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これだけはしっかり守りたい。無理なく返済できる住宅ローンの金額を知るための4つのルール

2023/04/04 17:30 | 更新 2023/04/16 21:05
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いったい自分はいくらの家を買えるのか――。家の購入を真剣に考えていない人でも、不動産の広告の金額などを見てぼんやりと考えたことが一度はあるのではないだろうか。そこでアドバイスをお願いしたのは、不動産分野に精通する公認会計士として多くのメディアで活躍する千日太郎さん。住宅ローンを無理なく返済できる4つのルールを示してくれた。

不動産分野に精通する公認会計士として多くのメディアで活躍する千日太郎さんにインタビュー
不動産分野に精通する公認会計士として多くのメディアで活躍する千日太郎さんにインタビュー

毎月の返済額は、手取り月収の4割以下にする

無理なく返済できる住宅ローンの金額を計算するにあたっては、以下の4つのルールをあてはめてシミュレーションすることを推奨しています。

【住宅ローンを無理なく返済できる4つのルール】
①毎月の返済額は「手取り月収の4割以下でボーナス払いなし」
②返済額が一定になる「元利均等返済」
③シミュレーションの金利は「固定金利」
④定年時のローン残高は「1000万円以下」

まず1つ目のルールは、「毎月の返済額は『手取り月収の4割以下でボーナス払いなし』」というものです。銀行が住宅ローン融資の審査をする際の判断材料とするものに「返済負担率」があります。これは、税込み年収に対する1年間の返済金額の総額の比率のこと。次の計算式で算出できます。

返済負担率=1年間の返済総額÷額面年収×100

そして、国土交通省が民間金融機関に対して行った「令和3年度民間住宅ローンの実態調査」から、各金融機関が返済負担率の上限を何%に設定しているかがわかります。

【返済負担率の上限】
・50%以内:0
・45%以内:33
・40%以内:29
・35%以内:24
・30%以内:27
・20%以内:5
・その他:72

多くの民間金融機関が、返済負担率を30〜45%に設定しており、50%以内にしている金融機関はないことがわかります。1年間の返済金額が税込み年収の45%以内でなければ、住宅ローン審査にはまず通らないということです。

ただし、住宅ローンの支払いは月ごとですので、手取り月収をベースに判断するほうがより実践的といえます。「無理なく完済できるか」という視点からいえば、私は、毎月の返済額を手取り月収の4割以下にすることをおすすめしています。

若い人が手を出しがちな「ボーナス払い」が危険なわけ

そして、特に若い人におすすめしたいのが、「ボーナス払いなし」という点です。若い人の場合、現在の年収は低めです。そのため、「今の年収をベースにシミュレーションしたら、返済期間を長くとれても自分が欲しい家は買えない……」というジレンマにおちいり、ボーナス払いを考えるのです。

でも、私はボーナス払いだけはおすすめしません。35年ローンの場合、月々の支払いは12回×35年で420回です。それにボーナス払いを加えると、夏と冬の2回×35年の70回の支払いが加わることとなり、合計490回の支払いというミッションをミスなくこなすことが求められるようになります。つまり、それだけ難易度が跳ね上がるのです。

住宅ローンの約定は最後まで変わりませんが、給与規定は変更されることが珍しくありません。年俸制になったり、転職や転籍によってボーナスの支給月が変わったりすることもありますし、勤め先の業績が傾いてボーナスが削減されることだってあり得ます。

住宅ローンは契約によって35年間にわたり支払う金額が決められています。しかし、ボーナスを35年間にわたって支払い続けることを約束する会社はありません。ですから、ボーナスが出ることを前提に住宅ローンの返済計画を立てることなどあってはならないのです。

定年時のローン残高は1000万円以下に抑える

次に解説するルールは、「定年時のローン残高は『1000万円以下』」です。20代といった若いときに家を購入するのであれば別ですが、35年ローンを組んだ場合、30代から住宅を購入する人たちはローン完済より先に定年退職を迎えることになります。

そのため、定年時のローン残高がいくらになるかをきちんと考えておくことはとても重要です。その金額を定年までに繰り上げ返済しないと、現役のうちに住宅ローンを完済できません。

定年時のローン残高が1000万円を超える住宅ローンは、非常に危険だと私は考えています。一般的な社会人の給料で1000万円を貯めるにはかなりの年月が必要です。そのため、現役時代の貯蓄で住宅ローンを完済し、余剰資金は老後資金にあてられるような返済計画を立てる必要があります。

また、住宅ローンの支払い方式を「元利均等返済方式」にすることをすすめています。これは、元本と利息込みで毎月の返済額を均等にする返済方式です。毎月の返済額が一定になるので、返済計画を立てやすくなります。

そして、シミュレーションをする際の金利は「固定金利」にしましょう。変動金利は借りたあとの金利上昇リスクを加味しなければなりませんが、固定金利は融資実行時の金利で固定されるためです。「固定金利で借りるべき」ということではなく、無理なく返済できる住宅ローンかを判定するにあたっては、固定金利でシミュレーションしてみるべきだということです。

そのうえで変動金利を選択する場合にはリスクに備える必要があります。変動金利は固定金利より金利が低いというメリットがありますが、金利が上昇するというリスクも伴います。金利上昇のリスクには自己資金で対応しなければなりません。そのため、変動金利を選択する場合には、毎月の支払い額の4分の1にあたる金額を貯蓄して自己資金を増やすことを推奨しています。変動金利を選択していいかを判断するにあたっては、毎月の支払い額とその4分の1の金額の貯蓄の合計額が手取り月収の4割以下に抑えられることがひとつの目安であると考えています。

4つのルールを超過した額=身の丈を超えた額

もし4つのルールのうち①と④を超えた金額の住宅ローンを借りるとどうなるでしょう?それは身の丈を超えた住宅ローンであるということです。

例えば①「毎月の返済額が『手取り月収の4割以下でボーナス払いなし』」のルールを超えた金額となっていたら、返済の継続がしんどくなります。少しの超過であれば、家計のやりくりによってなんとかなりますが、大きく超過すると危険です。

特に若いときには収入がそれほど高くないにもかかわらず、結婚や出産、子育てなど大きなお金が必要なライフイベントも多いものです。そうしたタイミングに自分の収入に見合っていない家を買ってしまうと、普段のお金のやりくりに苦労してしまうでしょう。せっかく買った家を資産としてしっかり残すためにも、「無理なく完済できる」視点を持って購入する家を選んでください。

では、最後にこれら4つのルールに基づいて、頭金ゼロで購入できる家の価格を年齢・手取り月収別に示してみましょう。頭金が用意できる人なら、この表の数字にそれを加算することで購入できる家の価格がわかります。

【画像】年齢・手取り月収別「頭金ゼロで買える家」の価格
【画像】年齢・手取り月収別「頭金ゼロで買える家」の価格


もちろん、この金額以上の家を買ってはいけないというわけではありません。でも、その超えた金額に応じたリスクがあるので、しっかりと対策すべきことを認識しておきましょう。

この記事のひときわ#やくにたつ
・住宅ローンの毎月の返済額は手取り月収の4割以下にする
・定年時のローン残高は1000万円以下に抑える

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹

『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』
日本実業出版社(2018)
千日太郎 著

【プロフィール】千日太郎(せんにち・たろう)
1972年生まれ、兵庫県出身。オフィス千日合同会社代表社員、公認会計士。監査法人勤務時代に資格を伏せて開始した「千日のブログ」がきっかけとなり、住宅ローン不動産分野のコラムニストとして現在にいたる。匿名の相談に無料で回答しYouTubeで公開する「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」は、たしかな分析力と歯に衣着せぬ的確なアドバイスが評判となり、読者からの相談が途切れることがない。その豊富な相談事例とロジックをAIに応用させたスマートフォンアプリの「AI住宅ローンシミュレータ」は、ファイナンシャル・プランナーのみならず住宅購入希望者必携のアプリとなっている。著書に『50歳からの賢い住宅購入』(同文館出版)、『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)、『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』(日本実業出版社)がある。

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