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今回取り上げるのは、無人古着販売店「#古着de行こか。」だ。近畿地方を中心に国内29店舗を展開している「#古着de行こか。」が、東京に初上陸。3月1日に東京都内初出店となる高島平店がオープンした。東京進出や無人古着販売について、担当者に話を聞いてみた。

「#古着de行こか。」が東京初上陸
「#古着de行こか。」が東京初上陸


――「#古着de行こか。」を新たに東京都内にオープンした狙いを教えてください。
弊社は#古着de行こか。を日本一のアパレルショップにすることを目標としており、そのためには日本全国での店舗展開が必須です。今回の東京都での出店は昨年(2023年)末オープンの日立店(茨城県)と今月(3月)末オープンの熊谷店(埼玉県)と合わせて関東地方全域での展開を進めるための足掛かりであり、特に高島平店は規模も大きく多彩な商品を取り揃え関東進出の旗艦店となることを期待しています。また、東京都に出店することで多くのメディアさまに取り上げていただく機会を増やし、全国的な知名度増加も目論んでおります。

――「#古着de行こか。」の特徴、イチオシポイントを教えてください。
無人店舗の常識を覆すような規模と商品点数、そして業界初導入のセルフレジシステムが特徴です。#古着de行こか。以外にも無人古着店は多数ございますが、その多くが10坪程度かもっと小さい店舗となっています。弊社も当初は10~15坪程度の店舗展開を行って参りましたが、古着をお求めになるお客様は数十分以上の時間をかけて店内の商品をくまなく確認し気になる商品やレアアイテムを探し求める(いわゆるディグる)ことが多く、狭い店舗では商品が見づらかったり点数が少なく満足できる商品が見つからないなどの問題が多いことがわかりました。

そこで、#古着de行こか。では原則20坪以上の無人店舗としては中~大規模となるテナントに絞って出店し、大きく広い店内に多種多様な商品を並べることで、古着初心者の方から玄人の方まで満足いただけるような店舗づくりを行っております。

【写真】50坪を超える店内には、最大8000着以上の商品が並ぶ
【写真】50坪を超える店内には、最大8000着以上の商品が並ぶ


また、ファストファッション最大手の店舗でも使用されているような自動読み取りシステムを導入した完全オリジナルのセルフレジシステムを自社開発しました。多くの無人店舗で採用されているお賽銭箱に代金を入れるだけというような決済方法では、お客様が会計の際に「これであっているのかな」などなにもやましいことはないのに不安になってしまいます。そして、残念ながら実際に3000円の商品を1000円で会計するといったごまかし行為や、会計をせずに持ち去ってしまう万引き行為に手を染めてしまう方もおられます。

もちろんこのような犯罪行為は決して許されることではありませんが、こういった行為を悪意をもって行う人物は少なく、むしろ「つい魔が差して」やってしまう方がほとんどであり、無人店舗であることにかまけて「つい魔が差して」しまい得る環境を放置している事業者側にも責任があると弊社では考えております。弊社が開発したレジではお客様が読み取り機に置いた商品を自動で読み取りますので、金額をごまかすことはできず、お客様としても必ず正しい金額で安心してお会計をしていただけます。また、同じ自動読み取りシステムを用いた防犯ゲートを設置することで、商品の不正な持ち出しは即時検知し警報を発することができます。

このように心理的、物理的なハードルを設けることで「つい魔が差して」しまう要因をなくし、安心してお買い物を楽しんでいただける環境となっている点もイチオシポイントです。

――近畿地方を中心に国内29店舗を展開する「#古着de行こか。」ですが、なぜ無人古着店を展開しようと考えたのですか?
弊社は「日本一の企業となる」という目標のもとで結成された企業でございます。日本国内なら誰に聞いても「知ってる。○○の企業だよね」と言われるような企業こそが日本一であると考え、「日本人なら誰もが知っている企業」が日本一の企業であるという方針を打ち立てました。そうして「日本人なら誰もが知っている」を目指すにあたり、まずは日本全国の消費者に認知されるべく、47都道府県すべてで店舗を構えることを画策したのですが、日本全国に店舗を構えるということは当然ながら、日本全国でサービス提供を行うスタッフを雇用しその中から責任者となる人材を育成する体制を構築する必要があり、これには数年どころか数十年かかってしまいます。

この期間を何とか短縮できないかと思案してした際に耳に入ってきたのが「急増する餃子の無人販売店」のニュースでした。無人販売店であれば少なくとも店頭でサービスを提供するスタッフの雇用は必要なく、店舗マネジメントに必要な人材もごく少数で済み教育工数もかからず、まさに弊社の課題に対しての解決策でございました。

無人販売店ビジネスを行うことを決めたあとに始めたのは商材の選定です。すでに餃子や肉、スイーツなど主に食品を扱う無人販売店は多数存在し、家族や友人を伴っての来店を狙え、口コミで広まりやすくリピートにもつながりやすいことから初月から爆発的な売り上げを叩き出す食品はとても魅力的でした。しかし、回転率の高さは補充の回数の多さに直結すること、原則的に販売期限が存在するため管理が必要であることを踏まえると、食品を扱う場合は無人営業であっても常に人手が必要です。

また、原価率の高さも無視できません。少なくとも売価の60%程度が原価となる食品では、上述のスタッフの人件費や店舗維持費、必要となる冷蔵庫などのリース料に駆動させるための光熱費などの実質的な固定費を考慮すると損益分岐点が非常に高く、さらに認知拡大のための広告費などを計上すれば、長期安定的に利益を出し続けることがとても難しいように思われました。

こうして食品を除外し、原価が安く販売期限が存在せず設備への投資も安価で済む商材を探すこととなりましたが、こんなに理想的な商品は本当に存在するのでしょうか?お察しのとおり、「古着」こそがこの理想の商材だったのです。原価は3割程度と食品の半分で済み、シーズンこそ存在しますが販売期限はなく売れ残っても翌年に持ち越すことができ、ハンガーラックさえあれば陳列して販売ができます。そうして1年間で1都2府6県約30店舗を展開し、今なお全国展開に向けて拡大し続ける無人古着店「#古着de行こか。」が生まれました。

――無人古着販売ブランドをオープンするにあたって苦労した点はありますか?
古着が好きだったり、よく古着屋を消費者として利用するといったスタッフは誰もいなかったため、知識ゼロからのスタートであったことが最初の障壁でした。当時すでにいくらか存在していた無人古着店を見て回る、古着店が公開しているWeb記事を読み漁る、専門家にレクチャーを依頼するなどである程度のレベルまで知識づけを行いましたが、こちらについてはスタッフ一同現在も勉強の日々です。

また、商品は自社で仕入れをし店舗に納入する仕組みとしましたので、店舗は無人でも倉庫には人手が必要であり、日本全国どこにでも商品を届けられる体制を築くには大きな労力がかかります。さらに、食品に比べればはるかに手がかからないといえ、掃除や新商品の入荷、売上金の回収などで週に何度かは人手が必要であり、いかにしてスタッフ教育を簡素化するのかも課題でした。こちらは徹底的な効率化、少工数化そしてマニュアル化を行い、人手さえあれば誰でもできるというレベルにまで作業を簡単にすることで解決を図りました。

さらに仕入れの問題もありました。国内に新規事業者が長期安定的に高品質な古着を仕入れることができる場所はそう多くはなく、まして日本全国に店舗を出せるほどの物量も必要となれば、もはや他社頼りでは十分な商品を確保することができませんでした。そこで直接海外の商社を訪ね、国内の業者を通すことなく直接海外から買い付けを行うことで、大量の商品を安価で安定的に仕入れることができるようにしました。

最後に今現在も取り組んでいる課題ですが、24時間の無人営業が可能な物件がそう多くはないというものもあります。コンビニのような24時間営業、コインランドリーのような無人営業は可能でも、24時間無人営業となるとまだまだ世の中に浸透しておらず、許可をいただけない場合もしばしばございます。この記事をご覧いただいている方に#古着de行こか。の出店を許可いただける物件オーナー様がおられましたら、ぜひご連絡ください。

「#古着de行こか。」最大規模の店舗が高島平にオープン!

3月1日にオープンした#古着de行こか。高島平店は「#古着de行こか。」の店舗の中でも最大規模。店内の敷地は50坪超で、最大8000着もの商品が並ぶ。一般的な無人古着店の多くが10坪程度であることを考えると、規格外の店舗サイズだ。試着室や全身鏡も用意されているため、訪れた人は長い時間をかけて、自分だけのコーディネートを見つけることができる。

また、無人古着店としては初となる、商品自動読み取りシステムを導入。「#古着de行こか。」独自で開発したシステムで、スタッフが常駐しない無人販売において、店側も客側も安心して買い物をすることができる。また、カゴに商品を入れるだけで簡単に決済ができるため、自分で商品の値段を数えることなく購入が可能だ。

自動読み取り機能を備えたセルフレジを導入
自動読み取り機能を備えたセルフレジを導入


さらには、ファッションショップとしては異例の24時間オープン。朝でも、夜中でも、行きたいと思った時間に訪れることができるのも無人販売ならでは。古着好き必見。気になったら一度足を運んでみてはいかがだろうか。

店舗情報
店名:#古着de行こか。高島平店
所在地:東京都板橋区高島平8-13-8

文=吉田知生