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FRBの金利政策に今後も要注意!2024年、米国市場の現在地

2024/02/17 20:00
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「米国経済は、いつリセッションに入るのか……?」、2022年以降から現在まで、投資家の関心はそこにある。しかし、実際には2年間を通じて米国経済は成長し、株価も上昇基調にあった。では、2024年はどうなるのか?YouTubeチャンネル「ロジャーパパ米国株投資」を運営する投資系YouTuberのロジャーパパさんに解説をお願いした。

 投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」
投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」


2023年までの米国相場を振り返る

米国株投資を行うみなさんにとって、2024年が大きな転換点となるかもしれません。アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、2024年も政策金利を引き上げるのか、あるいは引き下げるのか、その動向によって大きく市場は変わるからです。

「金利が、どのような意味を持つのか?」と、いまいちわからない人もいると思いますので、ここ数年の米国経済の流れを少し振り返ってみましょう。

2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる世界経済の混乱から、米国のFRBを中心に、世界の中央銀行が市場への巨額の資金供給と金融緩和による政策金利の引き下げを行いました。

その結果により起こるのが、株式市場の過熱とインフレです。ワクチンの普及により、経済活動が正常化しはじめた2022年以降、FRBはインフレに歯止めをかけるべく政策金利の引き上げを行いました。

つまり、金利を引き上げて経済活動を抑制するのです。そんなことをすれば株式相場は下落しますが、インフレで経済が破綻するのを防ぐために必要な舵取りでした。ゼロ金利だった2022年初頭から、3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%へと急速に金利を引き上げ、2023年2月には4.5%にまで上昇。

これほどの金利引き上げを行ったのですから、「2022年以降の米国経済はいつ、リセッション(景気後退局面)に入るか」というのが、投資家たちの最大の関心だったのです。それは、当然です。株価の下落がはじまる前に、短期投資の株は売却しないと損してしまうからです。

しかし、急激な利上げにも関わらず、米国経済は力強い経済成長を続け、2023年のアメリカのGDP(国内総生産)はプラス成長。リセッションの気配はありませんでした。インフレ率の抑制には一定の効果があったものの、FRBの目標値には達していないため利上げは続き、2023年12月末時点で政策金利は5.5%に上昇したにも関わらずです。

それが、2023年までの米国市場の概要です。今後、2024年にこそリセッションは起こるのか、あるいはリセッションなしにさらなる上昇相場へと移行するのか――。その鍵となるのが、FRBの今後の金利政策です。

リセッションは、なぜ起こらなかったのか?

金利を引き上げても株式市場は高騰し、リセッションが起こらなかった理由をひとことで表すなら、それは「米国経済が強過ぎた」といえるかもしれません。

「行き過ぎもまた相場」

読み人知らずの格言ではありますが、投資の世界にはそんな言葉もあります。企業の株価の変動には、業績や金利、為替、政治動向、国際情勢など様々なファクターがあり、セオリーがあります。例えば、業績が下がれば株価は下がるのがセオリーですが、あまりに将来性への期待感が強ければ業績に関わらず投資が集中することもあるでしょう。「必ずしもセオリーどおりにならないことがある」というわけです。

先にも述べたように、一般に金利を引き上げれば株価は下落し、金利を下げれば株価は上昇します。2022年以降のFRBの金利引き上げによって、多くの米国企業は借入金の支払い利息が増えて収益が圧迫され、新たな融資を受けることが難しくなり、事業を拡大しづらくなったはずです。

しかし、「マグニフィセント・セブン(M7)」に代表されるようなアメリカの大企業にとっては、そもそも潤沢な資本があるため、もはや金利上昇はさしたる障害にならなかったようです。そこに、「ChatGPT」などのAIブームによって、上記のM7をはじめとする半導体・ハイテク株への投資が集まり、米国市場を牽引したことが大きな要因として考えられます。

※マグニフィセント・セブン……アップル、マイクロソフト、アルファベット(※グーグルを運営)、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズからなる米国を代表するプラットフォーマー5社に、エヌビディア、テスラを加えた7社を指す。

一方、そこまで大きくない企業にとっては、金利上昇による経営の悪化、停滞は確かに起こっていました。実際に倒産件数は増加していますし、米国市場で時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄を扱う「ラッセル2000」などの小型株は株価が停滞しました。

しかし、時価総額トップ500位を扱う「S&P500」などの大型株は、2023年で約25%も上昇しています。そうした格差を生じさせたまま、米国経済全体としてはGDPも成長し、リセッションの兆しが見えない相場の過熱が2023年を通じて起こっていたのです。

2024年の株式相場のゆくえは不透明なまま

では、2024年の米国株の相場見通しは具体的にどうなるのか――。正直なところ、「まだわからない」という状況なのですが、2023年末に「2024年に利下げが予定されている」というニュースが流れ、11月、12月とさらに株価が上昇するという出来事がありました。

先にお伝えしたセオリーですが、金利が下がれば株式相場は上昇するのが一般的であり、2024年の利下げによる株価上昇を見越して仕込みがはじまってしまったのです。

その原因は、笑い話のようですが「勘違い」です。FRBは年8回、FOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、現在の景況判断や政策金利の方針を発表します。これは、投資家にとって今後の株価を予測するうえで超重要な情報であり、声明次第で株価は大きく変動します。12月のFOMCの最後に、FRBのジェローム・パウエル議長が40分にわたるスピーチと、質疑応答を行うのですが、そのなかで「利下げが次の重要なトピックとなる」といった趣旨の発言を行いました。

その発言を、市場やメディアが「FRBが利下げについて議論している」と解釈してしまい、株式市場が反応したのです。あたかも2024年に利下げが起こることが既定路線かのように伝えるメディアもありました。パウエル議長のスピーチでは、利上げの継続も検討されていることが発言されているにも関わらずです。

そうした市場の反応を受け、2024年1月末に開かれたFOMCでは、FRBが目標とするインフレ率2%達成が確信できるまで利下げは適切でないとし、あらためて「5.25%〜5.5%での政策金利の据え置き」を明言。いわば、釘を刺したのです。利下げへの期待感が削がれたことで市場は反落し、今後の見通しは困難な状況となっています。

この状況を整理するため、「4つの相場サイクル」を以下に紹介します。これはわたしの自論でもなんでもなく、株式投資における一般論であり、これまでの株式相場の歴史も、基本的にこの4つのサイクルを回り続けているのです。

【画像】4つの相場サイクル
【画像】4つの相場サイクル


<4つの相場サイクル>
❶金融相場:金利が下がり、株価は上がる
→不景気で企業業績・株価が悪化しているため、中央銀行が金融緩和を行い、利下げによって景気回復を図り、株価を上げていく「不景気の株高」の段階。

❷業績相場:金利が低いまま、さらに株価は上がる
→金融緩和により企業の業績が回復しはじめた段階。

❸逆金融相場:金利が上がり、株価は下がる
→景気が拡大しすぎてインフレにならないよう、利上げによって引き締める段階。

❹逆業績相場:金利が高いまま、さらに株価が下がる
→利上げによって景気が下降し、株価が一段と下がる。

2023年までの米国市場は、FRBの利上げによって相場が下がりはじめる「逆金融相場」にあり、リセッションを起こすことで「逆業績相場」へと至る過渡期にあると考えられます。しかし、あまりに株式市場が過熱していたため、リセッションを起こすことなく「金融相場」に入り、利下げも相まってこのまま好景気に向かっていくのではないかという期待感があったのです。

先に述べたように、FRBの利下げ開始が後ろ倒しされれば、深刻な景気減速を招くリスクが高まります。その結果、「逆業績相場」による株価下落を心配し続ける必要が出てくるかもしれません。ひとたびリセッションとなれば、景気が底を打ち、好景気へと向かい出す「金融相場」に至るには相応の時間を要します。わたしももちろん、今後のFOMCにおけるパウエル議長の発言に注視していくつもりです。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2017年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。現在は9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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