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今回取り上げるのはパンのミミからクラフトビール(※1)を醸造する「Better life with upcycle」。モルトの一部にパンのミミを代替して造られたクラフトビールや新たにオープンしたクラフトビールブルワリーなど、Better life with upcycleの取り組みについて担当者に話を聞いてみた。
(※1)分類上は発泡酒
――「Better life with upcycle」をオープンした意図を教えてください。
主業の製パンでは毎日トラック1台分くらいのパン残渣が発生しています。多くはサンドイッチ用食パンから生まれるパンのミミです。弊社では添加物などを極力使わないため、パン作りには技術力を含め多くの労力を費やしています。切り落としたパンのミミは食パン全体の1/3の重量に相当しますが、大切に作ったパンの1/3が人に食べられることもなく、家畜の飼料となることに、ものづくりをする人間として釈然としない思いを長年抱いてきました。
ゆたかさの概念が変化するなかで、食品生産者として心血を注いだ製品を大切にすることを真剣に考えた末、生み出されるものはパンでなくてもいいのではないかという結論にいたりました。私たちの製品が、それぞれの人が思い描く多様なゆたかさの選択肢のひとつとなれたらと願います。
――「Better life with upcycle」のイチオシポイントを教えてください。
パンのミミから造ったビールということを入口として、単純にクラフトビールとしておいしいと感じてもらえるものであることがイチオシポイントです。食に携わってきた私たちだからこそ、おいしさを大切にしています。
――パンのミミからクラフトビールを造るアイデアはどのようにして生まれましたか？また、その実現に向けて苦労した点を教えてください。
5～6年ほど前、イギリスにTOAST ALEという廃棄パンから造られたビールがあることを知りました。4年ほど前のある日、いつもどおり山と積まれるパンのミミを見ていたときに、日本でこのプロジェクトをやるのは私たちだと突然、思いいたりました。
ですが、ビールのことが何もわからないパン屋です。手当たり次第にクラフトビールブルワリーにコンタクトしようとしましたが、ほとんど相手にしてもらえませんでした。そんななかで現在、当ブランドでも販売している3つのブルワリーさんに協力していただけることになり、2022年6月から販売を開始しました。ただ、事業として成立させるためにはスケールが必要です。市場ニーズに大きな手応えを感じたこともあいまって、2024年2月にアップサイクルをテーマにした自社醸造所「BD Lab」を開設しました。
――パンのミミから造られたクラフトビールはどのような味わいですか？
クラフトビールらしい華やかな香りと濃厚な味わいが特徴です。パンの味を出すことはあえて意識していません。純粋にビールとして楽しんでいただける仕上がりで、フードロス解消を自然なカタチで生活に取り込んでいただけることをコンセプトにしています。
――読者へのメッセージをお願いします。
アップサイクルは、ひとつのプロダクトのストーリーの終わりに手を加えて変化させることで、あらたなプロダクト・ストーリーを紡ぐことができる魔法のような手法です。ブランド1周年を記念して、昨年(2023年)、パンのミミ100％で造ったクラフトジンもリリースしました。私が調べた範囲にはなりますが、おそらくは世界ではじめてのパンのミミだけで醸造・蒸留されたジンです。今年(2024年)中にこちらの第2弾も計画中ですので、ぜひお楽しみいただければと思います。
3月初旬にはECサイトもリニューアル。愛情を込めた製品を大切にすることで生まれたパンのミミから造るアップサイクル・クラフトビールの今後に注目が集まる。
商品概要
(一部商品を紹介)
・American Wheat6本セット
価格：3432円
内容量：350ml
アルコール：4.0%
※酵母入りのため、濁りが生じる可能性あり。品質上問題なし
