都内の小学校。この季節、古い校舎はただでさえ寒いが、各教室は窓が開いたままだ。暖房を入れてはいるものの、窓際に座る児童たちはときどき指を擦り合わせる。見るからに寒そうだ。
2020年初頭から、日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大した。その感染予防対策として、こまめな体温測定にうがいと手洗い、マスクの着用が奨励されたことは記憶に新しい。そして同時に、室内の換気も必須だった。現在でも新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザやアデノウイルスをはじめとする呼吸器感染症を予防するため、換気は推奨されている状況だ。
それにしても、真冬のこの時季に窓を開けっぱなしにしていたら、寒くて仕方がないではないか。体が冷えて抵抗力が弱まってしまったら、元も子もない。
こうした問題を解決するツールとして、CO2センサー(二酸化炭素濃度計)にあらためて注目が集まっている。なかでも高い精度で信頼を得ているのが、エレクトロニクス商社のユニ電子株式会社が手がけるCO2センサー「Canary＋(カナリープラス)」だ。以前は室内環境の遠隔モニタリングのサービスとして企業向けに販売されていたが、このほど一般に向けて販売を開始したのだという。
「そもそも当社がCO2センサーの普及に乗り出したのは、新型コロナウイルスの感染者が報告される以前の2016年のこと。当時、保育園や幼稚園でインフルエンザの集団感染が各地で多発していたのですが、園に預けた子が熱を出すと親御様は仕事を切り上げてお迎えに行くほかありません。こうした状況を知り、集団感染を防ぐ予防対策としてCO2センサーによる換気の『見える化』が有効だと考えました」
Canary＋開発主任でマーケティング部課長の森尻英男さんはこう語る。その後、新型コロナのパンデミックによりCO2センサーは一気に普及したが、デタラメな数値を表示する粗悪な製品も多く出まわった。こうした粗悪品について、電気通信大学の研究グループが注意喚起を行うなど、社会的な問題にも発展した。
「当社が手がけるCanary＋は日本国内で開発、製造を行っており、高性能な製品であると自信を持っておすすめできます。とはいえ、開発をスタートした2016年当時は、CO2センサーそのものが一般に全く認知されていませんでした。呼吸に含まれるCO2を測定することで室内のCO2濃度を数値化し、換気の指標として活用したら、インフルエンザの感染予防ができますよ、と。なぜCO2なのか、感染症の予防につながるのか、ご理解いただけるよう啓蒙活動から始めました」
一般向けに発売するCanary＋は、重さ約50グラムで手のひらサイズと想像以上に小型。本体そのものに画面はついておらず、無料のスマホアプリで数値を確認する。つまり、ワイヤレス方式で、ドアの外からでも室内の環境を確認できるのだ。
「センサーの画面を見るために部屋へ立ち入るのはそれだけで大きな手間。ワイヤレス方式であれば遠隔で数値を確認でき、換気したいときに部屋へ出向けばよいので見守る側も見守られる側もストレスがありません。また、Canary＋はCO2濃度のほか、温度や湿度も5秒間隔で測定できます。一般の方にもご利用しやすいように、小型化、軽量化、低コスト化し、販売も買い切り型です」
「ホテルや介護施設、医療機関のほか、保育園・幼稚園、小学校をはじめとした教育機関、さらには高齢者向け施設など、幅広い普及を目指しているので、2024年3月28日(木)までの期間限定で特別価格9000円(税別・送料込み)でご提供いたします」
感染症予防のために窓を開けっぱなしにしたり、冷暖房を効かせて快適な室温を保つためにドアも窓も閉め切ったりと、とかく換気については極端な対応になりがち。数値で判断できるのは、その部屋を利用するすべての人にとってまるで損がない。
「室内空間の衛生状況は、人間の五感では把握できません。センサーが必要です。温度や湿度だけでなく換気状況も気にかけていただけたら。空間に漂うウイルス、ダニ、PM2.5などの粒子による人体への悪影響を、少しでも予防するために役立てていただけたら幸いです」
かじかむ指でノートをとっていたあの児童のいる教室でも、ぜひとも導入を検討していただきたいものだ。
