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温泉ホテルチェーン「湯快リゾート」が低価格な理由とは?画期的なビジネスモデルでコロナ禍で閉館したホテルはゼロ

2023/12/29 19:00 | 更新 2023/12/31 14:09
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昨今のサウナブームにより、「サ活」(サウナ活動)や「サ旅」(全国各地のサウナ施設を巡る旅)を楽しむ人々が増え、サウナ付きの宿泊施設が人気を博している。

西日本を中心に展開し、リーズナブルな料金設定で温泉やバイキングを楽しめる温泉ホテルチェーン「湯快リゾート」もそのひとつだ。同社は、業界内で居抜き物件を活用した店舗展開にいち早く着手し、さらにコロナ禍でも閉店した店舗がゼロに終わるなど、独特かつ画期的なビジネスモデルを展開しているという。

今回は、湯快リゾート株式会社(以下、湯快リゾート) セールス&マーケティング部の本庄俊晴さんに、さまざまな成功を収めたビジネスモデルとその変遷について話を聞いた。

わんちゃんOKのホテルも!湯快リゾートの画期的なビジネスモデルとは?
わんちゃんOKのホテルも!湯快リゾートの画期的なビジネスモデルとは?【画像提供=湯快リゾート】


低価格の理由は「物件の再利用」と「バイキング」

2003年9月に創業した湯快リゾートだが、異業種との交流を通じて、経営破綻したホテルを居抜き物件として再利用するビジネスモデルを得る機会があったという。当時の温泉ホテルチェーンとしては画期的だったこの手法を、同社はいち早く取り入れた。

廃業したホテルや旅館を再利用することで、初期投資を大幅にカットしている
廃業したホテルや旅館を再利用することで、初期投資を大幅にカットしている【画像提供=湯快リゾート】


その結果、内装工事のコストを大幅にカットし、既存の従業員や仕入れ業者も引き続き雇用することで、初期費用を最小限に抑えることに成功。さらに、これまでのホテルにはなかった革新的なシステムも導入している。

「かつては、会社などの慰安旅行で旅館に宿泊するお客様がほとんどでした。そこで弊社は、会席料理ではなく、気軽に楽しめるバイキング形式を採用。これが当時は珍しかったんです。さらに、コストカットによりカジュアルな料金形態にすることで、年に1回しか来ないお客様に2、3回来ていただける。そして温泉地全体の来場者が増えることが、地域貢献にもつながると考えたのです」

廃業したホテルや旅館の建物や、その従業員の雇用も継続し、湯快リゾートとして地域を盛り上げていく。これらの取り組みが、同社が掲げるコンセプト「笑顔の源泉に」にもつながっている。

敷居の高い会席料理からバイキング形式に変更
敷居の高い会席料理からバイキング形式に変更【画像提供=湯快リゾート】


わんちゃんも一緒に泊まれるプランが誕生!三方良しのビジネスモデル

湯快リゾートは、2023年9月で創業20周年を迎えたのを機にブランドタイプを一新。「プレミアムタイプ」「スタンダードタイプ」「わんわんタイプ」の3種類から、宿泊目的に応じて選べるようになった。なかでも「わんわんタイプ」は、コロナ禍で業績が伸びていたペット業界に注目したことがきっかけで誕生したそうだ。

「2022年に『湯快わんわんリゾート』という新しい業態のホテルを石川県にオープンしました。もともと別のホテルで、わんちゃんが泊まれる部屋を数部屋提供していたのですが、ほとんどの方がわんちゃん連れではないので、宿泊者から『居心地の悪さを感じてしまう』といった声がありました。それならば、わんちゃん専用のホテルを作れば、お客様も気楽に心地よく滞在していただけると思い、導入しました」

屋内でドッグランもできる。さらにわんちゃんに優しい畳やアロマを全室に設置
屋内でドッグランもできる。さらにわんちゃんに優しい畳やアロマを全室に設置


その後、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたことでさらにペット需要が高まったため、「わんわんタイプ」の採用にいたった。一方で、「弊社のホテルが同じエリア内に密集してしまったため、各ホテルに異なるコンセプトを設けることで、エリア全体のホテルをご利用いただきたい、という狙いもあります」と話す本庄さん。こうして、顧客満足度を高めながら、湯快リゾートの事業における課題を解決。さらに地域活性化にもつなげる、まさに三方良しのビジネスモデルだ。

プレミアムタイプのホテルでは、ご当地プレミアムバイキングが楽しめる
プレミアムタイプのホテルでは、ご当地プレミアムバイキングが楽しめる【画像提供=湯快リゾート】


コロナ禍でも閉館したホテルはゼロ!堅調に経営できていたワケ

創業当初から画期的なビジネスモデルを打ち出し続けてきた湯快リゾートは、コロナ禍でさえ、閉店したホテルはひとつもなかったという。多くの業種が苦戦した状況においても堅調に経営できていた理由とは何なのだろうか。

「販売する時期や需要に合わせて価格の設定を変更する『ダイナミックプライシング』を用いて、稼働率が高い場所は料金を上げていく方針にしました。加えて、『Go To トラベルキャンペーン』や各種旅行支援を活用したことで、コロナ禍にもかかわらず、2021年に『ホテル風月』をオープンできたり、先ほどお伝えした『湯快わんわんリゾート』をオープンしたりと、むしろ拡大することができました」

とはいえ、コロナ禍で客足が激減していた点においては、湯快リゾートも例外ではなかったそう。本庄さんは「2020年5月は全館閉鎖していたので、このころが最も苦しかったですね」と語る。開館するホテルはエリアで1館にとどめるなど、利用者の需要に合わせ、開館と閉館を調整。開館の再開当初は密を防ぐため、バイキングの利用客には盛り付けた食べ物をパックに詰めてもらい、自室での食事をお願いするなどの対応をしていたようだ。そして2023年12月現在、集客数はコロナ前の水準まで回復した。

マーケティングと併せて大切にしているのが「遊び心」と「情熱」だそう
マーケティングと併せて大切にしているのが「遊び心」と「情熱」だそう【画像提供=湯快リゾート】

「いろいろなことに情熱を持ってチャレンジして、ダメだったらやめてまたそこから策を考える」が湯快リゾートの社風だそう
「いろいろなことに情熱を持ってチャレンジして、ダメだったらやめてまたそこから策を考える」が湯快リゾートの社風だそう【画像提供=湯快リゾート】


チャレンジ精神はそのままに、経営統合でリーディングカンパニーを目指す

2024年春、湯快リゾートは東日本を中心に温泉宿泊施設を運営する「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社」と経営統合する。東と西、それぞれで同じリゾート温泉チェーンとしてホテル業を担ってきた2つが統合することで、両チェーンのいいとこ取りを行い、さらなる顧客の支持を高める狙いだ。

本庄さんは「規模としては日本全国になるので、低価格高品質の温泉リゾートチェーンとして、この業界のリーディングカンパニーになりたい。これが我々の掲げている目標です」と意気込んだ。

2023年7月には湯快リゾート最大規模のサウナ施設を併設した「よしのや依緑園」がリニューアルオープンするなど、世の中のトレンドを積極的に取り入れている
2023年7月には湯快リゾート最大規模のサウナ施設を併設した「よしのや依緑園」がリニューアルオープンするなど、世の中のトレンドを積極的に取り入れている【画像提供=湯快リゾート】


コロナ禍が落ち着きを見せ、ホテル業界はさらに激戦化していくことが予想されるが、そんな状況でもチャレンジ精神を持ち続けながらまい進する湯快リゾート。今後のさらなる事業展開に期待したい。

取材=西脇章太(にげば企画)
文=永田奏歩(にげば企画)

湯快リゾート 公式サイト:https://yukai-r.jp/

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