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FP飯村久美さんに学ぶ『貯蓄1000万円の壁』を越えるコツ。保険好きの日本人…「保険は必要な分だけ入る」が基本

2023/01/28 12:15 | 更新 2023/04/16 23:07
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円安による生活コストの上昇や、老後資金問題など、お金に関する漠然とした不安を抱えている人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかうまくいかないという人も少なくないだろう。ここでは、

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが、お金を増やすコツを伝授。

今回は第9回。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


家計の中で支出を減らすとき、どこから削りますか?この問いに食費とお小遣いと答える人もいるでしょう。しかし、食費やお小遣いを減らすことはおすすめしていません。もちろん、贅沢過ぎる食生活や分不相応なお小遣いは見直すべきですが、我慢してまで減らすのは、ストレスが溜まるだけだと思います。

無駄な支出を減らすために最初にやるべきことは、固定費の見直しです。固定費は毎月出ていくお金ですから、無駄を削れると、定期的に貯蓄にまわせるお金をつくれることになります。

では、ひとつずつ見ていくことにしましょう。最初に見直したいのが、「保険料」です。保険料は保障内容によって変わりますが、クライアントに幾度となく驚かされてきたのは、収入額に対してかなりの保険料を支払っていることでした。

働きはじめたら、まず終身医療保険(病気やケガで入院や手術をしたときの保障)に加入する。結婚したり親を養ったりする必要があれば、生命保険(死亡したときの保障)に加入する。これが、私がおすすめする民間保険加入における基本スタイルです。

ただ保険に入るのではなく、「必要な分だけ入る」ことがポイントです。

日本で働くほとんどの人は、公的年金に加入しています。年金加入者が死亡した場合、生計を維持されていた遺族には遺族年金が支払われます。配偶者と子どもひとりなら、年間約100万円。所得にもよりますが、厚生年金の加入者なら、さらに約50万円が支払われます。これだけでも、月に約12万円のお金が入ってきます。勤務先に遺児育英年金などの保障がある場合もあります。

また一般的に、家を買って住宅ローンを組むときには団体信用生命保険に加入します。もしその住宅ローンを支払っていた人が亡くなった場合は、残っているローンが団体信用生命保険により支払われ、借金はなくなります。これらの保障でも足りないときにはじめて検討するのが、生命保険です。

公的な医療保険制度が整備されている日本では、治療費は3割程度で済みます。病気やケガで高額な医療費がかかったとしても、高額療養費制度により、支払う医療費の上限が年齢や年収ごとに決められています。世帯年収が370〜770万円の場合、たとえ1カ月100万円の医療費がかかったとしても、自己負担は9万円弱。世帯収入が370万円以下(住民税非課税者を除く)なら、自己負担の上限は6万円弱で済みます。また、1年以内に3回以上、高額療養費制度を使った場合は、前述のふたつの年収区分内であれば、4回目以降からは4万4400円で済みます。

会社を休むことになった場合なら、傷病手当金を利用すると休職中でも給与の3分の2を受け取ることができます。他にも、勤務中のケガには労災保険が適用されますし、失業時には、雇用保険である程度の生活をまかなうこともできます。このように、日本の社会保障制度はなにかと手厚いのです。

もし手元に保険証券や保障内容がわかるものがあるなら、「特約」というオプションをチェックしてみましょう。本当に熟考したうえでその特約を付けたならいいのですが、内容がわからないのに、すすめられるがまま契約してしまってはいませんか?保険は、必要な保障を必要な分だけシンプルに付けることをおすすめします。

保険好きの日本人は、なんと約9割の世帯が生命保険に加入しているといいます。生命保険文化センターが出している、「生命保険に関する全国実態調査(令和3年度)」によると、一世帯の年間保険料の平均は37万1000円。30年間加入し続ければ、1113万円にもなります。なんと、目標にしている貯蓄1000万円を超えてしまう計算です。

保険料を見直して、月に1万円削減することができれば、25年で300万円にもなるのです。そうなれば目標の30%が達成です。まずは、自分の保険証券をじっくりと確認してみてください。見方がわからない場合は、私のようなファイナンシャルプランナーに相談してもいいでしょう。

私のクライアントで、「更新時に保険料が倍になった!」と血相を変えて相談に来た人もいました。保険には、一定期間で保険内容を見直しながら更新していくタイプ(更新型保険)と、契約満了まで基本的に見直しをしないタイプ(全期型・終身型)があります。

保険料という視点で見るそれぞれのメリット・デメリットは次の通りです。
・更新型…契約当初の保険料は安いが更新するたびに保険料が上がっていく
・全期型・終身型…契約満了まで保険料は一定だが、契約当初は割高になる

相談に来たクライアントは、更新型保険のことをよく理解せずに契約していたのだと思います。保険に入る前には、保障内容だけでなく、いつまでにいくら支払うか、保険期間でトータルでいくらになるのかも必ず確認しておくようにしましょう。

保険は、基本的にいちど手続きすると、あとは口座引き落としになります。見直す習慣がなければ、自分がいくつの保険に加入していて、年間で総額いくら支払っているのかさえわからなくなっている人もいます。それでは、いつまでたっても貯蓄にまわすお金をつくることができません。

保険のなかには、自動車保険の対人賠償責任保険や対物賠償責任保険などのように、必ず加入したほうがいい保険も存在します。統計的に、交通事故に遭遇する確率は低いとされていますが、万が一、損害を与えてしまった場合、億単位の賠償を請求されることもあります。

自転車事故も要注意です。自転車事故でも、損害賠償は自動車同様、億単位になることがあるからです。自転車保険の加入は、地域・自治体によっては義務化されています。しっかりと加入を検討したほうがいい保険だと考えています。

また、個人賠償責任保険といって、日常生活において他人にケガをさせてしまった場合や、他人のものを壊してしまった場合の賠償金の支払いに備えられる保険があります。世帯主が入れば、本人だけでなく、同居の家族や別居の未婚の子どもまでカバーされます。自動車保険や火災保険に特約として付けることもできますので、一家にひとつは入っておきましょう。

そもそも保険とは、「損得」で加入するものではありません。例えば、海外旅行に行くときには誰もが海外旅行傷害保険に入ると思います。しかし、なにもトラブルがなく保険を使わなかったからといって、「損した!」と悔やむ人はいませんよね?

保険は損得ではなく、安心のための「お守り」であり、保険料はいわば「安心料」なのです。保険に加入する場合は、圧倒的に安いネット専業プランをおすすめします。ネット上で簡単に見積もりができますし、シンプルでわかりやすい商品が揃っているので、自分に適した保険を選びやすいのも特徴です。

いずれにしても、貯蓄1000万円を目指すなら、すべての保険を見直すことです。それこそ、加入したことさえ忘れている保険があるかもしれません。存在を忘れてしまっていては、もはや「お守り」でもなければ、「安心料」でもありません。

ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん【撮影=樋口涼】


この記事のひときわ#やくにたつ
・無駄な支出を減らすために最初にやるべきことは固定費の見直し
・保険は、必要な保障を必要な分だけシンプルに付ける

編集協力=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、洗川俊一、横山美和、撮影=樋口涼

『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』
株式会社KADOKAWA(2022)

【プロフィール】
飯村久美(いいむら・くみ)
金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「生活を守る手段」であり、「やりたいこと」や「夢」につながると痛感。その経験を伝え、その人の夢が叶うマネープランをサポートすることを目的として、2006年FP事務所を開業。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法』(アスコム)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)、『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)、監修書に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。FP事務所アイプランニング https://www.fp-iimura.jp

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