや、数カ月、数年の短期投資も私自身は行いますが、初心者の方にはおすすめできません。まずはバフェットの考え方を参考に、長期投資を行うことには私も共感する点が多々あります。

長期投資の成否を握るのは、「不安感」への対処

そんなバフェットの投資信条の一端が現れているのが、「辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています」という格言です。この格言を理解するための前提情報として、バフェットは「投資で成功するための必須能力」を4つ挙げています。

<投資で成功するための4つの必須能力>
➊財務会計を理解し、決算書(財務諸表)を読みこなす知識
➋情熱
➌辛抱強さ
❹冷静さ

バフェットの格言でいう「知能指数」とは、➊と➋に共通すると思います。バフェットは日常的にさまざまな企業の財務諸表に目を通し、投資にあたっては企業が長期的に発展するかどうかを深く研究します。データから的確に未来を読み解くには知能が求められますし、地道な努力も必要。もちろん、情熱がなければできません。しかし、バフェットはそれ以上に「辛抱強さ」や「冷静さ」のほうが投資の成功において重要だといっているのです。

プロの機関投資家は、誰よりも早く成長の可能性がある企業を見極めなければならず、しかも失敗は許されないのですから、バフェットのように財務諸表を深く読み解き、情熱を持って投資を行う必要があります。しかし、どんなに優秀な知能を持ち、高い情熱を持っていても、市場環境が大きく変動するときには必ず失敗する投資家が現れます。辛抱強さと冷静さを欠いて状況を読み違え、「買いどき」「売りどき」を誤ってしまうのです。まして、プロではない一般投資家であれば、不安への対処が非常に重要です。

例えば、米国株の投資では、今まさに冷静さと辛抱強さが試されています。2022年にアメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために金利の引き上げを始めました。その少し前から、アメリカの株式相場は乱れ始め、現在(2023年3月時点)まで1年半近く下落基調が続いています。そこに来て、全米16位の資産規模を誇る銀行「シリコンバレーバンク」の破綻……。米国株に投資している人は、「アメリカ経済は大丈夫なの?」と不安を覚えるでしょう。

私自身もYouTubeというメディアで投資について語っている立場ですが、みなさんには「メディアの情報に踊らされないこと」を大切にしてほしいのです。特に、カジュアルな気持ちで米国株投資をはじめた人は、市場が不安定になると慌ててさまざまなメディアを見始めます。しかし、そこに書いてあるのは「不安を助長する情報」です。

雑誌、新聞、Webコンテンツ、YouTube……いずれのメディアも読者の感情を煽って注目を集め、情報を収益化することが仕事です。まして、SNSでは無制限に情報が溢れかえっています。信頼できる冷静なメディアやSNSもありますが、自信を持って「見極められる」といえるでしょうか?

ですから、株式市場が不安な状況下でみなさんがやるべきことは、信頼性のあやふやなメディアの煽りを真に受けず、「マクロの視点」で信頼できる事実に目を向けることです。

マクロの視点で「事実」を見て判断しよう

アメリカという国は、過去100年間で30%以上も株価が落ち込むような大暴落が8回起こっています。しかし、そのすべての暴落から例外なく回復し、最高値を更新し続けている。それが、マクロで見るアメリカ市場の実態です。これは、バブル期の1989年12月末の最高値を30年以上も更新できていない日本で生きていると想像し難いかもしれません。でも、アメリカは事実、そういう市場なのです。

もし、みなさんが半年や1年で利益を出す短期投資をするのなら、暴落を先読みして株を売り、底値で買い付けるシビアな投資をしなければなりません。読み違えて売りどきを逃せば、大きな損失を覚悟するか、株価が回復するまで待つしかありません。そんな状態は、精神衛生上よくないですよね。

しかし、長期投資は違います。10年、20年、それ以上の時間のなかで、景気の波は何度も訪れます。それらを乗り越え、成長していく未来を見据えるのが長期投資です。相場の波にいちいち心を振りまわされるくらいなら、「月末に定額で買い増す」ことだけルール化し、あとは放っておけばいいのです。

長い目で株式相場を見ることができれば、アメリカはいずれ景気が回復する可能性のほうが圧倒的に高いことを実績が裏付けているのですから、一時の暴落で慌てる必要などありません。

それでも人は利益を得るよろこびよりも、損失による悲しみのほうが強く大きく感じるように心がつくられています。これは「プロスペクト理論」としてよく知られる心理です。株式投資を始めて、たまたま相場の上昇期にあたり、50万円が60万円、70万円と増えていくとうれしいですよね。しかし、相場はいずれ下降します。そのとき、せっかく高まった資産が下がっていくことに、人の心は耐え難いストレスを感じるのです。

長期投資の失敗は、この不安から長期のスタンスを解いてしまうことにあります。50万円の元本が上昇相場で100万円になったのに、不況による下降相場で80万円に下がれば、そこで売却をして30万円の利益を確保しようとします。そんなとき、マクロの視点に立ち返り、冷静さを保つことがなにより大切です。

まして、ビギナーの人が短期投資を行うのなら、なおさら不安への対処は重要です。相場の波に対していつでも冷静さを保てるよう、深く広く株式投資の理論武装をしなければなりません。しかし、プロの投資家とは異なり、一般投資家は本業の仕事があります。学びの時間、取引にあてる時間、そしてメンタルのことを考えると、より冷静でいることができる長期投資がまずはおすすめなのです。

この記事のひときわ#やくにたつ
・長期投資の成否は「不安感」への対処
・マクロの視点で「事実」を見て判断する

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2013年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年末よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。現在は証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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