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やはり基本は「分散投資」!ビギナー投資家に最も重要な投資格言

2023/12/09 19:30
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2024年の新NISA制度開始を控え、最近、株式投資をはじめてみた人や、これから投資を検討している人も多い。しかし、あまりの銘柄や投資商品の多さに翻弄されてしまい、「とりあえず知っている会社の株を……」という甘い判断になりがちではないだろうか。そこで、米国株専門の投資系人気YouTuberのロジャーパパさんに、投資ビギナーが押さえておくポイントを伺った。

 投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」
投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」


分散投資で失敗のリスクを低減させることが基本

株式投資をはじめたばかりだと、「どの国内企業の銘柄に投資をしよう」という思考になりがちだと思います。知識が少なく、海外投資やインデックス投資など、株式投資の幅広さに気がついていないのです。

私がはじめて株式投資をしたときもそうでした。例えば、伊藤忠や武田薬品工業など、日本国内で自分の知るすごそうな会社、好感を持っている会社の株を手あたり次第に買っていました。

ただ、この記事を読んでいるみなさんは、少なくとも日本企業のみではなく、アメリカ企業への投資を検討する視野を持っていると思います。それはもちろん、間違っていません。後述しますが、経済成長の可能性、つまりは株価が成長する可能性が、日本とアメリカではまるで異なるからです。

ただし、米国株でも「一本買い」は厳禁です。例えば、「Amazonは今後も成長の可能性があるから」「NVIDIA(エヌビディア)が急成長を続けているから」といって、一社に集中投資を行うのは、リスクヘッジの観点から得策ではありません。どんな企業も、明日にはスキャンダルや事故で株価が急落したり、数年後には競争力を失っていたりする可能性があるからです。

「卵はひとつのカゴに盛るな」
”Don’t put all your eggs in one basket.”

このフレーズは、まさにリスクの高い集中投資を戒める、ビギナー向けの有名な投資格言です。卵をひとつのカゴに盛れば、落としただけで卵は全滅です。それが投資資金なら、全額投入した一社が潰れてしまえば資産はゼロですし、株価が低迷してしまえば、あなたの資産も比例して目減りしてしまいます。それは、あまりにリスクの高い投資です。

世界一の時価総額を誇るアップル社でさえ、10年後、20年後にはトップでいられるとは限りません。いまから約20年前の、2002年の時価総額トップ10の銘柄のうち、2023年現在もトップ10にいるのはマイクロソフト一社のみであることも、米国市場の栄枯盛衰の激しさを物語っています。

テスラが上場から10年で時価総額約1兆ドル(約150兆円)企業に成長したように、アメリカはどんどん素晴らしい成長企業を生み出すマーケットです。GAFAもそうですが、米国市場で注目される企業となれば、世界中から優秀な人材が集まり、短期間でグローバルに成長を加速させます。しかし一方で、それまでの古参企業はどんどんシェアを奪われ、優秀な人材も流出していくのです。

そのような激戦のマーケットで、確実に長期的な成長を続ける企業を見定めることは困難なのです。では、どうすればいいかといえば、それは「分散投資」です。

アメリカ経済そのものは世界中から投資が集まり、今後も成長し続ける可能性が高いマーケットです。そうであれば、広く多くの企業に分散投資を行い、株価が低迷して損失を生む銘柄があっても、ほかの銘柄で利益を確保すればいいのです。

最も賢い分散投資は「S&P500」へのインデックス投資

個別銘柄株の分散投資では、単に複数銘柄に投資をするだけでなく、業種もバリエーションを持たせることでリスクを低減できます。ただし、株式投資においてリスクを抑え、着実な資産形成を行いたいのであれば、私は「S&P500」の米国インデックスファンドへの投資が最も賢い選択だと考えます。

インデックスファンドとは、日本なら「日経平均」や「TOPIX」など、アメリカなら「S&P500」や「ダウ平均」などの株価指標に沿った投資を、みなさんに代わってファンドが行ってくれる投資商品のことです。

私がおすすめするS&P500は、アメリカを代表する約500社の時価総額を基準とした経済指標のことで、この500社でアメリカの上場企業すべての時価総額の約80%をカバーしています。つまり、S&P500に連動したインデックスファンドを購入すれば、約500社のアメリカ企業に分散投資をしたことになるのです。

また、S&P500は業種別の11セクターすべてを対象として500社を選定するため、業種別の分散効果もあります。そのうえ、11セクターに対して時価総額の加重平均で投資ができます。時価総額が高い企業ほど投資配分が高く、その配分は更新されるため、例えばトップ10にいた企業の株価が低迷すれば、自動的に配分は下がっていくので、放っておいても効率的な投資ができます。このほか、「全米株式」といわれる、アメリカの上場企業約4000社すべてを対象とするインデックスファンドも同様です。

これが同じインデックスでも「NASDAQ100」であれば、分散効果は100社に低下します。また、NASDAQ市場への上場企業が対象となるため、新進気鋭の企業が多く、その中心はハイテク企業です。そのためボラティリティ(株価変動の激しさ)が高く、ハイテク産業が好況であればS&P500以上の利益を期待できますが、そうでない場合には業種別の分散効果が低く、価値が下がるリスクが高いのです。

また、「全世界株式(オールカントリー)」もインデックスファンドの代表格であり、世界中の株式市場の上場銘柄に分散投資ができるため、国をまたいだ分散投資ができ、推奨されることが多い商品です。ただし、私自身は、わざわざ成長性の低い国まで含めてしまう全世界株式は、投資効率が低いと考え、個人的には投資をしていません。それなら断然、アメリカ経済の高い成長性に乗っかってS&P500か全米株式です。

こういうと「アメリカは債務もふくらんでいる。いずれ覇権を失うのでは?」「一国への集中投資はリスクでは?」と懸念する人もいますが、私はそうは思いません。もちろん、この先アメリカが何世紀にもわたって覇権国であり続けるとは思っていません。ですが、アメリカが世界1位の経済大国から転落する日は、ずっと先だと考えているのです。少なくとも、この先10年、20年の話ではありませんから、いまは最も経済力と成長実績のあるアメリカ経済に投資することが最善であると考えます。

リスクのある投資は、コア・サテライト運用で割合をコントロールする

極論ですが、私は「投資ビギナーは個別銘柄株を買う必要はない」と思っています。

誤解がないよう付け加えれば、
◎株を学びたいわけではない
◎なるべく安全で確実に資産形成できればいい

そういう人であれば、リスクの高い個別銘柄株に投資する必要はありません。最もローリスクな投資は、株式投資ではなく国債です。2023年11月22日現在で、アメリカ国債は10年債権で利回りが4.4%ですから、買えば確実に10年後に4.4%のリターンが得られます。10年で企業が倒産することはあっても、アメリカという国家が潰れることはまずありませんから、ほぼノーリスクです。

それに比べれば、株式投資はリスクのある投資です。極力リスクを抑えるとすれば、税金を回避できる「iDeCo」や「積み立てNISA」でS&P500のインデックスファンドを10年、20年以上の長期で毎月買っていくのがいいでしょう。

一方、株式投資をしっかり学びながら資産形成をしていきたい人は、「コア・サテライト運用」がおすすめです。コアとは「守り」の運用、サテライトは「攻め」の運用のことで、これらを同時に行うことを指します。

「守り」のコアは、リスクを抑えた確実性の高い長期投資であるべきですから、ここに国債やS&P500のインデックス投資を充てるといいでしょう。一方、「攻め」のサテライトは、コアよりリスクのある投資全般が対象となります。

例えば、個別銘柄株はもちろん、高配当ETFなどはリスクの高いサテライト投資です。インデックス投資においても、全米株式や全世界株式ならともかく、ナスダック100などボラティリティの高いものはサテライト投資に含めることをおすすめします。

重要なポイントは、コア投資の割合です。ビギナー投資家の人は「失敗することが前提」とし、コア投資は投資資産の1割にするといいでしょう。株式投資は予測と検証の積み重ねで上達するものですから、失敗はつきものです。しかし、失敗の可能性が高いうちは、損失を低く抑えることが肝要だからです。やがて、自信を持って投資判断ができるようになったら2割、3割にチャレンジしていくのがいいと思います。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2017年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。現在は9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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