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「持続可能な運動習慣」で人類を健康に!「SIXPAD HOME GYM」事業リーダーが思い描く壮大な未来

2022/10/10 12:00 | 更新 2023/04/17 00:01
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SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん
SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん【撮影=藤巻祐介】

――ここからは伊藤さんのシゴト観についてお伺いさせてください。事業責任者という立場ですが、普段の仕事で意識していること、大切にしていることはありますか?
【伊藤宏紀】我々は会社として「VITAL LIFE(バイタルライフ)」という事業ビジョンを掲げています。僕たちの事業としてもバイタルフィットネスという、バイタルというものをキーワードにしていこうとなっています。「身体も美しく健康で、心も前向きに」といった意味が込められた“バイタル”という言葉なのですが、とにかく自分が「誰よりもバイタルである」ということを決めて実践しています。特に僕はフィットネスを担当しているので、今日も走ってきましたし、そういう様子をInstagramでPRも兼ねて発信しています。「運動って楽しいよ」「バイタルに生きていくっていいよね」という思いでやっていますし、実際、このレベルで運動をし始めたのはここ1年半ほどのことなんですが、身体を鍛えると本当に前向きになりますし、つらいこととかも平気で、本当に忘れてしまう。それまでは、役員会議とかがあると、会議の1週間前くらいからそわそわして、当日の朝もそれなりに緊張していたんです。ギリギリまで何度も資料を見直したり、見直したところで何も変わらないのに「どんなことを聞かれるだろう?」と不安で、実際、不安げな表情で会議に臨んでいました。でも、運動を始めてからは、そんなことは一切なくなって、朝イチから重たい会議があったとしても、運動してプロテインを飲んでストレッチをして、会議には「どうも!」と“バイタル”に臨む、そんな感じです(笑)。

――それはすごいですね(笑)。
【伊藤宏紀】それから、もうひとつ大切にしていることがあります。それは、SNSでのお客様とのつながりです。SNSのプロフィールにも「SIXPAD HOME GYM事業責任者」と書いているので、話しかけていただくことが多いんです。「宏紀さん、めっちゃ痩せたんですよ!」とか「ポイントが貯まってうれしい!」とか「あのメニューがよかったです!」とか、ありがたいことですよね。イベントがあるときには「宏紀さんも行くんですか?」と聞かれたり、会場でお会いした際にサインを求められることもあります(笑)。こうして直接、話し合うことができるのは本当にうれしいですね。

――SNSのメリットですね。
【伊藤宏紀】もちろん、こうしたプラスの面もあれば、苦情をいただくこともあります。「スーツがうまく作動しません」とか「アプリがつながりません」とか。もちろん、カスタマーセンタへの案内をすることが従来の対応かもしれません。でも、休日であったり、夜中であったり、その方はまさにその瞬間にトレーニングをしているわけですよね。「今、知りたい」と思うのは当然ですし、そういうメッセージを直接、受け取ることがあります。可能な範囲にはなってしまいますが、喜んで「即対応します」と返事をしています。自分でわかる場合は僕がその場で対応しますし、それが難しい場合は、週末であれば「月曜までお待ちください」と返答して、月曜の朝イチからメンバーに集合をかけて、優先順位を上げて対応を進めます。そうすると、もともとはネガティブな要因がきっかけだったものがプラスに変わるんですよね。以前、こんなことがありました。パワースーツの連動がうまくできなかったユーザーの方がYouTubeで我々のサービスについてネガティブな投稿をされていて、こちらのカスタマー対応にも落ち度があったようでした。日曜の夜にその投稿を見て、月曜の朝イチに速攻で対応をしたんです。すると、次の日に「神対応でした!」というYouTubeが投稿されていて、よかったなと。ユーザーの皆さんはお金を払って我々のサービスを利用してくださっているわけですから、できる限り、真摯に対応したいと考えています。

――ユーザーの方は365日、その方の時間で利用するわけですしね。ネガティブな反応は逆にチャンスでもあるという点はわかります。真摯に対応することで、よりファンになってもらえる可能性もありますから。
【伊藤宏紀】そうですね。あとは、正直な話、あまり仕事とは思っていないのかもしれないです。自分も同じユーザーとして毎日、楽しくトレーニングをしているので、「今できないのはすごく嫌だ」という気持ちはすごく理解できますし、仲間が困っているときに助けるような感覚ですね。「仕事だから」とか「自分は休みだから」といった意識はあまりなくて、むしろそうした対応をしないほうが月曜日がつらいですし(笑)。その悩みもなくなるので、何の苦でもないですね。あっ、こういう時代ですし、「ほどほどに楽しみながらやっています」ということで(笑)。

――Instagramのプロフィールに「日々の経営業務の傍ら、いろんなフィットネスにも果敢に挑戦しちゃうビジネスアスリート」とありますが、伊藤さんのキャリアとシゴト観について教えていただけますか?
【伊藤宏紀】プロフィールについては、広報担当と話し合って決めました。仕事と日常、オンとオフの切り替えみたいなところがあまりなく、わりと溶け込みがちなのは、昔からですね。もともと愛知県出身で、大学は名古屋大学。学生の頃から勉強もしっかり励んだタイプで、当時から「勉強は嫌だ、遊びたい!」といった感覚がありませんでした。「テスト、よし100点取りたい!」「中間テストが終わった、次は期末テストだ!部活もがんばるぞ!」と、昔からそんなノリなんです(笑)。

――バイタルですね(笑)。
【伊藤宏紀】いざ就職というときに、当時から思っていたこととして、ちょっとくさい言葉になるのですが、今ってすごく平和じゃないですか、モノだって満たされていますよね。でも、それでも心を病んでしまう人がいる。「いろいろな問題があって、“心の戦争”がおきているんだな」と大学生のときにすごく考えていて、この国を“心で平和にしよう”みたいなことをずっと考えていたんです。当時、それを実現できる仕事って何だろうと考えて、リンクアンドモチベーションという会社に新卒で入社しました。「企業で働く人のモチベーションに火をつける」といったビジョンを掲げる会社で、「僕、それやりたい!」という意気込みで入りました。当時、ベンチャーで10年目、東証に上場している勢いのある会社で、3年ほどがむしゃらに働きました。

――その後、MTGグループに?
【伊藤宏紀】就職前のもうひとつの思いとして「経営者になってみたい」というビジョンがあり、その思いが強くなっていた頃に、たまたまMTGの松下剛社長とのご縁がありました。20代で「オレは経営者になる」と言っている生意気な僕と、「20代で社長を目指しているような人材はいないのか」という松下社長。初めてお会いしたとき、少しスピリチュアルな話になるのですが…大学時代、世の中を変えたいと思い始めていたころ、コンプレックスを持った相手がいて、それが時計だったんです。

――時計?その理由は?
【伊藤宏紀】どれだけ、ぼーっとしていても時計は進んでいて、世の中は動いている。今日のこの取材も、時計を基準に決まって動いていますよね。「時計には勝てないかも」と思って、「時計になりたい」と記したノートがいまだにあるんです(苦笑)。そんな変な過去を持つ僕が、いざ松下社長に会ったとき「新会社をつくるんだ。社名だけ決まっていて、それは“TWELVE(トゥエルヴ)”」と話してくれて、「世の中の基準は『12』で、時計のように12時で始まって…」という話を聞いて、「社長、それ僕ずっと考えていました!」という“謎の会話”になりました(笑)。それで、すぐに転職を決めました。いまから10年前ですね。当時はまだ、本当に社名しか決まっていなくて、「スポーツでなにかやろうよ」くらいの感じでスタートしました。テーピングをつくったり、それをスポーツクラブで売ってみたり、いろいろ苦戦して、スポーツジムでSIXPADを販売する会社になり、ここで代表としてうまく実績をあげました。当時20人くらいの組織で、実はそれがSIXPAD STATIONにつながります。「ジムに通っているのになぜSIXPADを買うんだろう?」というひとつの疑問から、「SIXPADのジムがあったら通ってもらえるのでは」という考えに至りました。SIXPAD STATIONを始めるときもMTGグループの子会社でしたが、僕がこの構想を思い描いて、松下社長に持っていったところ、ちょうど社長もドイツでリサーチしていたタイミングで、「オレも考えていた」、「では、やらせてください!」といった感じでスタートしました。毎回、こういうふうにキャリアが進んでいきます(笑)。

【伊藤宏紀】シゴト観としては、常に、そのときそのときの、ある種、漠然とした思いがベースになっています。いまとなっては「健康寿命」とか、そういう具体的なニーズ論も語れますが、いまもフィットネスをやっている最大の理由としては、「世の中をよくしたい、みんなをハッピーにしたい」というもっと漠然とした思いからですね。僕が今、実際にそうなっているように、みんながバイタルに、「悩みやつらいことがあっても運動すれば忘れてしまうよね」といった世界を、フィットネスを通じて実現したいと思っています。そんな漠然としたシゴト観で、日々、生きています(笑)。

――大きな思いがあって、そこに到達する手段がアイデアとして生まれてくる。そういうキャリアの流れですね。
【伊藤宏紀】運や縁という言葉をすごく大切にしていますし、ありがたいことに、自分は運が良い人間だと思っています。運がめぐって来ることを察知できるように、いつ来てもつかめる準備をしています。「どうしてそんなに鍛えているんですか?」と聞かれるときも、「いざというときのためだ」って意味不明な答えをするくらい(笑)。サッカーの三浦知良さんが「いつ日本代表に呼ばれてもいいように」と言っているあの感覚と近いと思います。例に出す名前として偉大すぎますが(苦笑)。でも、まじめな話、急に試合に呼ばれる夢をよく見るんです。そして、あせるんです。うまくFKを蹴ることができるかな、と。いつかくる見えない何かに向けて、見えない何かをイメージしながら常に本気で生きています。だから、目の前に現れるものは、すべてチャンスというか、意味のあるものに見えてしまうし、意味のあるもののように今もこうして語っていますよね。すべてを正解に変えていく、そう思って生きているだけなんです。

――おっしゃるとおり、目の前に起こる事象って“一緒”ですよね。あるのは、受け止める側がどんなマインドでいるかどうかだけ。こちら側がどんな気持ちで向き合うかという問題だと思います。
【伊藤宏紀】哲学的な話になりますが、究極のところ、本当にそうなんです。僕のキャリアをもっとさかのぼると、高校時代、実は哲学者になりたいと思っていました。今話したようなことを昔からよく考えていて、でも周りのみんなは考えていなくて。自分はおかしいのかなと思っていたころ、ある友達が「それが宏紀じゃん」と言ってくれたのをいまだに覚えています。「ああ、これでいいんだ」と思えた。高校3年生のとき、哲学の授業でデカルトの話が出て、デカルトは世の中にあるものをすべて疑うことから始まって、たどり着いたのは、それを疑っている自分自身の存在だけは疑うことができない、自分が今考えているからこそ自分が存在することだけは確かだ、ということ。我思う、故に我あり。この言葉を聞いたときに、「僕、デカルトの生まれ変わりでしょうか。同じことを思っています」みたいな感じでした(笑)。そこから、考えることはより大事なことだと思って、その過程で、ひとつの究極の哲学は、「良い悪いなんてことも人それぞれ」と考えました。人間関係も一緒で、究極、人生で起こることもそう。つらいと思っている自分がいるだけ、つらくないと思った瞬間につらくないんですよ。仕事もすべてその考えがベースにあるので、他の人がつらいと感じるようなことが起きるたびに、「きた!」っと。そういう感覚でずっときているので、ありがたいことに、社会人になってから「きた!」という瞬間を多く迎えていますし、まだまだ人生は長いですけど、この考え方でいいんだと信じています。このほうが絶対に幸せになる。そう思っているので、こういう考え方に至っているという感じですね。

――哲学書を出版できそうですね(笑)。
【伊藤宏紀】それは夢でもあります(笑)。

――たとえば、先ほど話に出た役員向けのプレゼンであっても、そこで過ぎる時間は仮に15分であれば同じ15分で、過ごす時間は一緒。ネガティブな気持ちで臨むだけ損ということですよね。
【伊藤宏紀】本当にそうなんです。最近、嫌なことがなくて困っているんですよ(笑)。鳥のフンが頭に落ちてきたら普通は落ち込むかもしれませんが、「僕の頭でよければ」って考えればそれでいい。毎日そんなことを考えて生きています。毎日がアップデートみたいな。一見つらく見えるようなことがあるほうが、僕はうれしい。またこんな事例が増えた、とアップデートできますから。

SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん
SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん【撮影=藤巻祐介】

――哲学については、また、あらためて時間をください(笑)。ここからは、運動習慣について。トレーニングの課題として「継続」があるかと思います。伊藤さんが考える継続のコツはありますか?
【伊藤宏紀】我々のサービスに組み込めるかどうかはいったん置いておくと、トレーニングを継続するには、“決まっていること”が大切だと思います。習慣化、人って決まっていればやるじゃないですか。たとえば、塾。「絶対に行かない!」という強い意志がない限りは塾に行く。学校、仕事もそうですよね。決まってさえいれば、人は何も考えずに行動する。だから、はめてしまえばいいと考えています。「月曜日の夜は塾だ」とか「火曜日の朝は燃えるゴミだ」とかと一緒で、曜日や時間ではめてしまえば実践できるので、そうなったら勝ちだと思います。これは自分も実践していることですし、運動も同じ。僕は自分をコントロールする力に自信があるのですが、そんな僕でも運動する日を決めておかないと迷うんです。さらに僕がひらめいたのは、運動習慣は「毎日やる」と決めてしまえば迷わない、ということ。そう決めています。ウェイバーでもある90歳を過ぎたタキミカさんが毎日トレーニングをしていると聞いたので、「毎日でもいいんだ」と考え、僕は今、毎朝トレーニングをしています。毎日だから迷わない。毎朝6時に起きてやる、それだけです。ただ、週7日トレーニングをするときついから、「一日だけやすんでいい」という“緩み”を与えています。雨でもSIXPAD HOME GYMがあるし、晴れていれば外に走りにいくし、手段は選ばないので、僕はそういう風に習慣化しています。

――習慣化はひとつの課題ですね。
【伊藤宏紀】多くの人は習慣化がなかなかできないので、我々のサービスとしても、何らかのきっかけを、ある程度、強制的なものでもいいし、つくってあげられればと考えています。それから、“報酬”です。フィードバックがないと厳しいじゃないですか。やったら褒めるとか、やらなかったら罰があるとか。これがあれば絶対に習慣化されると思うので、アプリの機能であったり、ウェイバーの指導であったりを通じて、習慣化へのサポートは日々、検討しています。課題はまだまだたくさんあります。

――課題の多さこそ伊藤さんの求めるものでもありますね。
【伊藤宏紀】もちろんです(笑)。

――運動習慣について、「毎日」に決めてしまうのは確かにありかもしれませんね。
【伊藤宏紀】「週3日」といった決め方だと意外に難しい。さぼってしまいますよね。

――最後に、今後の戦略、展望、伊藤さんの野望について教えてください。
【伊藤宏紀】事業としては、シンプルに会員数を増やしていくことが目標です。日本では、フィットネスへの参加率が3%程度、400万人くらいの規模感になります。でも、そもそもこの定義は「フィットネスジムに通う人」だけなので、たとえばSIXPADを持っている人や、自宅で自分で筋トレをしている人も、僕からすると立派にフィットネスをやっている人。定義を広げたいというのと、現状の数値として3%とされている状況ですが、逆にいえば「97%の伸びしろがある」ということでもあるので、僕たちはこの層に、自宅で気軽に、かつ本格的にトレーニングできるサービスを提供して、おもしろいコンテンツで楽しんでもらう。そう考えれば、会員数のポテンシャルは大きいですし、立ち上げ当初から抱いているイメージとして、まずは国内で100万人のサービス利用者を目指しています。日本の人口比で1%強ですし、決して無理な数字ではないと思います。それから、健康寿命というテーマ。SIXPADにおけるEMSエビデンスの権威としてサポートいただいている京都大学名誉教授の森谷敏夫先生がおっしゃっていたのですが、「健康寿命が平均1年上がると国の医療費が約1兆円削減できる」ということなので、我々のサービスは、この課題の解消に向けても大事なアクションになると考えています。自社の目標に向けてサービスの利用者を増やす、いままで運動をしていなかった人がトレーニングを通じて健康になる、その結果、健康寿命が伸びて医療費が削減できる。これこそSDGsだと考えています。「持続可能な運動習慣」ですね。そして、これは日本だけではなく、いずれはフィットネス大国のアメリカをはじめ、SIXPAD HOME GYMを世界に展開して、人類を健康にするためのビジネスの戦いをしていきたいと思います。

SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん
SIXPAD HOME GYM事業責任者の伊藤宏紀さん【撮影=藤巻祐介】


この記事のひときわ#やくにたつ
・ネガティブな状況は逆にチャンスと捉え、真摯に向き合う
・大きな、漠然とした思いに到達するための手段をアイデアとして昇華する
・目の前に現れるものは、すべてチャンスと捉える
・運動習慣は「毎日やる」と決めてしまえば迷わない

取材・文=浅野祐介、撮影=藤巻祐介

●伊藤宏紀さんInstagram

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