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成長株は「日常生活」のなかにある?決算書だけに頼らない個別銘柄株の探し方

2023/10/28 19:30
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インデックス投資なら「S&P500」や「オールカントリー」など手堅い定番商品があるが、米国株で個別銘柄株にチャレンジしようと思うと、何を買ったらいいか迷ってしまう人も多いだろう。米国株投資の人気YouTuberであるロジャーパパさんに、個別銘柄株を選ぶ「とっかかり」について話を伺った。

 投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」
投資系YouTuber・ロジャーパパの「相場の格言から学ぶ株式投資」

生活のなかで成長企業へのアンテナを張ってみる

普段生活しているなかで、「最近、このサービスをみんな使っているな」とか「自分が子どものころから、このブランドってあるよな」と感じる、商品やサービスがあると思います。

株式投資のきっかけも、そうした生活のなかにヒントがあります。個別銘柄株の株価というのは、投資家たちが「この会社に成長してほしい」「この会社は株価が上がりそうだ」という期待を持つから、株が買われ、株価が上昇します。みなさんの生活のなかで、どんどん利用者が増えているサービスや、買われている商品、愛されているブランドがあれば、その会社の業績は高まり株価も上がっていきますから、投資判断のひとつになるのです。

私は2013年に、のちに「GAFA」として括られる企業の一社に入社したのですが、その当時はまだ、エリート企業という印象はなく、外資の大型ベンチャーという印象で、不安要素もありました。ですが、国内企業ではなくアメリカ資本の企業にいくことを決めたのは、自分自身の生活に、アメリカ資本が浸透していく変化を実感したことが理由でした。

例えば、2000年代までなら、携帯電話といえばNECや富士通など、国内メーカーの製品があたりまえだったのに、2010年代には日本でもほとんどの人がiPhoneを使い、国内メーカー品はシェアを失っていきました。SNSでも、2000年代のmixiから、2010年代はTwitter(現・X)やFacebookに移り変わり、検索エンジンもYahoo!JAPANからGoogleにシェアが移っていました。ECサイトでも、Amazonは生活インフラとなっています。

就職や転職もまた、「自分の労働力をどこに提供することでいい対価を得られるか」という意味では、投資です。2013年当時、ITやハイテク産業で働くのなら、国内企業よりアメリカ企業に成長性があり、高いリターンが得られることが生活のなかでも感じられたわけです。

株式投資に話を戻しましょう。日本で生活していれば、国内企業の製品やサービスは身近ですから、商品やサービスが消費者に支持されているかどうかはわかりやすいでしょう。また、アメリカ資本のブランドや商品、サービスも、意識してみれば国内にありふれています。特にハイテク産業では、むしろ国内メーカーのプレゼンスのほうが低いことは先にお伝えしたとおりです。

ただし、生活実感だけで投資先を決めることは禁物です。株式投資において、特に個別銘柄株の短期投資であれば、ファンダメンタルズに基づいて株価の予測を立てるべきだからです。

ファンダメンタルズとは?

国や企業などの経済状況を示す指標のこと。国であれば、経済成長率や物価上昇率、失業率などから国の経済状況がわかります。企業であれば、四半期ごとの決算書が企業の成長性を示すファンダメンタルズとなります。


しかしながら、さまざまな企業のファンダメンタルズだけを見比べて成長する銘柄を探すことも、ちょっと難しいですよね。プロの機関投資家ならできても、本業がある一般投資家には、そんな時間はありません。ですから、生活実感とファンダメンタルズの分析を掛け合わせるのです。

日頃の生活のなかでアンテナを張ってみてください。身の回りの「成長企業」に気づく習慣を持つことで「仮説」を立て、その仮説を、ファンダメンタルズを見て検証するというパターンをつくることができます。

パターンを積み重ね、自分の生活実感と企業の業績が「合致するとき」と「しないとき」の事例をたくさん知ることで、仮説の精度を高めていくことが可能なのです。

消費者の実態で判断したバフェットの逸話

ファンダメンタルズだけでは企業の成長性や信頼性を測れないことを伝える、こんな言葉と逸話があります。

「ベンは決算書の数字ばかり見ていましたが、私は帳簿に記載されない資産や、目に見えない資産に着目している」
——ウォーレン・バフェット

ウォーレン・バフェットは、世界有数の大富豪であり、機関投資家として1964年〜2018年の54年間で約1万900倍のリターンという驚異的な実績を持つことから、“投資の神様”として尊敬されている人物です。

また、冒頭の「ベン」とは、バフェットの投資の師匠であるベンジャミン・グレアムのことで、今日でも「バリュー投資の父」として尊敬される投資家です。投資において企業の業績を重視するグレアムに対し、バフェットも当然、投資候補企業の決算書を深く読み込んで分析をするのですが、「それだけではない」ことを語っています。

こんな逸話があります。クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレス(アメックス)は、古くからのバフェットの投資先です。

このアメックスが、1960年代に「サラダオイル事件」と呼ばれる詐欺事件に巻き込まれて、膨大な損失額と企業イメージの低下により、著しく株式市場の信頼を失った時期がありました。多くの投資家がアメックスに見切りをつけて株を手放すため、アメックスの株価は暴落。しかし、バフェットはむしろ企業価値に対して割安と見て、アメックス株を大量に取得したのです。

バフェットが「アメックスの企業価値は落ちていない」と考えた根拠は、「消費者の反応」でした。バフェットは街の飲食店や物販店をリサーチし、事件後も消費者のあいだでは変わらずにアメックスのカードやトラベラーズチェックが利用され続けていることに注目しました。つまり、アメックスに対する株式市場の信頼は地に落ちていても、消費者からの信用は変わりなかったのです。

そんな情報は、決算書などのファンダメンタルズには記されません。バフェットは自分で足を運んでエンドユーザーをリサーチすることで、アメックスの業績回復を確信しました。そして、実際に2年後にはアメックスの株価は元に戻り、その後も右肩上がりで成長し続けたのです。一般投資家には困難な投資判断ですが、ファンダメンタルズがすべてではないことを物語る逸話です。

投資のきっかけは、積極的な情報収集がカギ

ファンダメンタルズの分析だけで、企業の成長や株価の上昇を100%予測することは、どんなに高名な学者にも不可能といっていいでしょう。そこに、みなさんの「消費者としての実感」を加えることで、可能性を1%でも引き上げていくことが大切です。消費者としての実感は、決して馬鹿にできない感覚です。

自分がひとりの消費者として、「この製品は私たちの実態を理解している」「このサービスは国民性に合っていて、長く愛される気がする」「サポート対応がとても丁寧で、企業の姿勢に信頼が持てる」と思うものは、大多数の人もそう感じているかもしれないからです。ただし、その実感だけで判断をせず、ファンダメンタルズで業績の実態を確認することが大切と冒頭でお話しました。

さらにいえば、ファンダメンタルズ以外の情報にもアンテナを張り、積極的に情報を取っていくことが大切です。株式投資をはじめると、情報収集の手段として使っている証券会社の配信情報に頼りがちです。幅広い企業の決算情報の要点を知ることができますし、アナリストの予測や解説はとても参考になります。でもそれは、ファンダメンタルズの要約と「他人のレコメンド」にすぎません。

市場の経済動向や消費動向、ヒット商品、自分以外の消費者の声などを知るには、新聞などのメディアに日頃から目を通すことが重要です。あなたの消費者としての実感と、ファンダメンタルズのあいだの情報を深く広く提供してくれます。

一点おすすめしたいこととしては、「無料の情報」にばかり頼らないことが挙げられます。アメリカと比較して、日本人は「無料の情報」に頼る傾向にありますが、海外では信頼できる情報は有料であり、情報の価値を高く見ています。

私自身が無料のYouTubeチャンネルを配信しておきながら……妙な話かもしれません。しかし、私も日頃から情報を得るために、さまざまな有料メディアを購読しています。私はアメリカ株を専門としていますから、アメリカ市場の動向を知るには、やはり「ウォール・ストリートジャーナル」などのアメリカの金融・経済紙が参考になります。

突き詰めれば、FRBやホワイトハウスの公式発表をWebサイトでチェックするなど、一次情報にあたることがよりよいリサーチです。しかし、理解するのは大変ですし、なかなか情報を追ってもいられないですよね。ですから、購読料は安くはありませんが、金融・経済紙は幅広く網羅的な情報が手に入り、効率的かつ効果的なのです。

そうしたメディアにもアンテナを張って、「この企業は伸びるのではないか?」と仮説立てをし、ファンダメンタルズを精査して、その業種の消費動向や企業の決算状況を確認する。そこで学びを得て、さらに確信を持った株を実際に買ってみて、また学びを得る。株を買う前と買った後、ふたつの学びを積み重ねることで、あなたの株式投資の見識は深まっていきます。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟

『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』
SBクリエイティブ(2022)
ロジャーパパ 著

【プロフィール】ロジャーパパ
GAFA企業での勤務のかたわら、2017年より本格的に米国株を中心とした株式投資をスタート。身につけた株式投資の知識を活かし、2019年よりYouTubeチャンネル『ロジャーパパの米国株投資』を開設し、2023年3月現在、チャンネル登録者数11.2万人の人気チャンネルに成長。現在は9年勤続したGAFA企業を退職し、2021年11月よりFIREを実現。証券会社等のセミナーに登壇するほか、外資時代の人脈を活かし企業の外部取締役も勤めている。著書に『月5万円の米国株投資で経済的自立を達成する! FIRE最強の教科書』(SBクリエイティブ)がある。

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