投資に興味を持って勉強をはじめたけれど、まだ投資をはじめていない——。そんな人なら、「証券口座を開くのは実際に投資をはじめるとき」と考えているかもしれない。しかし、個人投資家に堅実で実践的な長期投資のアドバイスを行っているつばめ投資顧問代表・栫井駿介さんは、「少しでも投資に興味があるのなら、今すぐに証券口座を開くべき」と語る。その理由はどんなものだろうか。
証券口座を開けば投資の勉強が加速する
投資をはじめるために必ずやらなければならないのが、証券口座を開くという作業です。あたりまえですが、口座がなければなにもはじまりません。そして、投資に興味は持っていて勉強はしているけれど、まだ投資をはじめていないという人であっても、今すぐに証券口座を開くべきです。
なぜなら、証券口座を開くことでさらに投資の勉強が進むからです。証券口座を開けば、証券会社が提供するさまざまなツールを使えるようになります。
たとえばそれは、リアルタイムの株価や市場指数、企業の財務情報といった市場情報を取得できるようになったり、あるいは、株価チャートなどの分析ツールも使えるようになったりします。それらによって、投資の勉強がより加速するというわけです。
また、証券口座を開いてないことでチャンスを逃すことだってあります。2020年3月には新型コロナウイルス感染拡大を受けて、株価は大きく下落しました。一方で、その下落をチャンスととらえた多くの投資家が、口座を開設しようと証券会社に殺到しました。その結果、口座開設完了まで通常より時間がかかるという事態が起きていたのです。
その後、株価は短期間で逆に大幅に上昇しました。口座をすでに持っていたり、あるいは滑り込みでなんとか開設できたりした人は利益を得られましたが、間に合わなかった人はチャンスを逃してしまったのです。
証券口座を開設すること自体はまったくのノーリスクでできます。かかるのはちょっとした手間くらいですから、投資に興味を持っているのならぜひ今すぐに口座を開設してください。
対面型ではなくネット証券会社をチョイス
では、具体的にどの証券会社で口座を開設すべきでしょうか。証券会社は、対面型証券会社とネット証券会社のふたつに大別できます。そのうち口座を開設すべきなのは、ネット証券会社です。というのも、対面型証券会社にはほとんどメリットがないからです。
対面型証券会社は、投資の初心者であっても一度は聞いたことがある有名な証券会社がほとんどで、基本的に従業員が介在して取引を行います。その従業員に給料を払わなければなりませんから、それだけ手数料は割高になります。
また、同じように人件費を確保するために、投資家からすると多くの手数料がかかり、証券会社にとって利益になる「おいしい商品」を売りつけてくることもあります。企業としては利益を追求しなければなりませんからそうすることも理解はできるのですが、投資家にとってはデメリット以外のなにものでもありません。
一方、ネット証券会社の場合はオンライン上であらゆる取引を行うために、店舗を持たなかったり従業員の数が限られていたりすることで、対面型証券会社とは対照的に手数料が安いことが最大の特徴です。最近では手数料競争が激化し、1日100万円以下の取引なら手数料が無料というコースを設けているネット証券会社もあるほどです。
みなさんも、銀行ATMで手数料をとられることほど無駄なことはないと思ったことがあるのではないでしょうか。これから投資で資産をつくろうというのに高い手数料を支払うことは、それこそ無駄なことです。
