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大人が“遊び心”を振り切って全力出したら話題に!!ふるさと納税返礼品になっちゃった「うまい棒ケース」の寄付状況は?

2023/12/28 17:30
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2023年11月17日から大阪府枚方市のふるさと納税返礼品に仲間入りした「うまい棒ケース」が話題になっている。1個12円の駄菓子「うまい棒」を入れるケースなのだが、なんとその寄付額は約10万円!ユニークなアイデアと、その寄付額の大きさで注目を集める「うまい棒ケース」を開発した、アクテック株式会社の芦田知之社長にインタビューを行った。

アクテック株式会社の芦田知之社長
アクテック株式会社の芦田知之社長【画像提供=アクテック株式会社】


製作のきっかけは「社員の孫」

――「うまい棒ケース」を作ることになったきっかけを教えてください。
【芦田知之】もともとのきっかけは、設計担当社員のお孫さんでした。幼稚園のお楽しみ会でもらった「うまい棒」が粉々になってしまい悲しんでいたことをヒントに、その社員が社内会議で提案をしてくれました。

粉々になったという、お孫さんの「うまい棒」
粉々になったという、お孫さんの「うまい棒」【画像提供=アクテック株式会社】


――その案を聞いたとき、どう思われましたか?
【芦田知之】弊社はケースなどを作っている会社なので、「いれもん通信」というメールマガジンを月1回配信しているのですが、そのなかでお客様のケース使用例や使い方の提案など、ケースにまつわる情報を発信しているんです。2022年の秋、ちょうどそのネタを検討していた会議で設計担当が提案してくれたのですが、私自身もとてもおもしろいと思いましたし、社員もみんな「おもろいから、それええやん!」となり、すぐ作ってみよう!という話になりました。

毎月1回配信しているメールマガジン「いれもん通信」。過去の配信内容は公式サイトから見ることができる
毎月1回配信しているメールマガジン「いれもん通信」。過去の配信内容は公式サイトから見ることができる


――発案は2022年の秋なんですか!たった1年でふるさと納税の返礼品になったんですね。
【芦田知之】そうですね、実は最初に作った製品自体は、打合せ1回くらいで完成して。すぐに「いれもん通信」で紹介したんです。そうしたら、メールマガジンを見たお客様からの反響が大きく、「ものづくりの仕方がおもしろい」と実際に購入してくださった方もいまして。

【芦田知之】それをきっかけに、「もしかしたら、おもしろがってくれる方がほかにもいるのでは…?」となり、一般販売を目指すことにしたんです。ただ、一般販売をするならば、もう少しブラッシュアップしたほうがいいのではないかという話になり、それまでは中身が見えなかったので表を透明にして中身が見えるよう工夫したり、中に布を入れたりと、初号機からいくつか変更しました。そのあたりの改良については、1カ月くらいは検討したかもしれません。このとき、「一般の方に買っていただいて納得いただけるのはどのあたりになるか」ということは社内でいろいろと話し合いました。

――ただ、1本12円(税抜き)の駄菓子のケースとしては、(寄付額が)高額ですが…。
【芦田知之】うまい棒1本が12円なので、どう作ってもその値段以下のケースを作ることは難しいですよね。うまい棒より高額になるのであれば、チープな感じよりは、しっかり高級感を持たせたほうがいいのではと考えました。そして、「守る」という役割だけでなく、ディスプレイできることも目指しました。なので、返礼品の中にはセットで、ディスプレイ用の台座も付いています。

【芦田知之】機能性はもちろん、「遊び心」を大切にして「いかに12円のものを高級に見せるか」というところに振り切った…というところでしょうか。

――なるほど、ディスプレイも想定されているのですね。それにしても、ものすごく頑丈そうなつくりも気になります。
【芦田知之】弊社はもともとアルミケースなどを作っている会社なので、アルミフレームをカットし、手作業で組み立てています。ちなみに、中のうまい棒を入れる部分は発泡ウレタンで、そこに高級感を出すためにベロア調の布を敷いています。

ケースづくりは、ケースの骨組みとなるフレームを切断機で切断することから始まる
ケースづくりは、ケースの骨組みとなるフレームを切断機で切断することから始まる【画像提供=アクテック株式会社】

組み立ての様子。すべて手作業だという
組み立ての様子。すべて手作業だという【画像提供=アクテック株式会社】

完成した「うまい棒ケース」。表を透明の板にすることでいつでもうまい棒が見られる仕様に
完成した「うまい棒ケース」。表を透明の板にすることでいつでもうまい棒が見られる仕様に【画像提供=アクテック株式会社】


【芦田知之】「うまい棒を守る」という基本の役割は大事ですから、耐久試験も行いました。たとえば、地上70センチの高さから落下させたり、軽自動車でひいたりして、中のうまい棒が割れないか…といった試験です。どちらも、問題ありませんでした。

トントン拍子で「ふるさと納税返礼品」に

――そして、ついに一般販売されたんですね。
【芦田知之】はい、2023年6月14日~7月末にクラウドファンディングという形で販売しました。超早割だと30%オフの1万6800円が10台、10%オフは1万9700円で20台…といった設定をして実施し、計78名の方に支援していただきました。

――そこから、ふるさと納税返礼品に登録されるまでには、どういった経緯があったのでしょうか。
【芦田知之】今回の「うまい棒ケース」は、組み立てを行っている弊社以外にも、アクリル板の加工(切り出しやレーザーマーカー)や発送用の化粧箱など、全工程で枚方市の企業が携わってくれていて。すべて市内で完結できているのは、“ものづくりのまち(市)”と呼ばれる枚方ならではのことだと思います。

【芦田知之】以前から、「ふるさと納税返礼品として何か出せたらいいね」というのは社内で話していたのですが、すべてが枚方市内で作られている「うまい棒ケース」なら、ふるさと納税返礼品として登録していただけるのではと考え、市へ提案させていただきました。それが、2023年の9月ごろの話です。

――ご提案からすぐに採用されたということでしょうか。
【芦田知之】そうですね。実は、「うまい棒ケース」のクラウドファンディングが話題になったこともあり、ふるさと納税返礼品の提案をしに行った際に、担当者さんがそのことをご存知で。「これが実際の製品なんですね!」とすぐに興味を持ってもらえて前向きなお返事をいただくことができ、11月9日には枚方市とアクテックの合同記者発表へといたりました。

【芦田知之】記者発表のときは「予定」だったのですが、そのあと総務省の確認が取れ、11月17日に無事に返礼品として登録していただきました。

――クラウドファンディングという試みが、ふるさと納税返礼品へのつながったというのもすごいですね。枚方市の返礼品ということで、工夫した点はありますか?
【芦田知之】もちろん、すべて枚方市で製作しているというのもポイントなのですが、ケースの装飾にも枚方市らしさを表現してみました。

【芦田知之】3種類製作したのですが、1つは、枚方市のキャラクター「ひこぼしくん」を印刷した「ひこぼしくんモデル」。2つ目は「マイカタちゃいます、ひらかたです!」というレーザー彫刻を施した「枚方モデル」。3つ目は「マイカタちゃいます、ひらかたです!」に加え枚方市の地図なども彫刻された「ひらかた万博モデル」です。

「うまい棒ケース」枚方モデル
「うまい棒ケース」枚方モデル【画像提供=アクテック株式会社】


――現時点(2023年12月の取材時)で、反響はいかがですか?
【芦田知之】おかげさまで、すでに14台寄付をいただいています。金色の「ひらかた万博モデル」(寄付金額9万9000円)が一番人気です。「ひこぼしくんモデル」(寄付金額11万円)も人気ですね。

【画像】一番人気!「うまい棒ケース」ひらかた万博モデル
【画像】一番人気!「うまい棒ケース」ひらかた万博モデル【画像提供=アクテック株式会社】

「うまい棒ケース」ひこぼしくんモデル
「うまい棒ケース」ひこぼしくんモデル【画像提供=アクテック株式会社】


――ちなみに、もともとのきっかけになったお孫さんは「うまい棒ケース」を見て(使って)、どのような反応をしていましたか?
【芦田知之】お孫さんには、初号機を製作した段階で持って帰って使ってもらいました。そのとき、「おじいちゃん、ありがとう」と喜んでいたそうで、私たちもうれしかったです。

ケースは一つひとつ手作りなので、寄付後だいたい1カ月半ほどで届く。ふるさと納税への寄付以外でも、アクテック株式会社に問い合わせすれば、ひとつ2万2000円で購入が可能だそう。興味がある方は、枚方市のふるさと納税で寄付をするか、同社に問い合わせてみよう。

この記事のひときわ#やくにたつ
・作り手の「遊び心」の追求が商品の魅力につながる
・ちょっとした挑戦が次につながり大きな成果を生むこともある

取材・文=矢野 凪紗

■アクテック株式会社
https://actec1972.co.jp/

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