1975年に、コカ・コーラ社初のコーヒーブランドとして日本で誕生した『ジョージア』。誕生以来48年、がんばる人を応援する飲料として届けられてきた『ジョージア』が、2023年3月20日にブランド戦略を大胆に刷新。「自分らしさ目覚める、ジョージア」というコンセプトのもと、これまで定番製品だった『ジョージア ジャパン クラフトマン』シリーズが、『ジョージア THE ブラック』『ジョージア THE ラテ』『ジョージア THE 微糖』『ジョージア THE ゼロ』へと生まれ変わった。

今回は、ブランド誕生以来、最大規模のコンセプト刷新の舵取りを行った、日本コカ・コーラ株式会社のマーケティング本部コーヒー事業部でシニアブランドマネジャーを務める元木麻由さんを訪ね、東京・渋谷区のコカ・コーラ社を訪問。『ジョージア』のブランド刷新の背景を中心とした裏側の話や、元木さんの仕事観についても話を伺った。

日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部コーヒー事業部 シニアブランドマネジャーの元木麻由さん
日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部コーヒー事業部 シニアブランドマネジャーの元木麻由さん【撮影=阿部昌也】


若年層を新しいターゲットに、順調なスタートを切った新『ジョージア』。ブランド刷新に向けてチーム一丸となって取り組んだ、新しい施策とその裏側

ーージョージアは、3月にブランドの刷新を発表され、3月20日から新製品と新コミュニケーションの施策を開始されましたが、今回のブランド刷新の背景と狙いについて教えください。
【元木麻由】RTD(Ready-To-Drink:容器入り飲料)コーヒーは、これまで40代以上の年齢層の方に多く飲まれていました。しかし近年は、海外からのカフェの出店や、サードウェーブ系のカフェも話題になっているなか、若い人たちが街の中でコーヒーを楽しむ機会が増えてきたんです。そこで、ユーザーの方々にジョージアのブランドイメージを聞くと、働く男性を応援するブランドと謳っているだけあり「働く男性が飲む缶コーヒー」という意見が多く、そのイメージを払拭することが急務となりました。今後RTDコーヒー市場を拡大するにあたり、この若い人たちを取り入れることが市場活動拡大のキーになると考え、今回ブランド刷新をすることにいたしました。

若い層を取り入れることが、ブランド刷新のキーになると語る元木さん
若い層を取り入れることが、ブランド刷新のキーになると語る元木さん【撮影=阿部昌也】


ーー新ジョージアは、どんなブランドになったのでしょうか?
【元木麻由】「自分らしさ目覚める、ジョージア」というコンセプトをもとに、ブランドの刷新を行っています。これまで「働く人たちを応援してきたブランド」から、「すべての人たちが自分らしく前向きに生きられることをサポートするブランド」に、生まれ変わりたいと考えています。

左から、『ジョージア THE ブラック』『ジョージア THE ラテ』『ジョージア THE 微糖』『ジョージア THE ゼロ』『ジョージア キャラメルアフォガート ラテ』『ジョージア ビターショコラ ラテ』
左から、『ジョージア THE ブラック』『ジョージア THE ラテ』『ジョージア THE 微糖』『ジョージア THE ゼロ』『ジョージア キャラメルアフォガート ラテ』『ジョージア ビターショコラ ラテ』【撮影=阿部昌也】

【元木麻由】その背景としては、消費者のインサイト(購買行動の根拠)を見直すため、消費者の方々にグループインタビューを行ったり、社会学者の方の意見をヒアリングする機会を設けていたのですが、そのなかで見えてきたのが「日本人の自己肯定感が低め」ということでした。カフェイン成分や、味わいや香り、コーヒーには人の気持ちを少し上向きにする力があると思うんです。そういうところから、「ひとりでも多くの人がコーヒーを飲む時間を通して前向きになっていければな」という思いで、このコンセプトを考えました。

自分自身に満足していると回答した人が10.4%と、他国と比べ日本人の自己肯定感の低さが顕著に
自分自身に満足していると回答した人が10.4%と、他国と比べ日本人の自己肯定感の低さが顕著に特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~| 令和元年版 子供・若者白書(概要版) - 内閣府(cao.go.jp)より

ーー確かにコーヒーってリラックスと高揚感がセットになっていますよね。
【元木麻由】そうなんです。リラックスすることもできるし、気付けみたいな意味もありますよね。