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横川楓の「ミレニアル世代のお金の常識」【第12回】リボ払いは危険な負債になる。「キャッシュレス社会」との上手なつき合い方

2023/05/03 18:30 | 更新 2023/06/20 14:47
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「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」こと横川楓です。日本では長いあいだ「現金社会」が続いていましたが、新型コロナウイルスの影響もあって、現金を使わないことで他人との接触を避けるキャッシュレス決済が急速に広まりました。そうしたお金の扱いの変化によって多くのメリットがもたらされる一方で、注意点も生まれます。「キャッシュレス社会」とどのようにつき合っていくべきかを考えてみましょう。

【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん
【やさしいお金の専門家/金融教育活動家】横川楓さん【撮影=阿部昌也】


最大のメリットは、「お金の管理をしやすい」こと

それこそ若い世代であれば、ほとんどの人がクレジットカードのほかにも「PayPay」「LINEpay」「楽天ペイ」といったアプリを使った「キャッシュレス決済」を日常的に利用していると思います。

そのメリットはいくつかありますが、単純にお得というのもそのひとつです。支払額に応じてポイントがもらえることのほか、店舗によっては特定のキャッシュレス決済アプリを使うことでクーポンを利用できるといったこともあるなど、現金払いにはないお得な特典がいくつもあるのです。

しかし、キャッシュレス決済の最大のメリットとなると、「お金の管理をしやすい」ということに尽きます。クレジットカード払いはもちろんですが、キャッシュレス決済アプリの支払いもアプリやホームページなどでいつなににいくら使ったのかをひと目で確認できます。また、キャッシュレス決済アプリやクレジットカードを家計簿アプリと連携させておけば、お金の管理はさらに楽になるでしょう。

お金を貯められるようになるには、まず自分がいつなににいくら使ったかというお金の流れを把握することが欠かせません。もちろん手書きで家計簿をつけるということでもいいのですが、多くの人は面倒に感じてしまうものです。キャッシュレス決済を利用することで、お金を貯められるようになるための第一歩を簡単に踏み出すことができるというわけです。

クレジットカードの利用に潜む危険性

一方で、キャッシュレス決済にはデメリットもあります。クレジットカードの場合、その支払い方式は、1カ月など一定期間分の利用代金をあとでまとめて支払う「あと払い」となります。

使った時点では引き落とし口座の残高も減らないため、お金を使っている実感をあまり得られません。限度額が設定されているとはいえ、その限度額まではいくらでも使うことができるので、きちんと自己管理できないという人の場合には使いすぎてしまうこともあるのです。

収入も口座残高も十分にあるというのなら問題ありませんが、そうでない場合には大問題に発展する可能性もあります。引き落とし口座の残高が足りずにクレジットカードの利用代金の支払いが滞ってしまうと、延滞情報が残ります。その後も延滞を続けると強制的に解約されたうえ、基本的に5年間は新しいクレジットカードをつくれなくなったり、なにか大きな買い物をするためのローンの審査にも通らなくなったりもします。

また、「リボ払い」を利用することも非常に危険です。リボ払いとは、利用件数やその額にかかわらず毎月の引き落とし額が一定になるという支払い方法です。それだけを聞くととても便利に思えるかもしれませんが、いくら使っても毎月の支払額が定額になる代わりに高い手数料を支払うこととなりますから、いつまでたっても元本を完済できないということになりかねません。いわば、「危険な負債の一種」とも考えらえるものですから、十分に注意しましょう。

キャッシュレス決済のメリット、デメリットを理解したうえで利用することが大切
キャッシュレス決済のメリット、デメリットを理解したうえで利用することが大切【撮影=阿部昌也】


プリペイドカード、デビットカードの利用も候補に

あと払いのクレジットカードでは「自分できちんと管理できないかもしれない……」と不安に感じる人なら、「前払い」のプリペイドカード、「即時払い」のデビットカードを利用することを考えてもいいでしょう。

どちらも基本的にはクレジットカードと同じように使えるカードですが、前者は事前に自分でチャージした金額の範囲だけで使えるもの、後者は決済した時点で登録口座から利用代金が引き落とされるというものです。そのため、自分で気づかないうちにお金を使いすぎてしまうという事態を避けられます。

ただ、プリペイドカードやデビットカードの場合には利用できない店やサービスもあったり、ポイントが付与されないといったケースもあったりします。そのようなそれぞれにあるメリットやデメリット、自分の性格や生活スタイルというものを総合的に考慮して、どんなキャッシュレス決済の手段をどのように使っていくかということを自分なりに考えることがもっとも重要です。

クレジットカードの使いすぎが怖いという人なら、普段使うのはデビットカードにしたうえでその専用口座をつくって決まった額しか使えないようにしておいたり、あらかじめプリペイドカードやキャッシュレス決済アプリにきまった金額をいれておくなどしておき、クレジットカードはいざというときのためのお守りのようにしておくということでもいいでしょう。

利用スタンスは、自分の性格や生活スタイル次第

そのように自分の生活スタイルを考慮することは、さらなるメリットを生んでくれることにもなります。「1円でも安く買い物をしようと隣町のスーパーにわざわざ行くことは本当に得なのか」といった話も昔からありますが、それと同じことがキャッシュレス決済にもいえると思います。

「少しでも得ができるように」と、たくさんの店やECサイトの情報を集め、それに合わせて複数のクレジットカードやキャッシュレス決済アプリを使い分けているような人もいるでしょう。たしかに、さまざまなキャンペーンを活用することはできるかもしれませんが、そのぶんポイントなどが分散してしまうことにもつながります。

そうではなく、普段の自分の生活スタイルをあらためて振り返り、例えば楽天市場をよく利用する人なら楽天カードや楽天ペイを使う、いつも同じデパートで買い物をするならそのデパートのクレジットカードを作る、PayPayの使える店舗での買い物が多いならPayPayを使うというふうにすれば、「いつもどおりの生活を送るなかで気づいたら得をしていた」ということになります。普段の生活のなかで自分が最大限お得さを享受できるものはなんなのか、ぜひ一度振り返ってみてください。

この記事のひときわ#やくにたつ
・キャッシュレス決済の最大のメリットは、お金の管理のしやすさ
・キャッシュレス決済のメリット、デメリットを理解したうえで利用する
・普段の生活の中で自分が最大限お得さを享受できるものはなんなのかを考える

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=阿部昌也

『ミレニアル世代のお金のリアル』 フォレスト出版(2019)
横川楓 著

【プロフィール】横川楓(よこかわ・かえで)
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。やさしいお金の専門家/金融教育活動家として、「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。 2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立し、代表理事となる。マネーコンテンツ制作や企業や官公庁のアドバイザー、セミナー講師、雑誌・WEB・テレビなどメディア出演多数。
Twitter:@yokokawakaede
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