円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

会社員の人は、勤務先に「財形貯蓄制度」があるか調べてみましょう。財形貯蓄制度だとお金がラクに貯まるのは、まず、積立金が給与から天引きされることにあります。そして、積み立てたお金を払い出すには、勤務先の会社や金融機関への申請手続きが必要で面倒くさいことも一役買ってくれます。手続きが必要になることで、簡単にお金を払い戻すという行為に移りにくいのです。
「手元にお金があると使ってしまう……」といった貯蓄が苦手な人にとっては、財形貯蓄はとてもいい制度だと思います。財形貯蓄制度は、会社が提携している金融機関に会社を通してお金を預けるかたちになるのが一般的で、「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類があり、従業員のライフイベント(結婚、マイホーム購入、教育、老後など)で必要となる資金づくりを支援しています。
一般財形、住宅財形、年金財形に分かれているのは、それぞれ貯蓄する目的が異なるからです。
・一般財形…用途の限定がなく、貯めたお金をなにに使っても構わない
・住宅財形…住宅の購入やリフォーム、建設のための資金づくり
・年金財形…将来年金として受け取るための資金づくり
住宅財形と年金財形は、合わせて元金550万円から発生する利息などが非課税の対象になります。また、年金財形は、満60歳以降の払い出しについても非課税措置が続くので、お得な制度といえます。
ただし、金利がつかない現在、財形貯蓄でお金がぐんぐん増えるわけではありません。定期預金の延長と考えておくとよいでしょう。ちなみに、財形貯蓄を行っていると、住宅を購入する際に財形住宅融資を利用することができます。会社の制度を調べて、使える制度は積極的に活用しましょう。

この記事のひときわ#やくにたつ
・会社員の人は、勤務先に「財形貯蓄制度」があるかを調べる
・会社の制度を調べて、使える制度は積極的に活用する
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼