最近の物価高などの影響もあり、「節約意識」が大きく高まっているといわれている昨今。「お金のプロ」はどんな節約をしているのだろうか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんに話を聞いたところ、「お酒をコンビニで買えばお金が貯まる」という意外な答えが返ってきた。その真意を教えてもらう。

ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんにインタビュー
ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんにインタビュー【撮影=藤巻祐介】

買い物の回数自体を減らして、衝動を抑える

近年の日本における節約意識の高まりにはさまざまな要因がありますが、そのひとつがコロナ禍でしょう。「世界を揺るがすような重大な問題が起きたときには、自分でなんとかしないといけない」「そのためにはお金を貯めておかないといけない」という気持ちを多くの人が持ったからです。

また、最近の物価高の影響も大きなものです。政府の要望に応じて賃上げを実施した企業もあるとはいえ、そういった企業はごく一部にとどまっています。多くの人の給料は横ばい、あるいはコロナ禍による業績悪化などの影響を受けて給料が下がった人だっているでしょう。

にもかかわらず、水道光熱費をはじめとした物価は目に見えて上がっていますし、これからも上がっていく可能性は高い。そんな先行き不透明感もあって、やはり節約意識が高まっているのだと思います。

そんななか、さまざまなメディアで節約術が取り上げられていますし、私自身もいくつもの節約術を提唱していますが、ここでその一部を紹介しましょう。ひとつが、「買い物の回数を極力減らす」ということです。

必要のないものまで買ってしまうのは、そのものを見て「欲しい」という衝動が生まれるからです。「おしょうゆが切れているから」とスーパーに行ったのに、帰りにはおしょうゆ以外のものをたくさん買ってしまっていることもあるのは、その衝動が要因です。

逆にいうと、節約をするためには商品を見なければいいだけのこと。そのために、買い物の回数をなるべく減らし、最低でも1週間に1回は、お金を一切使わない「ノーマネーデー」を設けるようにしてみてください

【写真】「お酒はコンビニで買う」理由について、「大のお酒好きで、あればあるだけ飲んでしまうタイプだから」と黒田尚子さん
【写真】「お酒はコンビニで買う」理由について、「大のお酒好きで、あればあるだけ飲んでしまうタイプだから」と黒田尚子さん【撮影=藤巻祐介】

お得なはずのまとめ買いが無駄な出費になるケースも

その一方で、私の場合は、「お酒はコンビニで買う」ことが少なくありません。ちょっと意外に感じた人もいるでしょう。コンビニに比べたらスーパーや量販店のほうが割安ですから、そう感じる人がいるのも当然です。

でも実は、私も夫も大のお酒好きで、あればあるだけ飲んでしまうタイプ。そのため、量販店でケース買いをしてしまうとあっという間に飲み干してしまい、結果的にたくさんのお金を使うことになるのです。もちろん、健康にもよくありませんしね……(苦笑)。ですから、私の場合、お酒はコンビニで1日1本だけ買うというふうにしているわけです。

もちろん、すべての人にお酒はコンビニで買うべきだといいたいわけではありません。私にとってのお酒のように、たとえ単価は安くともまとめ買いすると結果的に無駄な出費につながるものについては、まとめ買いしないようにすべきだということを言いたいのです。

人によっては、例えばスイーツがそれにあたるかもしれません。手元に甘いものがあるとつい食べすぎてしまうという人の場合、例えばアイスクリームを買うのも経済的だからと大きなバーレルサイズの商品を買うのではなく、やはり本当に欲しいときに小さなものをひとつだけ買うようにするのです。

ひとり暮らしの人の場合、それこそコンビニが強い味方になってくれることもあります。3食きっちり自炊をする人の場合なら割安なスーパーなどで食材を買ってやりくりすべきです。でも、外食や飲み会が続いて食材を腐らせてしまうようなことがあるのなら、多少割高であってもコンビニのおひとりさまサイズの食材やお惣菜を買ったほうがいいということもあるはずです。