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「投資というゲーム」で負けないために。投資をはじめる前に最低限知っておくべきこと3選

2023/12/10 20:00
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なにをはじめるにも、失敗を避けるためには「準備」が重要だということは疑う余地がない。限られたお金を投じる投資となればなおさらだろう。では、これから投資をはじめる初心者は、どんな準備をしたほうがいいのだろうか。ここでは、「投資をはじめる前に知っておくべきこと」について、学生時代から幾多の投資本を読破してきた「投資本要約ユーチューバー」のタザキさんに聞いた。

『お金の名著200冊を読破してわかった! 投資の正解』の著書タザキさんにインタビュー
『お金の名著200冊を読破してわかった! 投資の正解』の著書タザキさんにインタビュー


コストを抑えることは、リターンを得ること

投資の初心者のみなさんにまず知っておいてほしいのは、「なによりも重視すべきものは手数料」だということです。

投資においては、もちろんなるべく大きなリターンを得ることが大事です。でも、プロの投資家であっても、いつも確実に大きなリターンを出せるものではありません。そのリターンは、月ごと、年ごとに間違いなく変動しますし、損失を被ることもあります。

ただ、コストを減らすということなら、初心者であっても確実にできます。コストを減らすというのは出ていくお金を減らすということですから、見方を変えれば、プロにも難しい「確実にリターンを得る」ことと同義です。だからこそ、手数料を軽く考えるのはNGなのです。手数料の差は、「ちりも積もれば山となる」で、長期的に見れば大きな差を生むことになります。

金融投資ではさまざまな手数料がかかります。たとえば、投資信託という金融商品の場合なら、買いつけ手数料、信託報酬、売却手数料といった手数料を支払う必要があります。しかし、これらの手数料は、証券会社によって異なります。当然ながら、同じ金融商品を買うのであれば手数料が安いに越したことはありません。

多くの投資本でいわれていることですが、手数料を抑えるには、ネット証券会社で証券口座を開くことがおすすめです。大手金融機関とちがって、実店舗や窓口がない代わりに、手数料が抑えられているからです。

ただ、それもやはり人それぞれです。私のYouTubeチャンネルには、「なにかあったときに、窓口がないとすごく不安」というコメントがたくさん寄せられます。そういう人には、イオン銀行がいいでしょう。イオン銀行の場合、商品数は劣りますが主要なものはあり、ネット証券会社に次いで手数料も安く、かつ実店舗も全国にあるからです。

初心者がはまりがちな、株主優待にある落とし穴

続いて、投資の初心者のみなさんにとっては、「株主優待を目的としない」ということも重要です。

私の周囲でも、初心者の人は株主優待に興味を持つケースが目立ちます。株主優待によって無料で食事ができるといった、投資をはじめる前にはできなかったことができるようになるのですから、それも当然かもしれません。

つい最近の話ですが、知り合いの投資初心者女性もこの落とし穴にはまりました。「子どもの好きなデザインの服があるから」「男の子向けのズボンが丈夫だから」、そして「優待があるから」という理由で、衣料品チェーン店を運営する会社の株式を買おうとしていました。相談された私は、すぐさま財務諸表を確認。売上高が低下していて赤字であることを伝え、「他に選択肢が無数にあるなかで、自分ならわざわざ買わない」とアドバイスしました。

ですが、優待欲しさに彼女は買ってしまったのです。その結果、3000円の優待券は得ましたが、株価は100円下がり、1万円分の含み損を抱えたのです。ただ、実際にこのような経験をしないと「とりあえずなにかを買ってみたい初心者」を説得することはなかなか難しいと考えていますので、このケースでは安い勉強代で済んだのではないかと思います。

また、株主優待は徐々に廃止の方向に進んでいます。なぜなら、「株主平等の原則」に反している可能性があるからです。株主平等の原則とは、日本の法律によって定められている、「株主は、株主としての資格に基づく法律関係については、その有する株式の数に応じて平等の取り扱いを受けるべきである」という原則のことです。

株主優待は、日本特有の制度です。でも、日本の企業の株を持っているのは、日本に住んでいる人ばかりではありません。日本在住の株主は近くのレストランで無料で食事ができるのに、海外に住んでいるために無料で食事できない株主がいるとなれば、もちろん平等ではありません。そのため、株主優待を廃止するトレンドが強まってきているのです。

だからこそ、「株主優待はあくまでもおまけ」ととらえるべきです。株主優待を目的として株式を買ったのに、期待していた株主優待が廃止されてしまったらどうですか?それどころか、株主優待を目的にしてろくにリサーチをしないまま株式を買ったために、株価が大きく下落してしまったら目も当てられませんよね?

株主優待は特に初心者にとっては魅力的に映るため、本来であれば投資すべきでない銘柄にも手を出させてしまうこともあるということは、しっかりと認識しておきましょう。

投資においては、手数は少ないほどいい

投資の初心者に知っておいてほしいこととして最後にお伝えしたいのは、「投資は手数を減らすほど勝てるゲーム」ということです。

初心者であれば、「投資のうまい人」というとデイトレーダーのような人をイメージするかもしれません。でも、こういうとデイトレーダーの人たちに叱られるかもしれませんが……(苦笑)、投資の世界においては「手数は少ないほどいい」というのが鉄則です。

このことは、投資信託のインデックスファンドとアクティブファンドという異なる金融商品のリターンを見てもよくわかります。インデックスファンドとは株価指数など特定の指標に連動するよう設計された商品です。

対して、特定の指標を上回る運用成績を目指す商品がアクティブファンドです。このアクティブファンドは、ファンドマネージャーというプロの投資家が積極的に株式や債券を売買して、つまり手数を増やして大きなリターンを得ようと運用します。

「特定の指標を上回る運用成績を目指す」のですから、アクティブファンドのほうが大きなリターンを出せそうなものですよね。ところが、実際にはまったくの逆です。短期的に見ればアクティブファンドがインデックスファンドをしのぐこともありますが、長期的に見たときにはアクティブファンドがインデックスファンド以上のリターンを出せることはほぼありません。投資においては、行動量とリターンは比例しないのです。

もちろん、アクティブファンドのなかには、長期的に見てもインデックスファンド以上のリターンを出す商品も存在します。でも、それを事前に見抜くことができるかといったら、それは個別株投資で大きな利益を生んでくれる銘柄を選ぶことと同じくらい難しいことです。

「これだ」と決めたインデックスファンドに淡々と投資を続け、売るという行動を起こさずに保持し続ける。それだけでアクティブファンド以上のリターンを得られるのですから、こんなに楽なことはないのではないでしょうか。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹

『お金の名著200冊を読破してわかった! 投資の正解』
クロスメディア・パブリッシング(2022)
タザキ 著

【プロフィール】タザキ
サラリーマン投資家YouTuber。投資本の要約を発信するYouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」は月間50万PV。大学時代に投資のゼミに出会い、卒業後も余剰資金で投資を続ける。国立大学卒業後、IT企業に勤務。自らの努力だけで会社からの給料を上げることに限界を感じ、投資こそが日本で豊かになるための最短の方法だと考える。本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、チャンネル登録者は14万人を超える。現在も週4日勤務の正社員を続けながら、YouTubeやVoicyで投資初心者から中級者までをターゲットに投資情報を発信。2児の父。

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