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住宅ローンの疑問をFPが解説。「固定金利」と「変動金利」はどっちがお得?

2023/11/03 19:30
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20代といった若い世代であれば、まだ「ローン」を組んだ経験がある人は少ないかもしれない。では、そもそもローンとはなにか。そして、ローンの代表格である「住宅ローン」をめぐってよく議論される「固定金利」と「変動金利」はどちらがいいのか。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに聞いた。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんにインタビュー
ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんにインタビュー【撮影=藤巻祐介】


ローンを組むときに、どんなところを審査されるのか

銀行や消費者金融といった金融機関は、個人にお金を貸し出す業務を行っています。お金を借りることを「借入」といいますが、そのうち特定の商品購入のためにお金を借り、少しずつ返済していく仕組みを「ローン」といいます。

もちろん、金融機関も誰にでもお金を貸してくれるわけではありません。金融機関からお金を借りようと思えば、きちんと返済できる能力があるかどうかを厳しく審査されます。

では、ローンを組む際に有利になるのはどんな人で、逆に不利になるのはどんな人でしょうか。こまかい基準については金融機関によって違いがあり、またそれらは公開されていませんから、ここでは一般的な基準についてお伝えします。

まず、ローンを組む際に有利な人は、問答無用で高収入の人です。そして、一時的に数年だけ高収入といった人ではなく、たとえば大企業に勤めている人や公務員、医師や弁護士など、安定して高い収入を得られる人が有利です。

逆にいうと、自営業者や非正規社員など、収入が低かったり不安定だったりする人は不利になります。いわゆる芸人の人たちも不利です。一時的にはブレイクして高収入を得ることもありますが、やはりその収入が安定して入り続けるとは限らないからです。

また、年齢もローンを組む際の審査基準です。60歳近くなってくると、今後も稼ぐことができるかどうか不透明なため、これもまた不利になります。

そういった情報のほか、金融機関は、個人信用情報機関というところでこれまでに借入金の返済が滞っていないかといった信用情報もチェックします。少し前には、スマホ代の支払いを忘れたことによってローンを組めなかった人が続出したことが話題になりましたよね。スマホの機種代を割賦で払っているケースで支払いを忘れると、まさに借入金の返済が滞ったことになるからです。

【写真】ローンを組む際は「安定して高い収入を得られる人が有利」
【写真】ローンを組む際は「安定して高い収入を得られる人が有利」【撮影=藤巻祐介】

変動金利、固定金利それぞれのメリットとデメリット

「ローン」というと、20代といったまだ若い世代の人の場合だと自分で組んだ経験はないかもしれません。そういう人であっても、よく見聞きするのが「住宅ローン」ではないでしょうか。

住宅ローンの金利プランは、「変動金利」と「固定金利」の大きくふたつに分けられます。変動金利は、市場の金利変動に応じて金利が変動する可能性があるプランのこと。市場金利が低いほど低い金利でローンを組むことができます。固定金利と比べて基本的に金利が低く設定されている点がメリットですが、市場の金利変動によっては固定金利よりも金利が上がるリスクもあることがデメリットです。

一方の固定金利は、契約時に決まった金利が完済までずっと続くプランのこと。金利変動の心配がない点や、市場金利が上昇したときにも返済額が変わらないために将来までの返済計画を立てやすい点がメリットですが、基本的に変動金利と比べて金利が高いというデメリットがあります。

住宅ローンの金利プランには、5年間や10年間など最初の数年間は金利が固定され、その後にあらためて期間を限定した固定金利や変動金利を選択する「固定金利期間選択型」というプランもありますが、基本的には変動金利と固定金利の2種類だととらえて問題ないでしょう。

変動金利、固定金利それぞれのメリットとデメリットを説明する横山光昭さん
変動金利、固定金利それぞれのメリットとデメリットを説明する横山光昭さん【撮影=藤巻祐介】

資産状況、借入期間、借入金額によってチョイスする

この変動金利と固定金利をめぐっては、「どちらがベストの選択か」ということがよく議論の的になります。では、どちらがベストなのでしょうか。

この疑問に対する回答としては、申し訳ないのですが、「人それぞれ」としかいいようがありません。なぜなら、ローンによる借入金額や借入期間、資産状況はそれこそ人それぞれだからです。

ただし、ひとつの目安を示すことはできます。たとえば、資産に余裕があり、借入期間が短く、借入金額が小さいという場合は、変動金利のメリットを受けやすいといえます。金利が低いうちに完済できることがあるからです。

逆にいえば、資産にあまり余裕がなく、借入期間が長く、借入金額も大きいという場合は、変動金利のデメリットを受けるリスクが高まります。金利が高くなったときには、返済額がそれだけ大きくなってしまうのです。ですから、こういうケースでは固定金利を選ぶのが賢明でしょう。

特に、先にもお伝えしたような自営業者など収入が不安定だという人には固定金利をおすすめします。最終的に変動金利よりも返済額が大きくなる可能性もありますが、それよりも金利が高まった場合のリスクが大きいと考えたほうがいいでしょう。

それから、住宅ローンの借入金額は、月の返済額が手取り月収の20〜25%に抑えられるようにしましょう。手取り30万円の人なら、月の返済額は6万〜7万5000円、1年の返済額は72万〜90万円、35年ローンなら総額2520万〜3150万円です。少なく感じる人もいるかもしれませんが、これが無理なく返済できる借入金額の目安です。

若い人の場合、住宅ローンを組むのはまだ先の話で現実的ではないと思うかもしれませんが、将来のためにも少しずつ住宅ローンについても学んでおくことをおすすめします。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=藤巻祐介

『大人のためのお金の教養』総合法令出版(2021)
横山光昭 著

【プロフィール】横山光昭(よこやま・みつあき)
1971年生まれ、北海道出身。家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役。赤字家計の盲点を探りながら抜本的解決、確実な再生を目指す。個別の相談・指導では独自の貯金プログラムを活かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまでに2万4000件以上の赤字家計を再生した。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等の各種メディアでも活躍する。全国の読者や依頼者から共感や応援の声が集まる庶民派ファイナンシャルプランナー。『定年後でも間に合うつみたて投資』(KADOKAWA)、『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)、『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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