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「下手なナンピン、すかんぴん」。中途半端な期待を捨て、「損切り」を重視するべき理由

2023/09/23 19:00
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「売らなければ損失にはならない」——株価が急落して含み損を抱えたとき、脳裏をかすめるのは、そんな言葉だろう。売らずに塩漬けにして、再び株価が浮上するまで待てば、この失敗はチャラになる。むしろ、「ナンピン買い」で平均取得価格を下げておけば、再浮上の際の利益を伸ばすことができる。よく聞く手だが、本当にそれは賢い選択なのだろうか?投資系YouTuberのロジャーパパさんに、含み損を抱えたときの対応について聞いた。

「損切り」はルール化し、感情を入れずに粛々と実行する

アメリカ株における成長株の代名詞といえば、みなさんも利用する機会が多いEC大手のAmazonですよね。1997年の上場から現在まで、株価はなんと1500倍以上にも成長しています。でも、Amazonがずっと上昇し続けていたかというと、実は何度か暴落を経験しているのです。

例えば、2000年のITバブル崩壊では90%以上も大暴落を起こし、2009年のリーマンショックや、2018年のアップルショックでも大幅下落を記録しています。それでも、Amazonのビジネスモデルや成長戦略がさらなる株価の上昇につながることを誰もが信じるからこそ、一時的な暴落や急落をものともせず、株価を戻し、成長し続けています。

私もまた、Amazonの成長性を信じたひとりであり、2018年の夏にアマゾンの株を大量に購入していました。株価は100ドルに迫り、当時の最高値を記録していたタイミングです。しかし、それから1カ月もしないうちに、中国との貿易摩擦に起因する「アップルショック」によって、Amazon株は30%も急落してしまったのです。

信じていたAmazon株の、しかも買ったばかりでの急落は、正直なところショックでした。でも、この急落は一時的で、いずれ上昇に転じることもわかっていました。それだけAmazonの成長を裏付けるファンダメンタルは確かだったからです。

では、含み損が出ても持ち続けたかというと、それは違います。結果的にAmazon株をすべて損切りしました。そして売却後、予想どおりにAmazon株は復調を果たしましたが、これは仕方ないことだと考え、後悔もしていません。

理由はとてもシンプルです。私は短期投資において、「取得時の株価から30%下がったら損切りする」という明確なルールを設定していたからです。投資において、「自分で決めたルール」は絶対です。特に損切りは、一時の感情で踏み外すと大変なことになります。

損切りというのは、自ら損失を確定させるのですから、投資家を何年続けても勇気のいることですし、精神的な苦痛を伴います。だからこそ、ルール化が重要なのです。私は「30%下がったら売る」というルールを自分で設定した以上、それは「絶対のもの」とし、感情を入れずに粛々とルールに沿って売却しました。これがいちいち感情によってブレていると、いずれ損切りができずに、さらに大きな損失を生むことになるからです。

まずは、ルールに沿って損切りをする。そうして一度、資金を手元に移し、株価に復調の兆しが出たのなら、また買い直せばいいだけの話です。

「下手なナンピン、すかんぴん」の教え

この30%下落での損切りは「私がルールを徹底した」だけですから、損失ではあってもミスではありません。株式投資は分散投資を行い、負ける株もあれば勝つ株もあるのが当然で、トータルで利益が出せればいいのです。

でも、このAmazonの急落の際に、私はひとつだけ「やってはいけないミス」を犯してしまいました。それは、「ナンピン買い」です。

「ナンピン買い」とは、株価が下がったときにさらに買い増すことで、株式の平均取得価格を下げることを指します。それ自体は絶対に間違った行為だとはいえません。買い増すタイミングが株価の底値で、そのあと上昇する確信があるのなら問題はないからです。

しかし、このときの私はAmazon株が15%下がった時点で、「再び上昇する」という確信ばかりが先行して、「さらに下がる」ことについては判断が甘いまま買い増しをしてしまったのです。

結果として、Amazon株はマイナス30%まで急落し私は損切りをしているのですから、このナンピン買いはまったく無駄な損失の上塗りとなってしまいました。

日本の株式投資の格言にこんなものがあります。

「下手なナンピン、すかんぴん」

1株あたりの平均取得価格を下げたところで、トータルの含み損が減るわけではありません。ナンピン買いは、買った時点が底値であり、株価が少しでも上昇したときに売却することで、損失額を減らすことを期待するものです。

でも、株価がまだまだ底値でなければ、損失を拡大させる行為にほかなりません。だから「下手なナンピン買いは、すかんぴん(一文無し)になるぞ」と戒めているわけです。

これがインデックス株の長期投資なら、ナンピン買いはむしろ必勝パターンです。S&P500や全米株式、全世界株式などのインデックス株は、「アメリカ経済(または世界経済)は成長し続ける」という前提のもとで行う10年、20年以上の長期投資ですから、一時的な暴落があってもいずれ回復することを見越して行うものです。

そのため、値下がりのタイミングで買い増しをすることは将来、売却した際の利益幅を大きくしてくれます。さらに株価が落ち込んでも、あまり気にする必要もありません。

しかし、短期投資では、ナンピン買いは注意が必要です。先に述べたように、「今が底値」で「すぐに株価が上昇する」という確たる見込みがあるならいいのです。しかし、多くの投資家が、ただ「損切りして損失を出すのを嫌だ」というだけで、ナンピン買いを行い、そのまま株価が再浮上するまで「塩漬け」をしてしまうのです。

投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」をチェック

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2017年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。現在は9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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