目的をより明確にする「バケットリスト」
私の場合は、「早期退職して世界中を旅行する」目的をさらに細分化していました。そうすることで、目的をより明確にし、達成に対するモチベーションを維持していたのです。
具体的には、「バケットリスト」というものを作成しました。バケットリストとは、「生きているうちにやりとげたいこと」を書き留めたリストです。
当時は、スマホどころかインターネットも普及する前。テレビや雑誌で特集された気になる情報を目にしたときは、その場で書き留めておかないと、あとから検索できない時代でした。そのため、ほかの方もそうだったと思いますが、気になったことをメモする習慣があり、自然とリストができあがったのです。
クイズ番組のひとコマで「南インドにある『赤いバナナ』は絶対に食べたほうがいい」というタレントさんの発言が気になれば、「南インドで赤いバナナを食べる」というふうにメモを取りました。
このように書き重ねたバケットリストは、私にとってまさに「人生を豊かにするリスト」です。その自分の実現したいことを実現するためにいくら必要で、資金と時間を貯める近道が節約なのですから、節約に対してつらいとか苦しいとかいった感覚を持つはずもないのです。
まずは皆さん、「人生を豊かにするリスト」をつくってみてください。きっと、節約を続ける大きなモチベーションになるはずです。
有益なものにはお金も時間も惜しまず投資する
ただ、「節約」といっても、「ありとあらゆる場面でお金を出し渋ればいい」というわけではありません。なぜなら、そうすると自分に利益をもたらしてくれるチャンスの芽を摘むことになるからです。
チャンスの芽を見極めて実際に生かせるかどうかは、自分の判断にかかっています。また、同じ金額を払って、生き金、死に金にするのも自分次第なのです。
例えば、スタバの新作メニューの写真を撮ってSNSに上げるだけで終わらせていたら、そこから得られたもは「いいね」だけでしょう。だったとしたら、それは典型的な死に金でしょう。
しかし、相談や商談をする、有益な情報交換をする、それこそ将来の自分のキャリアに好影響を与えるような方と親睦を深めて人脈を広げるためにカフェを使うのであれば、その支出は投資に変わり、将来、何倍どころか何万倍もの利益をもたらすことにもなり得ます。
これが、私が言う“攻めの節約”です。ただ守るだけではない、使うべきときには思い切ってお金を出すことで、出した以上の利益を得るのです。
そして、この視点は、お金だけでなく「時間」にもあてはめて使えるものです。なぜなら、時間もお金と同じように無駄に使ってしまうこともあれば、利益を生むかたちに転化することもできるからです。
YouTubeでおすすめ動画をだらだらと観続けてしまえば、時にはそこから新しい発見があるかもしれませんが、多くは時間の無駄遣いになるでしょう。しかし、自分に必要な情報を得るために能動的にYouTubeを観るのであれば、それは大切な情報収集になり、必要な知識を補強することになるのです。
節約しながらも、自分にとって有益なものにはしっかりとお金も時間も投資する。そんな視点を持ってほしいと思います。
この記事のひときわ#やくにたつ
・節約する明確な理由、「貯めたお金を使う目的」が決まっていることが大切
・「人生を豊かにするリスト」をつくってみる
・節約しながらも、自分にとって有益なものにはしっかりとお金も時間も投資する
構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=藤巻祐介