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FP飯村久美さんに学ぶ『貯蓄1000万円の壁』を越えるコツ。お金を貯めたいなら、無理をしない

2023/01/12 17:45 | 更新 2023/04/16 23:18
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円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

今回は第5回。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


貯蓄1000万円の壁を越えていくためには、とても大切な5つのコツがあります。貯蓄1000万円は、このコツを理解することからスタートします。お金が貯まる5つのコツとは、次のものです。

❶計画性を持つ
❷夢を持つ
❸我慢しない、無理しない
❹手間をかけずに時間をかける
❺お金が貯まらない人の特徴を知る

今回フォーカスするのは、❸「無理しない、我慢しない」です。お金を貯めるには、我慢しないといけない。ほとんどの人は、そんなイメージを持っています。貯蓄1000万円を目指すなら、そのイメージは捨てましょう。つらい我慢は長く続けることができません。

これは、たくさんのクライアントと接してきた、ファイナンシャルプランナーとしてのわたしの“結論”です。我慢しなくても、お金を貯めることはできます。

我慢というイメージになるのは、どうしても「節約生活」が頭に浮かぶからではないでしょうか?そして、真っ先に節約のターゲットになるのは、「食費」と「お小遣い」です。もちろん、無駄な支出を減らすために食費やお小遣いを見直すことは大切です。でも、そうした自分の楽しみの部分の支出を切り詰め過ぎると、かえってストレスを溜めるだけ。

ダイエットでリバウンドして、ダイエットする前より太った……という話を聞くことがありますが、それは貯蓄も同様なのです。ストレスが溜まり過ぎてお金を貯めるモチベーションを失うと、その反動で散財したくなるのが人間です。

特に、食費を切り詰めるのは、心だけでなく体の健康にも悪影響を及ぼします。そんな理由から、支出を減らすときにもっとも削ってはいけないのが、食費だとわたしは考えています。

ある女性の話ですが、彼女は食費を毎月1万円でやりくりしようとしました。もちろんすべて、自炊です。結果、彼女の家庭の食卓は「真っ白」になってしまったそうです。食卓に並ぶのは、豆腐、もやし、白菜など、安い食材ばかり……。その結果、家族はその食事にうんざりして、食卓の楽しさは消え、大学生の息子さんは家で食事をする機会が減り、外食が多くなってしまいました。

これは、多くの人にあてはまることです。食費を切り詰めるために、ランチはコンビニのおにぎり1個とサラダだけ、パン1個とヨーグルトだけに。そんな経験はありませんか?支出を減らすために無理をして体をこわしてしまったら、元も子もありません。

食費を削ることを考えるのはやめて、バランスの取れた「朝・昼・晩の3食」をしっかりと食べることを意識してください。そうすることで、バリバリ働ける栄養素を摂ることができ、それこそ無駄遣いにつながる間食もしなくなります。もちろん、きちんとした食生活により、心だって満たされるはずです。お金を貯めるためには、なにより健康を維持することが欠かせないのです。

そして、食費を減らすのと同じくらいやってはいけないことが、お小遣いを減らすことです。ストレス社会に生きるわたしたちにとって、自分のお小遣いで楽しめる息抜きはとても大切なものです。

新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年と、コロナ禍になった2020年を比較した家計の変化を見ると(総務省統計局「家計調査 (品目分類)1世帯当たり年間の支出金額、購入数量及び平均価格」)、家計消費の酒類は16%、タバコは12%も上昇していました。外出自粛で溜まっていくストレスを、お酒やタバコで発散させていたのかもしれません。お酒の飲み過ぎやタバコの吸い過ぎは健康を損ねるので推奨できませんが、それだけストレスを感じて生きていたというわかりやすい数字だと思います。

もちろん同時期に、趣味にお金をかけた人も多かったと推測します。家計のアドバイスを送るファイナンシャルプランナーとしてはちょっと珍しい意見に聞こえるかもしれませんが、決まった金額のお小遣いの範囲であれば、お酒、タバコ、趣味と同様に、競馬だって無理にやめることはないとすらわたしは思っています。

このように、「無理しない」ことをおすすめするのは、「お金を貯めることはマラソンと同じ」だと考えているからです。練習もせずにいきなりマラソン大会に出て全力疾走すれば、途中棄権することは目に見えています。まずは足慣らしからはじめて、徐々に自分のペースをつかんでいくことで長い時間走り続けることができるのです。

これはある医師の方から聞いた話ですが、糖尿病と診断された患者に、糖分の入っていない焼酎やウイスキーであればほんの少しなら飲んでよいと伝えたところ、それまでとても落ち込んでいた患者の顔がその瞬間にぱっと明るくなったそうです。その話を聞いて、人は長く生きていくうえで本当に好きなことをずっと我慢することはできないと感じました。

お金を貯めるにしても、「無理のない部分からはじめる」ことです。そして、長く続けるためには、「楽なことから実践する」ことが欠かせません。家族に内緒でお小遣いの範囲を超えてギャンブルに何万円もつぎ込むくらいなら、自分のお小遣いの範囲内で堂々と楽しむほうがずっと健全ではありませんか?

支出を減らすには、食費やお小遣いを減らすより先に、なにより固定費を見直すことです。固定費とは、日々の行動に関係なく、毎月一定額かかる生活費を指します。住居費、スマートフォンなどの通信料、サブスクリプションサービスの利用料、各種保険料、スポーツジム利用料、習いごとの会費。それから、クレジットカードなどの年会費も該当します。それら無意識に払っている固定費を見直すだけでも、貯蓄にまわせるお金をつくることができます。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


この記事のひときわ#やくにたつ
・我慢しなくても、お金を貯めることはできる
・お金を貯めるには無理のない部分からはじめる。長く続けるコツは楽なことから実践すること

編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼

『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』
株式会社KADOKAWA(2022)

【プロフィール】
飯村久美(いいむら・くみ)
金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年FP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(アスコム)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)、『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。FP事務所アイプランニング https://www.fp-iimura.jp

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