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「おにぎりに『油』を加えるとおいしくなる」ってホント?油のプロに聞いてみたら、毎日のご飯が変わった

2024/03/31 12:00
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家庭で作るおにぎりは、炊きたて、握りたてのものはおいしく食べられる一方で、時間が経過すると、どうしてもご飯がカチカチになったり、お米そのものの風味が落ちてしまうことも。しかし、市販のおにぎりの多くは、時間が経過しても比較的劣化が少ないようにも思う。

「どうしたらあんなふうに時間が経ってもおいしいおにぎりが作れるのだろう?」と、この謎についてネットで調べてみたところ、「おにぎりに適量の『油』を加えるとおいしくなる」といった説を発見。「おにぎりに油…?」と思ったが、さらに調べてみると、おにぎりを作るための炊飯時に一定量の油を加えることでふんわりとした仕上がりになる、という情報まで飛び出した。

ますます不思議に思った筆者は、この説が本当なのかどうかを聞き出すべく、食用油メーカーの株式会社J-オイルミルズ(以下、J-オイルミルズ)に取材することに。同社の源田結香さんと百々順子さんに、調理実例と合わせて、その秘密を教えてもらった。

株式会社J-オイルミルズの百々順子さん(左)、源田結香さん(右)。時間が経ってもおいしいおにぎりのコツとは?
株式会社J-オイルミルズの百々順子さん(左)、源田結香さん(右)。時間が経ってもおいしいおにぎりのコツとは?


「油入りおにぎり」「油なしおにぎり」を食べ比べ!

取材に先立って、前日に炊飯して握り、冷蔵保存した「油入りおにぎり」「油なしおにぎり」を準備してくれていた。「おにぎりに適量の『油』を加えるとおいしくなる」説の話の前に、これを食べ比べしてほしいという。

実際に食べてみたが、「油入りおにぎり」はお米の粒がパラッと立ちながら風味もあり、しっかり握られているのに全体的にふんわりほどける。これに対し、「油なしおにぎり」もおいしいことには違いないが、前者よりもベタッとした食感で、さらに放置すればカチカチになりそうだと思った。

謎多き“おにぎり×油”。油なしよりも、おいしいのはおいしいが…?
謎多き“おにぎり×油”。油なしよりも、おいしいのはおいしいが…?


その差は歴然。たしかに「油入りおにぎり」のほうが時間経過、冷蔵などを経ても劣化していない印象を受けた。この秘密について、両者は以下のように教えてくれた。

「この『油入りおにぎり』『油なしおにぎり』の大きな違いは、まず粒立ちです。油を入れて炊いたご飯は、油分がお米をコーティングしてべちゃべちゃになるのを防ぐ効果があり、水を増やして炊いても粒立ち良く炊き上がるんです。また、油を入れていないものに比べて水分が蒸発するのも遅くなります。そのため、時間が経過しても『油なしおにぎり』より変化が小さくなるというわけです。言い換えれば、油を入れずに炊いたご飯は、炊きたてはおいしくとも時間が経過すると水分が蒸発しやすく、硬くなることがあるんですね」

前日に炊飯され、冷蔵を経た「油入りおにぎり」(奥)、「油なしおにぎり」(手前)
前日に炊飯され、冷蔵を経た「油入りおにぎり」(奥)、「油なしおにぎり」(手前)


この説明を聞くと、さらなる疑問が。水で炊き上げるのが通常であるお米に、油を加えることでかえってベチャッとするものではないのか?

「大丈夫です。というのも、炊飯の際に入れるべき油の量は、わずか全体の1%。お米の品種にもよるので一概には言えませんが、炊飯器の適正量よりも水を少し多めにするといいですね。3合炊くのであれば、炊飯器の3.5合の線くらいに合わせるのがおすすめです。それに対して1%なので、3合分であれば小さじ1〜2杯ほどの油を入れることでふんわり炊き上がります。また、ここでの『油』はお米由来の『こめ油』が望ましく、よりおいしく炊き上がります。また、冷凍しても風味が劣化しにくくなり、自然解凍をすればレンジアップ不要です。もちろん、自然解凍でもポソポソするような感じは少なく、十分おいしくいただけると思います」

ここまでの話を聞いてもややイメージがしにくいところがあったが、さらに「油あり」「油なし」双方のおにぎりを「当日炊飯」「前日炊飯→冷蔵→常温」「前日炊飯→冷凍→常温」の3パターンで準備してくれていた。

写真上から、「当日炊飯の『油あり』『油なし』」、「前日炊飯の冷蔵→常温の『油あり』『油なし』」、「前日炊飯の冷凍→常温の『油あり』『油なし』」
写真上から、「当日炊飯の『油あり』『油なし』」、「前日炊飯の冷蔵→常温の『油あり』『油なし』」、「前日炊飯の冷凍→常温の『油あり』『油なし』」


それぞれを食べた感想は、まさに先ほどの解説どおりで、特に「前日炊飯の冷凍→常温」にいたってはおいしさがまるで違った。時間が経過すればするほど、油を入れたおにぎりのほうがおいしさを保っていることを強く感じた。

また、ピラフ風おにぎりなど洋風にぎりにするのであれば、炊飯の際にこめ油ではなくオリーブオイルなどを1%ほど入れるのもいいとのことで、こちらもまた「当日炊飯」「前日炊飯→冷蔵→常温」「前日炊飯→冷凍→常温」の3パターンを試食させてもらった。

やはり「当日炊飯」が一番おいしかったが、最も劣化するとも思える「前日炊飯→冷凍→常温」でもその風合いは生きており、ここでもまた“おにぎり×油”の親和性を実感。言われなければ、油が入っているとは到底思えない味わいだ。

炊飯時にオリーブオイルを入れた洋風おにぎり。写真左から「当日炊飯」「前日炊飯→冷蔵→常温」「前日炊飯→冷凍→常温」
炊飯時にオリーブオイルを入れた洋風おにぎり。写真左から「当日炊飯」「前日炊飯→冷蔵→常温」「前日炊飯→冷凍→常温」

「前日炊飯→冷凍→常温」でも味の劣化を感じなかった
「前日炊飯→冷凍→常温」でも味の劣化を感じなかった


なお、炊飯時に入れるのではなく、「ごま油」「花椒油」「香辣油」といった風味油を“後和え”するパターンもおすすめだという。こちらもかなり手の込んだ下味を付けたような味わいで、違和感なくおいしく食べられた。

炊飯時ではなく炊けたご飯に油を入れた、「後和え」おにぎり。ご飯約200グラムに対し、塩昆布6グラム、「ごま油」「花椒油」「香辣油」2グラムを和えただけでおいしさアップ!
炊飯時ではなく炊けたご飯に油を入れた、「後和え」おにぎり。ご飯約200グラムに対し、塩昆布6グラム、「ごま油」「花椒油」「香辣油」2グラムを和えただけでおいしさアップ!


“おにぎり×油”は忙しい現代人にももってこいの裏技だった

味覚は人それぞれの感じ方によるところも大きいため、「必ずおいしい」とは断言しきれないが、個人的な感覚では、ネットで見た「おにぎりに適量の『油』を加えるとおいしくなる」説は、おおむね本当だったと言える。

たった“1%の油”で、ご飯を食べるのが楽しみになる
たった“1%の油”で、ご飯を食べるのが楽しみになる


最後に源田さんと百々さんは、「炊飯時に油を入れる」効果のさらなる活用法を教えてくれた。

「おにぎりはお弁当として持って行くシーンが多いと思いますが、朝は何かと忙しいものです。そんなときは、事前に油を適量入れ、水を多めにして炊いたご飯のおにぎりを一旦冷凍し、朝出かける際に取り出してお弁当として持って行けば、ちょうどお昼ごろには自然解凍され、おいしくいただくこともできます。時短にもなると思うので、ぜひ油を使ったおにぎりを実践していただけるとうれしいです」

親身に取材に応じてくれたJ-オイルミルズに感謝!
親身に取材に応じてくれたJ-オイルミルズに感謝!


意外とも思えた「おにぎりに適量の『油』を加えるとおいしくなる」説。取材以来、筆者は普通に白米を食べる際にもこめ油を入れて炊いているが、むしろこめ油なしでは物足りないほどになってしまった。これから新生活が始まり、自炊やお弁当作りに挑戦する人も多いだろう。ぜひ本記事を参考に、より充実した食生活を過ごしてみてほしい。

取材・文=松田義人(deco)

J-オイルミルズ 公式サイト:https://www.j-oil.com/

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