飛行機に搭乗し、機内のサービス業務や保安業務に従事するのはCA(キャビンアテンダント)。では、GSと呼ばれる人たちのことはご存知だろうか?
GSとはグランドスタッフ。チェックインカウンターでの搭乗手続きや、搭乗ゲートの案内業務、乗り継ぎ便案内や手荷物受け取りのサポートなど、出発便・到着便にまつわる空港内業務に携わる人たちのことだ。“空港の顔”と呼ばれることもあり、華やかなイメージのある職業だが、その裏には厳しさもあるようだ。


漫画の作者は二児の母であるharumamaさん。独身時代、気軽な気持ちから航空業界に飛び込み、GSとして働いた経験を「航空業界で働いてみたら」として連載している。航空業会社で働いていた日々がどのようなものだったのか、harumamaさんに聞いた。
専門スクールに行かなくても航空会社に就職は可能!「ただし、心身ともにタフさが必要」
新卒で入った会社は「早々にドロップアウト」してしまったというharumamaさん。
「航空業界とはまったく関係のない会社で、営業補佐のような仕事に就いていました。かなりの激務だったので、早々に退職してしまいました」
そこから2年間の語学留学を経て、何をするか悩んでいたharumamaさんが目にしたのは航空会社の求人。「毎日空港とか楽しくない?良さげ!」という気軽な気持ちから航空会社への就活を決めたのだそう。しかし、航空会社に勤めるとなると、専門スクールに通ったり、特別な資格が必要だったりはしないのだろうか?
「CAやGSになるためのスクールはあるんですが、航空会社の募集条件を満たしていれば、スクールに通わずとも航空職に就くことは可能です!主に問われるのは身長や英語力、学歴、健康状態などなので、必ず必要な資格はないかと思います。ただ、問われる点数は会社によって違いますが、TOEICなどの英語能力試験の結果提出はほぼ必須なので英語力は必要ですね。とはいえ、私は英語が苦手なまま入社しました。あとから少々苦労しましたが…」
無事、ある航空会社に就職できたharumamaさんだったが、そこで待っていたのは厳しい先輩からの圧!特に「こわ井先輩」への苦手意識がすさまじく、研修期間中、チェックインカウンターで後ろにこわ井先輩がつき搭乗手続きをしなければならかったときは震えるような状態だったそう。苦手意識のある人にチェックされると思うと、余計に萎縮して、スムーズに事が運ばなくなってしまうは容易に想像がつくところだ。航空業界には「こわ井先輩」のような人はよくいるのだろうか?






「私は2社しか経験がないので一概に言えませんが、上下関係はしっかりとしていて厳しい先輩は一定数いました。が、もちろん優しい先輩上司もいます!飛行機やお客様の安全に関わるお仕事ですし、時間との戦いなので、厳しく指導が必要なこともあるかと思っています。先輩たちの発言に理不尽さを感じることもままありましたが。就職前は、めちゃくちゃ上下関係が厳しくて怖い人だらけで…みたいな想像をしていました。一部そのイメージは当たっていましたが、実際は優しい先輩や上司ももちろんいて、思っていたよりも楽しく仕事ができました。業務に関しては想像以上に責任とプレッシャーがあり、胃をすり減らすようなこともありましたが、やりがいはありました。あと、かなり体力勝負で驚きました。心身ともにタフさが必要です」
第11話・12話でこわ井先輩からの圧を受けたharumamaさんは「カウンターも怖いけど先輩の方が断然怖いし、この職場入るの間違ったかも…」と考える。しかし、「傷付いたけど、わたしが全然できていなかったのは事実だし!!」「ちゃんと一人前になってやる!!辞めるかどうかはその後だ」と勉強に励む。このガッツはどこから来たのだろうか?
「負けず嫌いなので、ちゃんとできないうちから投げ出すのは嫌だったのと、同期がいたので愚痴や泣き言を聞いてもらいながらなんとか乗り越えました」とのこと。
結果、航空業界では6年ほど働いていて、GSだけではなく、のちにCAとしての経験も積んでいったそう。GSとして働いていたときはチェックインや到着て荷物を取り扱う業務に従事していたという。
「GSの業務は多岐にわたります。出発ゲートでのアナウンスや飛行機にいるCAとの打ち合わせ、搭乗ゲートでの案内。到着手荷物を取り扱う業務では、破損した手荷物の手続きや未到着手荷物の捜索などしていました。会社によっては貨物業務に就くこともあります。私はチェックインが一番好きでした!」
漫画では先輩からのプレッシャーや理不尽さが目立つが、航空業界で働くことの魅力をharumamaさんに聞いた。
「限られた時間でも創意工夫をしてお客様の満足を得られたとき、困難をチームワークで乗り切ったときの爽快感が私にとっては大きなやりがいでした。CAとして働いていたときは、各地でのステイ(宿泊を伴う乗務)も楽しかったです。もちろん辛いときもありましたが、振り返ると楽しかった思い出がたくさんあります!」
「航空業界で働いてみたら」はInstagramとブログで不定期で更新中。新人GSとして奮闘する「はる子」の行く末を見守ってみてはどうか。
取材・文=西連寺くらら