円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。
貯蓄にまわすお金をつくる「貯める力」と「稼ぐ力」の次は、そのお金を運用(投資)して増やしていく「増やす力」について見ていきます。増やす力を付けないことには、ほぼ利息がつかない銀行に、ただお金を預けているのとなんら変わりません。
お金を上手に増やすには、まず、「使う口座」と「貯まる口座」の2種類を用意しましょう。これは、貯蓄をはじめる基本中の基本です。
「使う口座」は、給与が振り込まれる口座がよいでしょう。家賃(住宅ローン)や水道光熱費、通信費、保険料などの固定費の引き落とし、またクレジットカードの支払いやその他の生活費をストックしておく口座になります。
一方の「貯まる口座」は、お金を貯めていくための専用の口座です。このふたつを用意することで、お金が貯まる第一歩は完了です。次に大切なことは、貯まる口座は、なるべく簡単にはお金を引き出せない口座にすることです。
例えば、勤務先で申し込む、住宅資金や老後資金を蓄えるための「財形貯蓄」や、民間の金融機関で申し込む「自動積立定期預金」、それから「iDeCo」や「つみたてNISA」も、この貯まる口座のイメージです。
住宅購入の頭金用、教育費用、旅行用、老後資金、その他など目的別に「貯まる口座」をつくるのもおすすめです。給与が振り込まれたら、まず貯蓄にまわすお金を「貯まる口座」に入金する。そして、「使う口座」の中で生活費をやりくりしていきます。
2種類の役割の違う口座を持つことで、毎月必ず決まったお金を貯めることができます。毎月コンスタントに増えていく残高を確認するだけで、今月もまた夢に一歩近づいたという実感がわいてきます。
また、使うだけの口座を持つことで、お金の管理がとてもラクになります。使う口座から固定費の引き落としやクレジットカードの支払い、生活費やお小遣いの引き出しなどをすべて行うのですから、通帳を見れば、どこにどれだけお金を使ったのかすぐにわかります。
ぜひ、この口座使い分け術をすぐにはじめてみてください。そして、貯まる口座の通帳や残高明細書を眺めることを習慣にしましょう。それだけで、貯蓄に対するモチベーションが確実に高まります。
多くの銀行で紙の通帳の発行が廃止や有料化されています。最近は、通帳を使っていない人も増えていることでしょう。口座開設のときに見ただけで、どこにあるかさえわからない人もいるのではありませんか?
そんなあなたにおすすめなのが、スマートフォンの銀行アプリです。多くの銀行が専用アプリを持っているので、スマートフォンにインストールしておけば、いつでもどこでも口座明細を眺められます。
そして月に1回、できれば週に1回は口座明細を眺めるようにしましょう。しっかり貯蓄を増やす努力をし、口座の金額を眺めれば眺めるほど、貯蓄1000万円に近づいていることを実感できるはずです。
この記事のひときわ#やくにたつ
・「使う口座」と「貯まる口座」の2種類を用意する
・貯まる口座は、なるべく簡単にはお金を引き出せない口座にする
・貯まる口座の通帳や残高明細書を眺めることを習慣にする
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼