円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。
生活の見直しという視点で見た場合、直接的に貯蓄にまわせるお金がつくれるわけではありませんが、「時間簿」を付けることをおすすめしています。時間簿とは、時間の使い方を振り返り、自分にとっての理想の時間の使い方を考えるためのものです。
つまり、自分の時間の使い方を見直してみるということです。時間の使い方とお金の使い方に対する考え方は、とてもよく似ています。
時間は誰にとっても、1日24時間という有限なものですよね?時間の使い方が上手な人は、24時間という制約のなかでどうすれば自分にとって有益なことに時間を使えるのかと考えて、それを実行しています。そして、お金も時間と同じように、有限のものをどう上手に活用するのかがポイントになるのです。
自営業なら話は別ですが、会社員の給与というのは、毎月大きく変動するものではありません。よって、昇給がない限り、毎月の給与額は基本的に決まっています。その制約のなかで、「最低でもこれだけは貯蓄にまわす」「これは将来のための自己投資に使う」「このくらいは好きに使ってもいい」などと、自分にとっての有益・無益なお金の使い方をきちんと考えられる人は、お金を貯めることができます。
上に紹介したのは、時間簿の記入例です。記入したグラフを見て振り返ると、「SNSを見るのに1時間も使っていた」「2時間もゲームをしていた」といった、時間の無駄遣いに気づくことができます。さらに、「読みたい本があったのに……」「部屋を掃除しようと思っていたのに……」と、やりたかったことに時間を使えなかった現実にも気がつくでしょう。
そうした反省点も踏まえて、今度は自分の理想の時間の使い方を時間簿にしてみるのです。ここではとにかく、自分が幸せを感じられる時間の使い方を時間簿に付けます。自分にとっての理想を描くと、時間の使い方が確実に変わります。それは、有限という同じ特性を持つお金の使い方にも影響します。
多くの人が、自分のために費やす時間を思うように取れていないはずです。それに加えて、スマートフォンにパソコン、各種の動画配信サービスにSNSなど、いまの時代、私たちは時間を奪うたくさんのツールに囲まれています。
ちょっとした息抜きにスマートフォンを手に取る時間が増え続け、結局、重要な用事に取り組む時間がなくなることは、誰にだってあると思います。特に、小さいころからスマートフォンを手にしていた若い人は、「スマホ依存症」という言葉もあるように、たくさんの時間をスマートフォンに奪われ続けています。そう考えると、時間の使い方がとても乱れやすい時代に私たちは生きているということです。
時間の使い方が乱れると、同じく有限であるお金の使い方も乱れてしまう可能性が高まります。そうならないためにも、時間もお金も優先順位を見直して、重要なものに割り当てるようにしましょう。
この記事のひときわ#やくにたつ
・自分の時間の使い方を見直してみる
・時間もお金も優先順位を見直して、重要なものに割り当てる
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼