円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』の著者でもあるファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

貯蓄にまわすお金をつくるには、国の社会保険制度や、自治体などが提供するサービスをとことん利用するのもひとつの手段です。
私たちは毎月しっかりと、社会保険料や税金を納めています。健康保険組合に健康保険料を支払い、住まいのある自治体に住民税を支払っています。そうであるなら、利用できるサービスはとことん活用しましょう。
忙しい人は、体の調子が悪くても病院に行かず、市販薬で治す人もいるでしょう。しかし、薬局で市販されている薬より、病院で処方される薬のほうが3割負担で済むため、お金の負担は少なくて済みます。病院に行っても行かなくても、毎月払うのが健康保険料です。それを利用しないのは、保険料を無駄にしているようなものです。
そして、処方薬をジェネリック医薬品(後発医薬品)にすれば、薬代をもっと安く抑えられます。後発医薬品といっても、効果は新薬と変わりません。そのうえ価格は新薬の約2割〜5割です。
また、テニスをはじめるとき、あるいは子どもに水泳を習わせたいといったときにも、民間の教室へは行かずに、自治体が主催する教室に通うとお得です。高額なスポーツジムの会員になる前に、自治体のスポーツセンターなどを利用するのもいいでしょう。
他にも書道、生け花、俳句など、様々な教室や講座も自治体が開催しています。最近では、サービス内容や機材も民間とそれほど変わらないところがあるほどです。それなのに、料金は民間の2分の1から3分の1なのですから、利用しない手はありません。
これらのサービスは、自治体などが利用案内を積極的に働きかけてくるわけではないので、まずは、自分が暮らしている自治体のホームページや広報紙をチェックしてみましょう。住民税を納めているのですから、図書館の利用だけではもったいないと思います。
会社員なら、勤め先の福利厚生を活用するという手もあります。例えば、会社が所属している健康保険組合によっては、契約している保養所や宿泊所があります。1泊2食付で1万円以上の施設が3000〜6000円ほどで泊まれたり、アミューズメント施設に格安で入場できたりと、ネットで一般の施設を予約するよりも安く楽しめる場合も珍しくありません。
それだけでなく、会社がいろいろなところと提携して、従業員のために福利厚生を充実させている場合もあります。保険に安く加入できたり、スポーツジムや飲食店などが安く利用できたり、薬や健康関連の商品まで安く買えたりと、とにかく従業員の生活全般をサポートしてくれているのです。
自治体や会社が用意しているサービスを利用するのとしないのとでは、家計に与えるインパクトがまったく違ってきます。

この記事のひときわ#やくにたつ
・国の社会保険制度や自治体が提供するサービスをとことん利用する
・会社員なら、勤め先の福利厚生を活用する
編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼