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安値で買ったら1〜2年はほったらかし。確実に資産を増やす「パッシブ投資」の基本

2023/07/18 12:00
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ひとことで「投資」といっても、その手法はさまざまだ。投資の「初心者」にとっては、投資については「損をすることもある」というイメージも強いもの。そこで、会計学博士として多くの大学で教鞭を執ってきた元大学教授である榊原正幸さんに、「堅実で負けない投資法」を聞いた。おすすめの「パッシブ投資」とはどういう投資法だろうか。

会計学博士の榊原正幸さんにインタビュー
会計学博士の榊原正幸さんにインタビュー【撮影=藤巻祐介】

パッシブ投資最大のメリットは、楽なこと

「堅実で負けない投資法」として私がみなさんにおすすめするのは、「パッシブ投資」というものです。具体的には、「配当利回りを軸にした長期投資の手法であり、安定高配当を実現してきている優良企業への長期の投資法」です。

配当所得のような不労所得のことを、英語で「パッシブインカム(passive income)」というので、この投資法をパッシブ投資と名づけました。そして、このパッシブ投資の最大のメリットは、「楽である」という点にあります。「パッシブ(passive)」とは「受け身の」という意味です。私の手法は積立投資などに比べれば積極的に動かなければならない面もありますが、後述する「アクティブ投資」と比べれば比較的楽に実践できるものです。

例えば、安定的な配当を受け取ることを軸としているため、企業業績や株価のチェックといった面倒なことは、決算発表時などの節目に行うだけで構いません。また、損切りすることも不要です。超優良企業の株式だけに投資し、長期的にじっくりと構えることができるため、損切りすることがほとんどないのです。私自身は2010年ごろからパッシブ投資を実践していますが、これまでに損切りしたことは一度もありません。

パッシブ投資は、配当の受け取りを軸とした手法のため、投資期間は最短でも半年〜1年であり、長いケースでは2年くらいのものもあります。それをベースとしつつ、もっと短期間で売買するという手もあります。

最初に買ってから短期間のうちにかなり値上がりしたのなら、いったん売って利益を確定します。そして、売ったあとに少し安くなったタイミングでまた買って、上昇波動に乗りながら何度か売買を繰り返すのです。

ただ、そういった短期的な売買は、働きながら株式投資をする一般の人にとってはわずらわしいもの。そういう人には、基本どおり、安値で買ったら1〜2年の期間で見た場合の高値になるまでほったらかしにし、1〜2年に一度の周期で売買することをおすすめします。やはり、このほうが楽だからです。

なお、投資において「長期」というと、10年や20年といったまさに長期をイメージする人も多いかもしれません。しかし、投資の世界では、数時間〜1日程度で利益確定を狙うデイトレードが「超短期」、2日〜数週間での利益を目指すスイングトレードといった手法が「短期」、数週間〜1年程度で利益確定を狙う手法が「中期」、数年程度にわたって継続保有する手法が「長期」といわれます。

【写真】パッシブ投資最大のメリットは、楽なこと。その理由を解説する榊原正幸さん
【写真】パッシブ投資最大のメリットは、楽なこと。その理由を解説する榊原正幸さん【撮影=藤巻祐介】

インカムゲインとキャピタルゲインの両取りを狙う

パッシブ投資は、配当の受け取りを軸とした手法というのは先述のとおりです。そのため、もちろん受取配当(インカムゲイン)を中心に考えて投資をしますが、インカムゲインだけでなく、売却益(キャピタルゲイン)も含めた両取りを狙います。

つまり、基本的には受取配当を目的に投資をするので長期的なスタンスをとることになるのですが、いつまでも株式を保有し続けるのではなく、一定の高値になったときには売却し、そして安値になったときに買い戻します。そうすることで、より大きな利益を得ることを可能とします。

この手法で目標とする配当利回りは、「3〜5%」。一般的に、優良企業の配当利回りは3%で良好、6%となると異常に高い水準とされるため、3〜5%を目標値としています。この基準に達した銘柄が購入の候補となります。

そして、3〜5%の配当を受け取りながら比較的長期で株式を保有し、目標配当利回りの約10倍、つまり「30〜50%」のキャピタルゲインを得られるようになったらいったん売却します。

その周期はもちろん銘柄によって異なり、長いものでは4年くらいの周期で安値と高値を往復するものもありますが、多くの場合、その周期は2年くらいです。ですから、2年間の期待利回りは以下のようになります。

【パッシブ投資の期待利回り】
「3〜5%」×1年+「30〜50%」=「33〜55%」

安値と高値が2年周期で往復するため、ここでは株式の保有期間を1年、非保有期間を1年として計算しています。3〜5%の配当を受け取れるのは、保有期間の1年分だけだからです。これを複利も加味して年率で換算すれば、利回りはだいたい15〜25%となります。

『現役大学教授が教える 「お金の増やし方」の教科書』PHP研究所(2020)
榊原正幸 著

【プロフィール】榊原正幸(さかきばら・まさゆき)
1961年6月8日生まれ、愛知県出身。会計学博士。名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。1993年、日本学術振興会特別研究員(PD)となり、その後、渡英して英国レディング大学に入学。帰国後の1997年より東北大学経済学部助教授。2000年、日税研究賞を受賞。2001年、英国レディング大学大学院より博士号(PhD)を授与される。同年、税理士資格を取得。2003年、東北大学大学院経済学研究科教授。2004年、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。2021年3月に退任し、東京・青山を拠点にしてファイナンシャル教育の普及活動を続けている。シリーズ10万部突破の『株式投資「必勝ゼミ」』の他、『誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(いずれもPHP研究所)、『会計の得する知識と株式投資の必勝法』(税務経理協会)など著書多数。

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