ゲームやアニメとのコラボが得意!「また佐賀県が何かやっている」自治体発のプロジェクト「サガプライズ!」の取り組みがおもしろい

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

「また何かおもしろいことをやっている」とたびたびSNSを賑わせている佐賀県。一例を挙げれば、ゲームやアニメとのコラボがそうと言えるだろう。佐賀県では自治体がゲームやアニメとコラボをするのが珍しいと言われていた約11年前から、「コラボ県はじめます」といち早くプロジェクトをスタート。スクウェア・エニックスの人気ゲーム『サガ』シリーズとのコラボを皮切りに、「スプラトゥーン」「おそ松さん」「ユーリ!!! on ICE」「ストリートファイターⅡ」といった有名アニメやゲームとのコラボを次々と打ち出している。

「サガプライズ!」のプロジェクトリーダー・柴田晃典さん(右)と、「サガスチャン」を担当したプロデューサーの愛垣桜さん(左)【撮影=三佐和隆士】


さらに近年では、2022年のクリスマスに突如SNS上に「お呼びですか、お嬢様」と執事・サガスチャンが現れ、話題を集めた。執事・サガスチャンは当時のTwitter(現X)で「#サガスチャンわたくしお腹ペコペコですわ〜〜〜」の呼び声に応えて現れる“空腹お嬢様向けタイムライン執事”だった(現在はサービス終了)。執事の美声(CV:杉田智和)で紹介されるのは、佐賀牛(R)や白石れんこん、嬉野温泉湯どうふ、シシリアンライスといった佐賀県のご当地グルメ。執事・サガスチャンは佐賀県グルメで全国の“お疲れお嬢様”を癒やすべく現れた救世主で、佐賀県が発信したオリジナルコンテンツとしては3つ目のプロジェクトだった。

空腹お嬢様向けタイムライン執事・サガスチャン。「#サガスチャンわたくしお腹ペコペコですわ〜〜〜」をつけてツイートをすると、リプライでサガスチャンの動画がついてくるという仕組みで運用された(キャンペーンは終了)【写真提供=サガプライズ!】


これらの企画を生み出したのは、佐賀県の情報発信プロジェクト「サガプライズ!」。佐賀県政策部広報広聴課が取り組んでいる地方創生プロジェクトチームだ。佐賀県からなぜこんなにもユニークな企画の数々が飛び出しているのか、またどのようにして生まれているのかを「サガプライズ!」のプロジェクトリーダー・柴田晃典さんと、「サガスチャン」を担当したプロデューサーの愛垣桜さんに話を聞いてみた。

「コラボ県はじめます」宣言からスタート!11年で39件のプロジェクトを実施

佐賀県がさまざまな企業やブランドなどとのコラボレーションを始めたのは2013年に遡る。

「当初は『FACTORY SAGA』という名前で、『コラボ県はじめます、佐賀県。』というキャッチフレーズとともに2013年よりスタートしたプロジェクトでした。情報を“作り”、発信力のある企業などとコラボをすることで、佐賀県の魅力を広く届けることを目標としていました」と柴田さん。

コラボプロジェクトの第1弾となったのは、女性誌・ファッション誌を多数手掛ける宝島社との「かわいいものラボ」。佐賀県の名物・名産、イベントを女子向けにプロデュースしていくというという内容だった。

「このころはターゲットをSNSや口コミでの情報拡散力を持つ “都内在住の30代女性”と明確に定めていました。彼女たちにどうしたら佐賀県のものをかわいいと思ってもらえるか、情報を発信してもらえるかを宝島社と考えていきました」

“都内在住の30代女性”というターゲティングが大きく変わるようになったのは大手ゲームメーカーのスクウェア・エニックスとのコラボがきっかけだという。

「2014年にスクウェア・エニックスの人気ゲーム『サガ』シリーズとのコラボ企画を開催しました。この20年近く前から“サガ”と“佐賀”のご縁から、何かご一緒したいという話は出ていたのですが、ゲーム会社とのコラボという素地がなく、実現にはいたってなかったのですが、ようやく形になりました。『Romancing(ロマンシング)佐賀』と銘打ち、東京・六本木にショップを出店したところ、非常に大きな反響がありました。想像以上に多くの方に来店していただき、その様子はニュースにもなったんですよ。当時、自治体がゲームとコラボをするのも珍しかったので、“佐賀県がおもしろいことをやっている”というPRにもなりました。その後、FACTORY SAGAをさらに発展させていこうということで、2015年に『おどろきの佐賀、ぞくぞく。』というキャッチフレーズで『サガプライズ!』が始動しました」

サガスチャンはSNS企画だけではなく、都内の人気カフェとのコラボも実施。等身大パネルのサガスチャンが“お嬢様”方を出迎え、佐賀グルメ満載のアフタヌーンティーを提供した【撮影=三佐和隆士】

「サガ」シリーズとのコラボを皮切りに、「スプラトゥーン」「おそ松さん」「ユーリ!!! on ICE」「ストリートファイターⅡ」と有名アニメやゲームとのコラボを次々と打ち出している。地方自治体がゲームやアニメといったコンテンツとのコラボを開催することは、県外へのアピールはもちろん、県内にもいい影響があったようだ。

「『サガプライズ!』としては全国に向けて情報発信をしているのですが、県内の反応も大事にしていきたいと思っています。『サガプライズ!』がTwitterで新しい企画を発表すると、佐賀県の方が『自分のところの県がこんなことをやっている、参加してみたい』と反応してくださるんですね。2023年5月に多目的アリーナ『SAGAアリーナ』が開業し、さまざまなイベントなどが開催できるようになりました。これまでは佐賀県でエンターテインメントを感じられる機会は多くなかったと思います。それが、『サガプライズ!』が有名企業やコンテンツとコラボしたさまざまな企画を立ち上げていくことで、県内の方にも喜んでいただけるようになってきました。就職活動で佐賀県庁を受ける人のなかにも『サガプライズ!』で県庁のことを知ったとか、『サガプライズ!』で仕事をしたいと話してくれる方もいるようです」

地方自治体が地元の特産品などをPRするのにはアンテナショップを都内に出店するのが常套手段といえるが、佐賀県は出店していない。これはなぜだろうか?

「アンテナショップを出すとなると、まず場所の問題があります。例えば銀座・有楽町エリアには地方自治体によるアンテナショップが数多くありますが、一等地になりますからその家賃経費は莫大なものです。また、輸送コストもかかります。佐賀県から商品を運ぶとどうしても時間がかかってしまいますから、新鮮なものを置くことも簡単ではありません。なので、佐賀県としてはプロジェクトを生み出して、情報発信することに注力しています。『サガプライズ!』は東京に拠点を置くことで、企業やクリエイターの方々とのやりとりを円滑にし、都内を中心とした情報発信の足掛かりとしています」

  1. 1
  2. 2

この記事の画像一覧(全9枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

ページ上部へ戻る