ーー50年近い歴史あるブランドで、大きな方向転換を図ることは大変だったと思いますが、苦労した点を教えてください。
【元木麻由】50年近く世の中に出ているメガブランドですので、やはり会社のなかには、「そこまで変えてもいいのか?」という心配する声もありました。コカ・コーラシステムの社員数は2万人と多いですし、在職歴が長い方も大勢いますので、心配する声があって当然だと思います。そこで、そういった方々に納得してもらうために、既存のジョージアのユーザーにも継続して飲んでもらいつつ、新しい人たちを取り込むための施策の重要性を丁寧に説明しました。最終的には一丸となって、納得して進められたと思っています。

ーー新しいジョージアの顔として米津玄師さんを起用されましたが、米津さん起用の意図を教えてください。
【元木麻由】「コーヒーと音楽って親和性があるね」とチームで話していたこともあり、音楽、アーティストさんにこだわりたいと考えていました。そんななか、特に若年層や女性層に圧倒的な支持があり、作詞作曲も自らこだわりを持ってされている米津玄師さんと、弊社が向かいたい方向性が合致したんです。それで、米津さんを起用させていただくことになりました。

【元木麻由】米津さんは、私たちの“変わる”という部分に賛同してくださり、今回一緒に仕事をしてみて、あらためて真摯に活動していただいている方だと感じました。彼自身が缶コーヒーをすごく好きということで、パッションポイントが重なったのも大きかったですね。発信もすごく協力的にやっていただき、今まで弊社が取り込めていなかった若年層に対して、「缶コーヒーっていいよね」と語りかけていただいたところは、本当に一緒にやってよかったなと早くも感じています。

ーー「毎日って、けっこうドラマだ。」という、キャンペーンメッセージに込めた思いについても教えてください。
【元木麻由】こちらは、「自分らしさ目覚める、ジョージア」という、新ブランドコンセプトをもとに開発したコピーになります。普段何気ない日常も見方を変えると、自分らしい幸せやかけがえのない瞬間など、さまざまなドラマがあると思うんです。そんな何気ない日常のドラマに、コーヒーを通して気づいてもらいたいという思いを込めました。

米津玄師さんの楽曲「LADY」を採用した、TVCM「毎日って、けっこうドラマだ。」篇
米津玄師さんの楽曲「LADY」を採用した、TVCM「毎日って、けっこうドラマだ。」篇


ーーZ世代、若年層の購買傾向や志向をどう製品に反映したのでしょうか?
【元木麻由】若い世代のなかには、普段からそんなにコーヒーを飲まない方も多いので、コーヒーを飲むというより、デザート感覚でコーヒーを楽しむ製品(『ジョージア ビターショコラ ラテ』と『ジョージア キャラメルアフォガート ラテ』)を開発しました。小さめのサイズ感も、「容量が多すぎて飲みきれない」という若年層の嗜好を意識しています。

ーー世代的に、無糖よりもスイーツに近い甘いテイストが好まれるんですね。
【元木麻由】エントリーする方は、比較的、有糖のラテから入る方が多いですね。人気の海外チェーンのカフェでも、いきなりブラックを飲むより、フラペチーノとかカフェラテ、カフェモカから入る方が多いと思うんです。RTDコーヒーも同様ですね。

5月22日(月)には、Z世代向けに「ジョージア ピスタチオラテ」も新登場
5月22日(月)には、Z世代向けに「ジョージア ピスタチオラテ」も新登場


ーーリニューアルから1カ月ほど経過しましたが、現時点での反響についてはいかがですか?
【元木麻由】狙いどおり、女性層を中心に若い方々など新しいユーザーを取り込めています。さらにSNSの投稿では、ジョージアに関する投稿数がブランド史上最高の投稿数を記録しています。そのうちの4割ほどが、今回、ブランド初の参加体験型施策としてやっている「毎ドラ部 presented by GEORGIA」のコンテンツである「AIイラストメーカー」に関する投稿なんです。この体験型の施策が機能していると実感しています。

【元木麻由】「AIイラストメーカー」は、自分の写真をイラストタッチにすることで、漫画やドラマの主人公になった気分になれるというコンテンツなんですね。そのため、ご自身の顔をイラスト化して共有される方が多いんです。普段から自分が撮っている写真だからこそ、共有したくなるのではないでしょうか。

「毎ドラ部」のコンテンツ「AIイラストメーカー」で、写真からイラストを作成して楽しめる
「毎ドラ部」のコンテンツ「AIイラストメーカー」で、写真からイラストを作成して楽しめる


【元木麻由】この、若い層のユーザーを獲得できたという部分については、最初の3週間、4週間の段階での結果になりますが、トライアルという意味では順調なスタートが切れたと思います。一方で、今後継続してジョージアを定期的に手に取っていただくことが、すごく大事なことであり、大変なことでもあるので、そこが今後のチャレンジになってくるかなと考えています。

トライアルとしては順調なスタートを切ることができたと、リニューアルから1カ月経った手応えを教えてくれた
トライアルとしては順調なスタートを切ることができたと、リニューアルから1カ月経った手応えを教えてくれた【撮影=阿部昌也】


ーー今後の展望について教えてください。
【元木麻由】コーヒーといえば「ジョージア」と回答してくれるくださる方が、ひとりでも多く増えればなと思っています。コーヒーカテゴリーの圧倒的No.1のブランドになっていきたいですね。

ーーコロナ禍の前後でコーヒーの市場的には、どんな変化がありましたか?
【元木麻由】自宅でコーヒーを楽しまれる方が増えたと思います。現在はもうほとんど戻りましたが、当時はカフェにも行きづらくなったっていうこともあり、カフェのメニューを家でも手軽に楽しめるような、カフェっぽいラテ系の製品が売れるという傾向はありました。

もともとミルク入りのカフェラテが好きだったが、ペット系の軽く飲みやすいコーヒーが出てきたことで、ブラックコーヒーも好きになったという元木さん。浅煎りのちょっと酸味のあるフルーティーなコーヒーが好みだそう
もともとミルク入りのカフェラテが好きだったが、ペット系の軽く飲みやすいコーヒーが出てきたことで、ブラックコーヒーも好きになったという元木さん。浅煎りのちょっと酸味のあるフルーティーなコーヒーが好みだそう【撮影=阿部昌也】