プロやトップアマチュアに支持されるスケートボードシューズと高品質なカジュアルシューズを展開するD2Cスニーカーブランド「CARIUMA(カリウマ)」。2018年にFernando PortoさんとDavid Pythonさんが創業して以来、わずか5年で世界49カ国以上で販売されるブランドとして急成長している。

CARIUMAは社会と環境に対する責任を果たす企業として、アメリカのB Labから「B Corp認証」をスケートボードシューズブランドとして初めて取得、イギリスの「Positive Luxury認証」も取得するなど、素材、製造過程、労働環境にいたるまで、サプライチェーン上の徹底的なサステナビリティの実践に取り組んでいるのが大きな特徴だ。

2024年2月、CARIUMAは株式会社丸紅フットウェアと独占販売代理店契約を締結し、日本市場に本格的に参入。これを記念して2024年3月7日には東京・原宿の「UNKNOWN HARAJUKU」にてローンチイベントを開催した。今回はこのイベントをレポートするとともに、CARIUMA CEO 兼共同創立者 Fernando PortoさんとDavid Pythonさんにブランドについてのインタビューをお届け。

CARIUMA CEO兼共同創業者のFernando Portoさん(左)とDavid Pythonさん(右)
CARIUMA CEO兼共同創業者のFernando Portoさん(左)とDavid Pythonさん(右)


「CARIUMA」は、製造から販売までのすべてがサステナブル

今回行われたローンチイベントでは、現在販売されているCARIUMAの製品を知ることができる展示がされており、「VALLELY」や「CATIBA PRO」をはじめとしたそれぞれのシューズのコンセプトの解説や、粘着性が高くグリップの強い天然ゴムソールや最高のクッション性と衝撃吸収性を実現するコルクのインソールなどの細部へのこだわりを含め、ブランド全体の理解を深めることができた。

CARIUMAブランドの展示の様子
CARIUMAブランドの展示の様子


なかでも、イベントで最も強調されていたのがサステナビリティへの貢献だ。

製造工程で必要な電力はすべて代替エネルギーでまかなわれ、さらに再利用の水を使用。シューズに使用されているプラスチックの大部分はペットボトル由来、皮革は食肉および乳製品産業の副産物と、ほとんどがリサイクル素材でできており、パッケージは100%リサイクル可能な再生紙で、インクは大豆由来、輸送中にスニーカーの中に詰めるシューフィラーは生分解性といった徹底ぶりだ。

世界中のプロサーファー、プロスケーターからの支持を集めているブランドであることが伺えた
世界中のプロサーファー、プロスケーターからの支持を集めているブランドであることが伺えた

CARIUMAの主力商品のひとつ「OCA」
CARIUMAの主力商品のひとつ「OCA」


そして、CARIUMAでは、シューズ1足の購入ごとに、ブラジルの熱帯雨林に2本の植樹を行う、自然環境に配慮した取り組みも行っており、これまでに250万本もの植樹を実施し、660ヘクタール以上の森林が回復に向かっているという。日本で販売されたシューズの数によっても植樹がなされるため、ユーザーはプロダクトを購入するだけで熱帯雨林の保護に協力できるのが特徴だ。

さまざまな種類のシューズが並べられている
さまざまな種類のシューズが並べられている

CARIUMAの主力商品のひとつ
CARIUMAの主力商品のひとつ


ローンチイベント開催に伴い、CARIUMA CEO兼共同創業者のFernando PortoさんとDavid Pythonさんが来日。イベント冒頭には2人のあいさつがあり、日本市場の進出への意気込みを語った。

DavidさんはCARIUMAの日本参入において「2016年、新しい事業をするうえでインスピレーションを受けるために世界旅行を決め、最初に訪れた国が日本だった。8年経った今、CARIUMAの製品が日本に上陸していてとても興奮している。今回、丸紅フットウェアというよきパートナーと一緒にブランドを展開できて、非常に喜ばしく思っている」と話した。

また、Fernandoさんは「日本でCARIUMAをローンチできたことを非常に喜ばしく思っている。日本はファッションに対して感度や発信力がある国なので、さまざまな展開ができることを望んでいる。ブランド立ち上げから5年とまだまだ駆け出しなのですが、非常にいいプロダクトを生産しているので、ぜひご愛顧いただきたい」と展望を語った。

イベントにてあいさつを行うFernando PortoさんとDavid Pythonさん
イベントにてあいさつを行うFernando PortoさんとDavid Pythonさん


両氏のあいさつのあとには株式会社丸紅フットウェア諸越さんがCARIUMAのブランドやビジネス戦略についてプレゼンし、日本のシューズ市場におけるCARIUMAの展開を説明した。

諸越さんはブランドの展望において「森林破壊や海洋汚染をはじめとした侵略的な人間の行動が、地球環境の脅威になっていることを忘れてはならない。次世代のサーファーやスケーター、木を植える人々、そして地球の未来のために、私たちはCARIUMAの掲げるミッションに参加し、地球環境を守ることに協力していきたい。CARIUMAブランドを日本国内で成長・発展させることが、弊社としてのサステナブルへの貢献だ」と話し、あいさつを締め括った。

ブランド展開について説明する株式会社丸紅フットウェアの諸越さん
ブランド展開について説明する株式会社丸紅フットウェアの諸越さん


日本上陸を果たしたCARIUMA。2人の意気込みは?

今回、ローンチイベントのレポートに伴い、CARIUMA CEO 兼共同創立者 Fernando PortoさんとDavid Pythonさんにインタビューを実施。CARIUMAブランドにおけるこだわりや、日本の市場進出への意気込みや展望などについて話を聞いた。

インタビューに応えるDavidさん
インタビューに応えるDavidさん


ブラジルの沿岸部出身で、小さいころからサーフィンやスケートボード、スノーボードといった横乗り系のスポーツに親しみ、自然をこよなく愛してきたFernandoさんとDavidさん。彼らが会社を立ち上げた際、地球環境に優しくサステナビリティに貢献できるブランドを設立しようと考えたのは、ごく自然なことだったという。

「Davidと私はもともと大手の靴会社に勤めていましたが、靴の製造から労働環境にいたるまで、なにもかもがサステナブルではないことを不満に感じてました。そこで、私たちがブランドを立ち上げる際に、私たちが愛している地球環境を守りたいという気持ちもこめて、世界一サステナビリティを実現できる会社を作ろうと思いました」

現在、アメリカのB Labから受ける「B Corp認証」、イギリスの「Positive Luxury認証」の両方を取得している会社はCARIUMAだけなのだという。世界中のさまざまな会社がSDGsを意識した経営を行うなかで、CARIUMAは世界で最も完璧に近いサステナブルな会社として、ブランド展開に取り組んでいる。

日本進出について話すFernandoさん
日本進出について話すFernandoさん


そんなCARIUMAが商品展開で意識しているのは「長く履けるいい商品を作る」、「適切な価格で売る」、そして「二酸化炭素を減らす」の3つだ。安かろう悪かろうのファストファッションが世界を席巻するなかで、CARIUMAではオーガニックコットンや天然ゴムといった自然に優しい素材のみを使用し、ほかのブランドでは実現できないほどに丈夫で壊れにくい作りのシューズを、熱エネルギーを極力使用せずに製造している。

「すぐに履き替えないといけないような脆い靴は、サステナブルとは到底言えません。一般的なスニーカーでは布部分と靴底のゴム部分を熱で吸着しているだけなので、製造に熱エネルギーを使うだけでなく布とゴムが剥がれやすいのが難点です。ですが弊社ブランドでは、シューズの布部分とゴム部分を一本の丈夫な糸で縫い付ける技術を開発しました。そのため布とゴムが剥がれにくいのが特徴です。このほかにも丈夫に長く使い続けられるこだわりがたくさん詰まっているんです」

CARIUMAのシューズでは、アッパー部分と底のゴム部分の接着が丈夫な紐でなされている。そのため壊れにくく丈夫なのが特徴だ
CARIUMAのシューズでは、アッパー部分と底のゴム部分の接着が丈夫な紐でなされている。そのため壊れにくく丈夫なのが特徴だ


2024年2月に日本上陸を果たしたCARIUMA。日本をアジアにおけるトレンドセッターのひとつと捉え、ブランドを通してクールやエシカル、ファッション、ナチュラルなど、CARIUMAと日本がもつ共通の価値観を共有していくことが目標だ。

CARIUMAの今後の展開について、Davidさんは以下のように語る。

「前回の東京オリンピックではCARIUMAがスポンサーを務めたスケートボードチームから2人のメダリストが出ました。そして、今年(2024年)のパリオリンピックでは15人のスポンサーを務めることになりました。また、3カ国の代表のユニフォームを手掛けることとなったため、ブランドとして非常にインパクトの大きい夏になると思います。日本のみなさまにもぜひCARIUMAのシューズを手に取ってもらって、一緒にブランドを盛り上げていきたいですね」

「CARIUMAをぜひよろしくお願いします!」と両氏
「CARIUMAをぜひよろしくお願いします!」と両氏


また、Fernandoさんからも日本のユーザーに向けたメッセージをいただいた。

「弊社も含め、100%サステナブルな会社はこの世に存在しません。ですが、私たちが少しでも完璧に近づけるように努力をしていくことが大事だと思っています。日本の方たちにも私たちの理念や思いを理解していただき、製品を使ってもらうことでサステナブルな社会を一緒に目指すことができればうれしいと思っています。地球環境にいい取り組みをしていく仲間として、ぜひご支援をいただけるとうれしいです」

イベントが行われた東京・原宿の「UNKNOWN HARAJUKU」
イベントが行われた東京・原宿の「UNKNOWN HARAJUKU」


「『CARIUMA』というスゴいブランドが上陸したから、楽しみにしていてくれ!」と日本のユーザーにアピールするFernandoさんとDavidさん。スケーターやサーファーを中心に徐々に知名度が上がってきているCARIUMAは、日本市場でどのような活躍を見せるのだろうか。今後の展開に期待したい。

取材・文=福井求(にげば企画)