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10代の“ゆらぐ心”に寄り添う飴。「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」でカンロが目指す未来とは?

2023/07/28 18:30
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カンロ飴やピュレグミでおなじみ、今年で創業111年の老舗であるカンロ株式会社(以下、カンロ)は、2023年5月16日に飴の新商品『透明なハートで生きたい』を発売した。この商品は、現役高校生とタッグを組み新たな飴を共同開発する「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」から生まれた。

青春をイメージした6種類のパッケージは、裏面にそれぞれ表面と連動したストーリーが記載されており『心に寄り添う』デザインとなっている。どのような議論が交わされこの商品は完成したのか。プロジェクトリーダーであるカンロ株式会社の河野亜紀(かわの・あき)さんに話を聞いた。

「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」プロジェクトリーダーの河野亜紀さん
「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」プロジェクトリーダーの河野亜紀さん【撮影=三佐和隆士】


若年層の“飴離れ”の課題に挑戦

【写真】カンロの技術と現役高校生の感性から誕生した飴の新商品『透明なハートで生きたい』
【写真】カンロの技術と現役高校生の感性から誕生した飴の新商品『透明なハートで生きたい』【撮影=三佐和隆士】


ーー初めに、「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」発足の背景を教えてください。
【河野亜紀】もともと若年層の飴の購入率低下に対しては企業として危機感を持っていたのですが、実際に10代の方たちにリサーチをしてみると「飴に興味がない」「そもそも関心がない」という意見が出てきて、すでに危惧していた状況になっているという事実に直面したことが最初のきっかけです。そこで既存ブランドのブラッシュアップも大事なのですが、やはり10代を含む若年層に飴と触れ合う機会を作って興味関心を持ってもらうことが先決だろうということでプロジェクトを立ち上げました。

ーー「飴の原体験」とは具体的にどのような体験を指すのでしょうか?
【河野亜紀】原体験というのはその後の人生や考え方に影響を及ぼす経験を指しますが、飴によってその時間がちょっと濃くなるような体験を作れたらと思っています。“時間が濃くなる”というのはどういうことかというと、ホッとしたり、気持ちが前向きになったり、その時間が自分にとって意味のあるものになるということを目指しています。

ーー若年層の飴と触れ合う機会の減少について、どのような原因があるのでしょうか?
【河野亜紀】実際に、10代の飴の購入率が下がっているというデータがあるのですが、例えば駄菓子屋さんの減少により子どものころに友だちと買いに行く機会が減った、家の置き菓子として選ばれなくなった、遠足のお菓子で飴やガムが禁止された、といったことが挙げられます。そうして幼少期に、飴と楽しい思い出が結びついてこなかった方たちが成長していくと、今後さらに飴に触れる機会がなくなり飴の喫食人口が減ってしまうのではないかと考えています。

【河野亜紀】最近いつ飴を舐めたか聞くとなかなかエピソードとして出てこなくて、のど飴や食後の口直しなど機能的な食べ方をしているケースが多く、あとは「マンションの管理人さんにもらってポケットに入れたままだった」みたいな……。やはり原体験が薄いから今の喫食につながっていないのだと思います。

ーーではプロジェクトの概要について、具体的な進め方も含めて教えていただけますか?
【河野亜紀】まず、若年層における飴の購入低下への危機感をもとに、飴の強みやカンロの飴としてのあるべき姿、存在意義といったところを社内で洗い出して定義するところから始めました。また、ターゲットであるZ世代がどういった方たちなのか、どういうことに共感するのかということを、リサーチを通じて知識を深めていきました。そのなかで、やはりリサーチだけでは不十分だと感じ、実際にプロジェクトメンバーとして現役の高校生3名を迎え入れ、キャンディディレクター(以下、CD)という役職として対等な立場で意見を出し合う企画会議を月に1回行い、コンセプトのブラッシュアップやデザイン、中身の詳細まで一緒に詰めていったというのが大まかな流れです。期間としては、リサーチ期間が半年、CDを迎えて共同開発をしたのが半年なので、約1年ですね。

Z世代にとっては、お菓子も自分を定義するアイテムのひとつ

「彼女たちと実際に対峙して深掘りしていかないと出てこなかったことが多い」と語る河野さん
「彼女たちと実際に対峙して深掘りしていかないと出てこなかったことが多い」と語る河野さん【撮影=三佐和隆士】


ーー実際に高校生のお話を聞いてみて、いかがでしたか?リサーチ結果と異なったことがあれば教えてください。
【河野亜紀】リサーチから印象がガラッと変わるようなことはなかったのですが、やはり表面的なことは拾えてもその背景にあるエピソードが、彼女たちと実際に対峙して深掘りしていかないと出てこなかったことが多いと感じました。

ーー議論するなかで、Z世代の感覚として特徴的だと感じたことは?
【河野亜紀】彼女たちは商品の“映え”やかわいらしさ、エモさみたいなところをすごく重視しているのですが、本当にそこに妥協がなくて、特に中身の透明感についてはこだわりが強く研究担当を悩ませていました(笑)。その背景には、お菓子ひとつを取っても自己表現のアイテムとして捉えており、今回の商品についても「友達とのコミュニケーションに使いたいから映えるものがいい」とか「エモくて、世界観に自分が没入できるものがいい」という意見が出ました。

ーーお菓子といえども、普段持つアイテム同様に見た目にこだわっているのですね。
【河野亜紀】そうですね。食べるだけというより、これを写真に撮って自己表現としてシェアしたり、写真を撮るときの映えアイテムとして使ってくれるなど、コミュニケーションを一緒に考えているんだな、というふうに思いました。飴は渡すのにすごく気軽だし手軽で、昔からある飴を通じたつながりというのは今もあるのですが、そこにさらにかわいさや“映え”という価値観が加わっていると感じます。

ーー今回CDとして開発に加わった3名はどのようにして選ばれたのでしょうか?
【河野亜紀】『超十代』さんにご協力をいただいて、クリエイティブ力がある人や発信力のある人、プロジェクトを推進する力がある人という視点で10名ほど集めていただき座談会を開き、その中から3名に決定したという流れです。決め手としては、自分の意見をきちんと話せるかどうか。「すごくかわいいものがいい」と言ったときに「それはなぜ?」という問いに対して、自分の言葉で説明できることが大事だと思っていて、そういった部分が今回のCDの3名は優れていると感じました。その感性の部分を企画会議のなかでたくさんお話ししてもらったと思っています

今回CDとして選ばれた3名(左から:神谷 侑理愛さん/大塚 萌香さん/市ノ瀬 アオさん)
今回CDとして選ばれた3名(左から:神谷 侑理愛さん/大塚 萌香さん/市ノ瀬 アオさん)【画像提供=カンロ株式会社】


■カンロ株式会社:https://www.kanro.co.jp/
■公式Twitter:@kanro_pr

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