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目指すのは“アイス界の最高峰”!九州人が愛する「ブラックモンブラン」がコラボ商品に抱く信念とは?

2024/04/16 18:30
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九州を代表するローカルスイーツとして知られる「ブラックモンブラン」。ザックザクのクッキークランチがアクセントとなった、チョコレートコーティングのアイスバーだ。佐賀県の竹下製菓株式会社が製造し、2024年で発売から55年を迎えた。

ローカルスイーツとはいえ、最近のブラックモンブランは他企業とコラボすることも多く、その名は全国に広がっている。コメダ珈琲店の「シロノワール」にチロルチョコの「きなこもち」とのコラボに加え、さらには「ブラックモンブランがカレーになりました」というユニークな商品も展開。その勢いはとどまることを知らない。

では、地元・九州で十分に愛されているブラックモンブランが、なぜここまで積極的なコラボを行うのか?今回は、その裏側について竹下製菓株式会社(以下、竹下製菓) 代表取締役社長の竹下真由さんに話を聞いた。

九州のローカルスイーツ「ブラックモンブラン」。さっぱりとしたバニラアイスをチョコレートとザックザク食感のクッキークランチでコーティングしたアイスバー
九州のローカルスイーツ「ブラックモンブラン」。さっぱりとしたバニラアイスをチョコレートとザックザク食感のクッキークランチでコーティングしたアイスバー


佐賀県が誇る老舗お菓子メーカーが作るアイスバー

まず、ブラックモンブランについて紹介したい。ブラックモンブランは佐賀県のほぼ中央に位置する小城市で作られており、製造元である竹下製菓の創業は今から130年以上前の明治時代。当時は、長崎カステラや薩摩カルカンといった南蛮菓子や、和菓子などを製造していたという。

アイスクリームの製造に乗り出したのは、戦後になってからだそうだ。1958年、竹下製菓は、それまでに培ったあずきとあんこのノウハウを活かした「あずきアイスキャンディー」を発売。

「最初に発売したアイスは、あずきのアイスバーだったと聞いています。『夏はお菓子が売れなくなる』という悩みが開発のきっかけでした。当時、日本でも製造が始まっていたアイスクリームを作れば、夏にも売れるのではないかと考えたそうです」

竹下製菓の本社工場
竹下製菓の本社工場

大正時代の竹下製菓の様子
大正時代の竹下製菓の様子


それから11年後の1969年、ヒット作となる「ブラックモンブラン」が誕生した。

「ブラックモンブランは、私の祖父であり3代目社長の竹下小太郎のひらめきから生まれたそうです。小太郎がアルプス山脈の最高峰といわれるモンブランを訪れた際に、『この真っ白い山にチョコレートをかけて食べたら、さぞおいしいだろう』と思ったことがきっかけです」

そこから、開発時に生まれた「寒い中でよりおいしく食べるなら、濃厚な味わいのアイスにクッキークランチを付けるといいのではないか」というアイデアが形となり、今の形状に。「アイス界の最高峰を目指したい」との想いを込めて作られている。当時はまだ高級感のあるアイスが珍しかった時代だったが、子どもたちを中心に絶大な支持を得ていき、いつしか九州を飛び出して本州でも売られるようになった。

ブラックモンブラン誕生のきっかけは「アルプス山脈」だった
ブラックモンブラン誕生のきっかけは「アルプス山脈」だった


コラボでおいしさの相乗効果!竹下製菓の狙いとは?

ブラックモンブランと他企業のコラボ展開が増えたのは、真由さんが社長に就任してからなのだとか。「時代的に企業間のコラボが増えてきたので、弊社でもその時流に乗っていこうという考えはありました。こちらから話をもちかけることもあれば、先方から打診されることもあり、割合としては半々くらいですね」と真由さん。

竹下製菓株式会社 代表の竹下真由さん
竹下製菓株式会社 代表の竹下真由さん


コラボ時には、「お互いの企業が納得して、お客様に喜んでもらえること」を何より大事にしているという。

「片方の企業だけが得するのでは、ビジネスとして成立しません。たとえばコメダ珈琲店さんの『シロノワール』だと、『もともとおいしい食べ物だけど、ブラックモンブランの要素が加わったことで、もっとおいしくて新しいシロノワールになったよね』と思っていただけることが大事だと思うんです」

コメダ珈琲店とのコラボメニュー「シロノワール ブラックモンブラン」(現在は販売終了)
コメダ珈琲店とのコラボメニュー「シロノワール ブラックモンブラン」(現在は販売終了)【画像提供:コメダ珈琲店】

祇園辻利とのコラボはSNS上での評判もよく、「おいしかった」との声がたくさん寄せられたそう
祇園辻利とのコラボはSNS上での評判もよく、「おいしかった」との声がたくさん寄せられたそう


商品開発の際には、双方の企業が大切にしているポイントを守りながら、いかに新しい表現ができるかを追求しているそうだ。真由さんは、「お客様に納得していただけて、喜んでもらえるような企画じゃないと、お互いのブランドにとってもよくない」と話す。

「ブラックモンブランを使っていただくときも、お客様の『これがブラックモンブランだよね』『こう表現したんだ!』という期待を外さないよう、コラボ先の企業さんにお願いしています。なので、話題性だけで売るようなコラボは避けていますね。『おいしい』というのは、食品メーカーとして最低限実現しないといけないことだと思います」

新たに仲間入りした「ブラックモンブラン アーモンドミルク」
新たに仲間入りした「ブラックモンブラン アーモンドミルク」

「ブラックモンブラン きなこもち風味」(現在は販売終了)
「ブラックモンブラン きなこもち風味」(現在は販売終了)


異色のコラボ!「ブラックモンブランカレー」の裏側

「ファンに楽しんでほしい」「知らない人にもおいしく食べてもらいたい」。その気持ちからあらゆるコラボに取り組んでいる竹下製菓だが、なかには試行錯誤の末に誕生した奇跡の商品もある。それが、2022年9月に宮島醤油株式会社から発売された「ブラックモンブランがカレーになりました」だ。

これは、佐賀県唐津市に本社を置く宮島醤油株式会社とのコラボ商品。一見、「ブラックモンブランとカレー…?」と戸惑ってしまうが、実は3年かけて開発された苦労の結晶だった。

「カレーは正直、『絶対にうまくいかないだろう』と思っていましたね(笑)。何度も意見交換をするなかでも、その難しさはやはり感じていて。でも宮島醤油さんは、かなり熱心に研究開発してくださったんです。『少なくともクランチのザクザク感は表現したい』とお願いしたところ、『ふりかけみたいにあとがけにしましょう』とご提案いただき、話が一気に前進しました」

「ブラックモンブランがカレーになりました」
「ブラックモンブランがカレーになりました」【画像提供:宮島醤油株式会社 】


ブラックカレーをチョコレートに見立て、実際にアイスで使われているクッキークランチを「ふりかけ」に。辛さの強いブラックカレーだからこそ、甘いクランチでより味が引き立つのだとか。

「“あとがけ”だったら、自分で調整して好みの味にできます。これだったらおいしく食べていただけるんじゃないかなと思える形に、3年かけて仕上がりました。意外性もあって見た目も楽しく、ちゃんとおいしい。非常にいいコラボになったと思います」

あとがけのクランチが特徴
あとがけのクランチが特徴【画像提供:宮島醤油株式会社 】


コラボ先のよさを活かしつつ、ブラックモンブランを表現する。これについては一切妥協することなく追求しているそうだ。「コラボ商品では、『ブラックモンブランをどの部分で、何で表現しているか』というストーリーを大切にしています。それがちゃんと伝われば、お客様にも満足していただけるはずです」と真由さんは語ってくれた。

55周年の節目を迎えたブラックモンブランが目指す場所

数々のコラボ展開により、“九州のアイス”から“日本のアイス”へと成長したブラックモンブラン。2023年には「スペースモンブランプロジェクト」(※)を実施し、なんと宇宙にも進出した。2024年で誕生55周年を迎えるブラックモンブランの次なる目的とは?

「『アイス界の最高峰』という意味では、まだまだ道半ばかもしれません。でも今年は“55!(GOGO)”と、勢いにのれる一年になると感じています。次の60周年に向けて、より多くの人に食べていただくため、しっかりとプロモーションしていきたいです」
※東京女子学園・芝国際中学校・高等学校とe-kagaku国際科学教育協会の共同プロジェクト

上空約30キロの成層圏を目指し、ブラックモンブランの模型を空高く発射!
上空約30キロの成層圏を目指し、ブラックモンブランの模型を空高く発射!


伝統を守りながら進化を続けるブラックモンブラン。これからどんな商品とコラボし、どんな楽しみが生まれるのか。わくわくが止まらない!

取材・文=倉本菜生(にげば企画)

竹下製菓 公式サイト:https://takeshita-seika.jp/

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