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レトロゲーム機に総入れ替えでコロナ禍も売り上げ増!「みなかみホテルジュラク」が提供するゲームコーナーの魅力に迫る

2024/04/11 19:00
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レトロブームが再び注目されるなか、クリームソーダ、ビニールレコード、インスタントカメラと並んで「レトロゲーム機」も人気を集めている。

1980年代にホテルや旅館で導入され、家族連れに喜ばれたこれらのゲーム機は、時代の変遷とともに徐々に見られなくなっていった。

しかし、株式会社聚楽(じゅらく)が運営する「みなかみホテルジュラク」(群馬県利根郡みなかみ町湯原665)では、レトロゲーム機を得意とする専門業者を活用することで売り上げを伸ばしている。

そこで今回は、株式会社聚楽(以下、聚楽)みなかみホテルジュラクフロント課の課長の真庭範夫さんに、レトロゲーム再編の背景と利用客の反応、そして今後の展望について話を聞いた。

今回取材に応じてくれたのは、株式会社聚楽 みなかみホテルジュラクフロント課 課長・真庭範夫さん(写真左)
今回取材に応じてくれたのは、株式会社聚楽 みなかみホテルジュラクフロント課 課長・真庭範夫さん(写真左)【画像提供=聚楽】


「レトロゲーム機」に総入れ替え!放置されていたゲームコーナー再編の経緯

現在、多くのホテルや旅館に設置されているゲームコーナーの大部分が、指定された業者に委託した状態だそうで、その売り上げの一部が宿泊施設の収益となっている。そんななか聚楽は、2020年に既存のゲーム機をすべてレトロゲーム機に入れ替えたそうだが、なぜ導入へといたったのだろうか。

「それまで提供されていたゲームは、遊び方が難しかったり皆で楽しめないゲーム機が多く、『空きスペースの有効活用』という考えで、特段のこだわりはありませんでした。かといって弊ホテルに長年ゲーム機を設置していた業者も、特に積極的な姿勢を見せず、単に集金に訪れるだけで、ゲーム機が壊れていても放置されるような状況でした」

レトロゲーム機があるゲームコーナー全体の様子。フロントからほど近い階段を降りたところにある(ゲームコーナー営業時間は15時~22時)
レトロゲーム機があるゲームコーナー全体の様子。フロントからほど近い階段を降りたところにある(ゲームコーナー営業時間は15時~22時)【画像提供=聚楽】


この状況に疑問を感じたあるスタッフが、「誰もが気軽に楽しめ、ホテル滞在を存分に満喫してもらいたい」という一心で、ゲーム機の入れ替えプロジェクトを始動したそうだ。そこから、どんなゲーム機を導入するべきかを検討していた際、かつて駄菓子屋やデパートの屋上にあった10円で遊べるゲーム機に注目した。真庭さんは「これらのゲーム機はシンプルなものが多く、いつの間にか夢中になっているんですよね」と語る。

「『最初からレトロでいこう』と、ある程度の数のゲーム機を集めてからスタートしました。実際に営業していくと、お客さまの遊んでいる時間が長くなり、笑い声がフロントまで聞こえてくるようになりました。一方で、専門業者とはお客様の声を共有し、レトロゲームについての話を重ねることで、徐々に「あのレトロゲーム機が見つかったよ」と声をかけていただけるようになり、少しずつ数を増やしていきました。そして現在、弊ホテルには約30機のレトロゲームが、所せましと並んでいます」

【写真】1980年製「ウルトラインベーダー」。レトロゲームの代表格と言える存在
【写真】1980年製「ウルトラインベーダー」。レトロゲームの代表格と言える存在【画像提供=聚楽】


コロナで利用客減少も、平均客単価が130%、売り上げは57%増

2020年に日本で発生した新型コロナウイルスの影響で、2023年の年間利用者数は2019年と比べて30%減少。通常であれば大打撃だが、ゲームコーナーだけを見ると、2023年の平均客単価は130%増となり、売り上げも57%増加した。また、ひとり当たりの単価が13円から30円に跳ね上がり、約70万円の売り上げを記録するなど、コロナ禍でもゲームコーナーは売り上げを伸ばした。

「レトロゲーム機導入の試みが、レトロブームもあってお客さまに楽しんでいただける結果となり、それが思わぬ形で売り上げにつながったのが大変うれしかったです。また、よゐこ・有野さんがMCを務める『ゲームセンターCX』に特集されたことも大きかったです。番組を見て来場したという方々も多く、なかには聖地巡礼のような形で来られる方もいらっしゃいます」

1973年製「ミニドライブ」。この形状での稼働は、日本でも珍しいそうだ
1973年製「ミニドライブ」。この形状での稼働は、日本でも珍しいそうだ【画像提供=聚楽】


利用客からは「このレトロな雰囲気をそのまま保ってほしい」「この懐かしさがいい」といった意見が多く寄せられているそう。なかでも「ピンボールマシン」には熱心なファンがおり、SNSで自主的に情報を広めてくれるという。真庭さんは「Xでは『聚楽さんでピンボールが楽しめる!』という声が広がっていたりして、集客にもつながっています」と話した。

SNSを中心に「ピンボール」の愛好家が多く、有志の人たちの中で、みなかみホテルジュラクはおすすめのスポットとしてあげられているという
SNSを中心に「ピンボール」の愛好家が多く、有志の人たちの中で、みなかみホテルジュラクはおすすめのスポットとしてあげられているという【画像提供=聚楽】


祖父母と孫が一緒に遊ぶ姿も!目標は「昭和レトロを現代で再現」

みなかみホテルジュラクのゲームコーナーを利用するのは、最近ではファミリー層が中心となっているという。なかでも10代、20代の若年層といった、レトロゲームになじみのない層の利用が多くなっており、これまでにない新鮮な体験を楽しんでいるようだ。

「現在の若い世代には斬新に映り、遊んでいただける理由のひとつになっているみたいです。また、シンプルで直感的に遊べるのも好評のようです。さらに、50代、60代のお客さまからは懐かしいというお声をいただき、ファミリー層では祖父母が孫に『昔はこうやって遊んだんだよ』と教えている光景なども見られます。こうして世代を超えて楽しんでいただけることは、大変うれしく思います」

1969年製「ジュークボックス」。1970年代のボーリング場や喫茶店で多くみられた、コインを入れ目当ての音楽を聴く機械だ
1969年製「ジュークボックス」。1970年代のボーリング場や喫茶店で多くみられた、コインを入れ目当ての音楽を聴く機械だ【画像提供=聚楽】


そんな、みなかみホテルジュラクの今後の展望について、真庭さんは「弊ホテルが所在する温泉街自体、昭和レトロな雰囲気がありますので、そうした古き良き時代のよさを現代風にアレンジした施設にしていきたいですね」と意気込む。

「また、弊ホテルには幸いにも長い歴史がありますので、昔のレコードプレーヤーなどのレトロなアイテムがたくさん残っています。具体的な構想はまだお伝えできませんが、訪れたみなさんが、まるで昭和にタイムスリップしたかのような仕掛けができればと考えています」

2006年製「ザ・握力」。ゲーム機ではないが、売り上げは毎月上位にランクインするという
2006年製「ザ・握力」。ゲーム機ではないが、売り上げは毎月上位にランクインするという【画像提供=聚楽】

1993年製「ストライカー」。ビンゴゲームのように1列すべてに球が入ったら大当たり。シンプルだが意外に難しいそうだ...
1993年製「ストライカー」。ビンゴゲームのように1列すべてに球が入ったら大当たり。シンプルだが意外に難しいそうだ...【画像提供=聚楽】


レトロゲーム機が、各世代を結ぶ交差点としての役割を果たし、世代を超えた憩いの場所となっているみなかみホテルジュラク。このホテルが今後どのような取り組みを展開するのか、大いに期待したい。

この記事のひときわ#やくにたつ
・放置されていたものを刷新し、新たな需要を生み出す
・ジャンルを特化することで広告効果を生み、多くのファンを獲得
・レトロさが各世代を結ぶコミュニケーションツールとしての役割も果たす

取材・文=西脇章太(にげば企画)

公式サイト:https://www.hotel-juraku.co.jp/minakami/

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