円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

貯蓄1000万円の壁を越えていくためには、とても大切な5つのコツがあります。貯蓄1000万円は、このコツを理解することからスタートします。お金が貯まる5つのコツとは、次のものです。
❶計画性を持つ
❷夢を持つ
❸我慢しない、無理しない
❹手間をかけずに時間をかける
❺お金が貯まらない人の特徴を知る
今回紹介するのは、❺「お金が貯まらない人の特徴を知る」です。お金が貯まらない人は、大きく3つのタイプに分類することができます。
・ズボラタイプ…お金に無頓着でルーズ
・浪費タイプ…いまこの瞬間の幸せを追い求めて散財する
・支出限定タイプ…好きなことに徹底的にお金をかける
「ズボラタイプ」は例えば、時間外手数料を気にせずに平気で夜間のコンビニでお金をおろすような人です。このタイプの人は、部屋が散らかっているのも特徴のひとつ。部屋が散らかっていて汚い状態だと、必要なものがすぐに見つからずに、新しいものを買う傾向があります。たまに部屋を掃除すると、同じものがいくつも見つかるといった具合です。
お財布はたいてい、レシートや小銭がパンパンに入っていて、期限切れのポイントカードや謎の無料券なども見受けられます。冷蔵庫からも賞味期限が切れた調味料が次々出てきたり、奥のほうから長い間保存されていたと思われる忘れ去られた食品などが出てきたりすることもあります。
そういう人は身近なものを整理し、必要なものだけを残し、不要なものを手放すことをおすすめします。まずはお財布と冷蔵庫を整理してみてはいかがでしょうか。それができたら、次はクローゼットの中、本棚、キッチンの引き出しなど場所を一つひとつ増やしていきます。
ものは知らず知らずのうちに増えていくもの。女優の故・樹木希林さんはものを持たない、買わない生活を徹底していました。読書が大好きだったそうですが、所有する本は100冊と決めて、1冊でも増えると人にあげていたといいます。洋服などつい枚数が膨らんでいきがちなものについては特に、自分が持つものの量を決めるとよいでしょう。
「浪費タイプ」には外出好きが多く、買い物に出かけると次々と欲しいものが目に入り、誘惑に負けて目的以外のものもつい買ってしまうという特徴があります。最近は、クレジットカードやスマホ決済など、キャッシュレス決済があたりまえになりました。そういったことも影響し、浪費タイプのなかには、自分がいくら使ったのかまったく把握できていない人もいます。
「浪費タイプ」に対する処方箋は、買い物をするときに、「必要なもの=ニーズ」か「欲しいもの=ウォンツ」かを考えてみることです。これは、小学生や中学生にマネー教育をするときに、よくお伝えしています。子どもたちがお小遣いで使える金額は限られています。ノートや消しゴムなどの文具は「必要なもの」。お菓子やマンガが「欲しいもの」です。欲しいものを手当り次第に買っていては、必要なものが買えなくなります。自分が買おうとしているのは、どちらに該当するのか。欲しいものはいくらまでなら買えるのかを意識することが大切です。
「浪費タイプ」の人は、買い物をするときにちょっと立ち止まってみましょう。衝動買いのように、そのときの気持ちで買ってしまうのではなく、欲しいものに該当するのであれば、ひと晩、寝かせて考えてみる。買う理由や費用対効果などを考えてみると、意外と買わなくてもいいやと思えたりするものです。
「支出限定タイプ」は、好きなことにとことんお金をかけてしまう人です。自分が気に入ったバッグや靴、時計などの高級品をいくつも買ってしまう人、推しの全国ツアーに全部ついていってしまう人がこのタイプです。好きなことに対して徹底的にお金をかけてしまい、ブレーキがかからなくなる悪いクセを持っています。
いくら自分の人生にとって価値あるものだとしても、お金を無制限に使っていいわけではありません。やはり、予算内でお金を使うべきです。湯水のようにお金を使っていては、いつになっても貯金・貯蓄は増えないのですから。
ズボラタイプも、浪費タイプも、支出限定タイプも……いまのままでは、「貯蓄1000万円の壁」を越えることはできません。いずれかのタイプに該当しているようならば、注意が必要です。
繰り返しますが、お金を増やす方法は、たったの3つです。
❶家計に入ってくるお金を増やす
❷家計から出ていくお金を減らす
❸家計にあるお金を運用する
わたしはこの3つを、❶は「稼ぐ力」、❷は「貯める力」、❸は「増やす力」と呼んでいます。

この記事のひときわ#やくにたつ
・身近なものを整理し、必要なものだけを残し、不要なものを手放す
・買い物では「必要なもの=ニーズ」か「欲しいもの=ウォンツ」かを考えてみる
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼