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推し活がはかどる「TAG LIVE LABEL」がアツい!思わぬ形でヒットしたサービスが進化を続ける

2024/02/25 10:00
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いまや、多くの人が耳にし、幅広い意味で使われるようになった “推し活”という言葉。“推し”である好きなコンテンツのイベントに参加したり、グッズを集めたり、ファン同士で交流したりとさまざまな活動を行うことで、その経済効果は約7000億円とも言われている。こうしたことからも、推しを提供する企業側にとっても推し活を捗らせる手段を持つことは、ファンとのつながりを強めるために必須と言えるだろう。

2023年4月にサービススタートした「TAG LIVE LABEL」。自社コンテンツを用いたオリジナルラベルを貼った缶飲料を作れるサービス。小ロットで手軽に導入できる
2023年4月にサービススタートした「TAG LIVE LABEL」。自社コンテンツを用いたオリジナルラベルを貼った缶飲料を作れるサービス。小ロットで手軽に導入できる【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

そんな“推し活”を盛り上げてくれるのが2023年4月にサントリー食品インターナショナル株式会社がローンチした「TAG LIVE LABEL(タグライブラベル)」。企業が簡単にオリジナルラベルをつけた缶飲料を作れるというもので、その利便性から既に60社以上の団体に導入されている。どういったきっかけでこのサービスが生まれたのか?サントリー食品インターナショナル株式会社 ジャパン事業本部 イノベーション開発事業部の高橋大樹さんに話を聞いた。

サントリー食品インターナショナル株式会社 ジャパン事業本部 イノベーション開発事業部の高橋大樹さん。新規事業開発に関わって6年目。ユニークなプロジェクトをいくつも立ち上げてきた
サントリー食品インターナショナル株式会社 ジャパン事業本部 イノベーション開発事業部の高橋大樹さん。新規事業開発に関わって6年目。ユニークなプロジェクトをいくつも立ち上げてきた【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】


想定ターゲットと違う層にヒットした「TAG LIVE LABEL」の前身事業

高橋さんが所属している「イノベーション開発事業部」では、飲料をメインテーマとした新規事業の開発を行っている。

「2018年9月に立ち上がった部署なんですが、既存商品の新商品開発とは別に、自分たちが得意とする飲料を念頭にしつつも、これまでとは違う新しいことをやっていきましょうという部署です。たとえば、2023年2月にスタートしたプロジェクトに『minel(ミネル)』というものがあります。“水道水を天然水のようにおいしい水に変えよう”というコンセプトで開発したペットボトルキャップで、これを取り付けることで、ペットボトル内に入れた水道水の塩素臭さを取り除いて、まろやかな味わいにしてくれるというものなんです。飲用水としてミネラルウォーターを購入されている方は多いと思いますが、ペットボトルって取り扱いに不便なこともありますよね。特に2リットルのものだと買いに行くのも大変ですし、ストックするのも捨てるのも場所をとる。でも、minelではインフラできている水を使って、キャップをひねるだけでおいしい水にできます。おいしさと利便性を兼ね備えた商品として開発しました」

高橋さんが企画・開発を担当した「minel」。専用ボトルに水道水や浄水などの飲用水を線まで(約1.5リットル)入れ、キャップを装着してひねるだけで、“植物ミネラルエキス”が噴射されて、ボトルの水がおいしくなる
高橋さんが企画・開発を担当した「minel」。専用ボトルに水道水や浄水などの飲用水を線まで(約1.5リットル)入れ、キャップを装着してひねるだけで、“植物ミネラルエキス”が噴射されて、ボトルの水がおいしくなる【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

キャップは手のひらサイズのコンパクトな使い切りタイプ。専用ボトルはすすいで洗って繰り返し使用できる
キャップは手のひらサイズのコンパクトな使い切りタイプ。専用ボトルはすすいで洗って繰り返し使用できる【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

斬新なアイテムだが、どこから着想を得たのだろうか?

「2020年ころに企画を立て始めました。ちょうどプラスチック問題が取り沙汰されるようになったころでした。プラスチックやペットボトルがお客様から選択されない未来がきたときに、僕らのビジネスは大きな打撃を受けることになります。そうしたときに変わるような商品を作れないかということで考えたのが最初のきっかけです。飲料もいろいろありますが、まずは僕らの一番身近にある“水”にフォーカスをしていこうということで考えていきました。もちろん、最初からminelの形に行き着いたわけではなく、さまざまな検討を重ねていってこの形になりました」

高橋さんはイノベーション開発事業部のスタート時から配属されており、多くの新規事業に関わっている。同時に複数のプロジェクトを抱えることも珍しくないそうで、どうやってアイデアを出しているのだろうか?

「いろいろな方法がありますが、minelのように問題に対しての解決策を考えていくというやり方もありますね。お客様の満足していない部分をどうやって解決していくのか。嗜好品であればもっとより特別感をどうやって持たせるのかというような発想になるんでしょうが、飲料は日常に近いものなので、ネガティブな要素をいかに取り除けるのかというところに、イノベーティブな種があると思っています。TAG LIVE LABELには前身となる『TOUCH-AND-GO COFFEE(タッチアンドゴーコーヒー)』があるんですが、これも同じような手法で立ち上げた事業です」

2019年に東京・日本橋にオープンした「TOUCH-AND-GO COFFEE」。モバイルオーダーで自分好みにラベルや味わいをカスタムできた
2019年に東京・日本橋にオープンした「TOUCH-AND-GO COFFEE」。モバイルオーダーで自分好みにラベルや味わいをカスタムできた【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

TOUCH-AND-GO COFFEEは2019年6月に東京・日本橋に開店したコーヒーショップ(2021年8月に閉店)。ボトルのラベルや味わいを自分好みにカスタマイズしたコーヒーをLINEから注文・決済する。予約時間になったら店内に設置されたコーヒー用のロッカーから注文したコーヒーを取り出せるという、全く新しいビジネスモデルでスタートした店だ。

「これは“朝のコーヒーショップにできる行列”を解消する方法を考えたところから始まったんです。忙しいのだけどコーヒーを楽しみたい。そんな人たちに向けて、自分好みのコーヒーを選べるのにすぐに受け取れるという、二律背反することを成立させるサービスということでスタートしました」

注文はLINEから。決済もモバイル上なので店舗では店員と接触することなく商品を受け取れる
注文はLINEから。決済もモバイル上なので店舗では店員と接触することなく商品を受け取れる【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

予約時間に店に行くと、専用ロッカーに注文していたドリンクが入っている
予約時間に店に行くと、専用ロッカーに注文していたドリンクが入っている【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

目論見どおり、オープン当初は日本橋周辺のオフィスワーカーたちが来店。来店して10秒でコーヒーを手に帰っていくという様子が見られたという。

「狙った感じに行った!と思っていました。ところが、開店1週間すると店内の様子が一変していたんです。客層がまるっきり変わっていました。若い女性客が圧倒的に増えて、コーヒーを受け取ったあと、写真を撮っている様子が多く見られました。誰もタッチアンドゴーしていなくって、店舗にとどまっている。当初思い描いていた店舗周辺のオフィスワーカーとは全く違う層の方たちにウケるようになっていたんですね。お客様たちはいわゆる“推し活”の一環としてコーヒーを楽しまれていました。ラベルに名前や日にちを入れられるようにしていたんですが、そこに自分たちの“推し”の名前や誕生日などを入れたりして楽しまれていたんですね。TOUCH-AND-GO COFFEEでは毎朝5時にその日の注文予約をスタートしていたんですが、すごいときには10分で枠が全部埋まるくらいでした」

予想外のターゲット層にヒット。今後TOUCH-AND-GO COFFEEをどうしていくか、高橋さんたちはかなり悩んだそう。

「コロナ禍もあってお店を閉める期間もあったりして、どうしたらオフィスワーカーを取り戻せるのかと随分検討しました。“推し活”ブームが一過性のものにすぎないのでは?という懸念もありました。ただ、オフィスワーカーの方たちにTOUCH-AND-GO COFFEEのコーヒーについてヒアリングしていくと『1週間頑張ったご褒美に買っている』という声があったんです。味わいもラベルも全部カスタマイズできて、ボトル自体も分厚くてリッチな感じなので、日常的なものというよりも特別なものとして捉えられていたんですね。そこで、大きくコンセプトを変えていこうということになりました」

【写真】推し活をしたい若い女性層をターゲットにした「TAG COFFEE STAN(D)」。ラベルデザインを豊富に用意し、推し活を支援
【写真】推し活をしたい若い女性層をターゲットにした「TAG COFFEE STAN(D)」。ラベルデザインを豊富に用意し、推し活を支援【画像提供=サントリー食品インターナショナル株式会社】

そうして生まれたのが「TAG COFFEE STAN(D)(タグコーヒースタンド)」。推し活によりぴったりなものにするため、ラベルカスタマイズのバナー部分を4000種類用意したという。

「“推し”のオフィシャル画像があればそれでいいわけですが、そうでない場合はお客様の想像で“推し”のためのコーヒーとして成立させているんですよね。推しメンのカラーだったり、モチーフだったり。お客様の妄想がはかどるようにバナーを多く用意して、テキストも配置できるようにしていきました。その結果、Instagramを中心としたSNS上でも楽しく使っていただいています。現在全国で8店舗展開していて、今年(2024年)も店舗を増やしていく予定です」

TAG COFFEE STAN(D)を立ち上げるにあたって、難しかったことはあるのだろうか?

「TOUCH-AND-GO COFFEEはモバイルオーダーで、非接触型受け渡しでと、当時最先端のことをやっていたので、ビジネスモデルの開発には随分と苦労しました。しかし、TAG COFFEE STAN(D)はTOUCH-AND-GO COFFEEでやっていたことをスリム化していく形で作っていったんで技術的な苦労はなかったですね。TAG COFFEE STAN(D)はサントリー直営ではなく、外部の運営会社に委ねるために、TOUCH-AND-GO COFFEEでやっていたモバイル決済はやめて、店舗で決済してもらうようにしています。オンライン上でラベルカスタムをするとQRコードが発行されるので、それを持って店舗で注文と決済をしてもらうという形です」

では、TAG COFFEE STAN(D)からTAG LIVE LABELに、どうつながるのだろうか?

「前置きが長くなりましたが(笑)、TOUCH-AND-GO COFFEE、TAG COFFEE STAN(D)とカスタムの主体はエンドユーザーになるお客様です。カスタムを事業者側が主体となることができれば、もっと喜んでくださる方が増えると考えました」

■サントリー食品インターナショナル
「TAG LIVE LABEL」ホームページ:https://tag-live-label.jp/
「TAG COFFEE STAN(D)」ホームページ:https://tag-coffee-stand.jp/

「minel」ホームページ:https://minel.direct.suntory.co.jp/

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