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女性でも“立ち小便”が可能なカップ型トイレが登場!地震での帰宅困難時に備えて看護師・防災士が考案

2023/11/23 14:00
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防災と健康に関するセミナー運営およびグッズ製作を行う合同会社BOUKENが、「災害から女性を守るカップ型トイレ Chiicup(ちぃかっぷ)」の販売を開始。地震などの緊急時に難しい状況でも、用が足せるように考案・開発されたアイテムということで注目を浴びている。

男性だけが緊急時にも気軽に用を足せるのはズルい!

本商品について、同社代表の髙野明子さんに話を聞いてみた。

女性でも立ち小便が可能なカップ型トイレ「Chiicup」
女性でも立ち小便が可能なカップ型トイレ「Chiicup」

合同会社BOUKENの代表を務める髙野明子さん
合同会社BOUKENの代表を務める髙野明子さん


ーーChiicup開発の狙いは?
災害時の女性のトイレ問題を解決するひとつの手段として、女性にも“立ち小便”という選択肢を作るべきだと考えました。男性だけが緊急時にも気軽に用を足せるのはズルい!という単純な嫉妬心もありました(笑)。女性の立ち小便について調べていくと1964年の東京オリンピックではオリンピアの女性選手たちは国立競技場にある立ちション便器で競技前に用を足していました。日本の昭和初期までは、畦道で着物を捲って立ち小便する風景は当たり前にあったという話も聞きました。そして製品について調べていくと、外国製の中に女性用の立ち小便補助具も見つけることができましたが、それは日本人女性が使いやすい物とは思えませんでした。ここからは日々、トイレのことばかりを考えて生活していたように思います。

【画像】「Chiicup」についている女性の立ち小便スタイルの解説書
【画像】「Chiicup」についている女性の立ち小便スタイルの解説書


ーーChiicupのアイデアのきっかけは?
ある日、スターバックスでコーヒーを買おうとしたとき、熱いカップを持つためのカップホルダーを見て思いつきました。“こんな風に便器も手に持てれば…”。そこから看護師には馴染みもある尿瓶とカップホルダーを組み合わせた発想が生まれました。硬めの紙を使ってさまざまな試作を行いました。工作が得意な友人にアドバイスをもらいながら形を検証し、女性が立って自分の股に持っていきやすいトイレができあがりました。Chiicupは、折りたたみが可能でA5サイズよりも小さくなります。若干組み立てにはコツがいりますが、編み込むように組み立てることで軽い素材にも関わらず強度が生まれます。これらを東京都知的財産センターの職員さんに相談しながら製品のブラッシュアップを重ねて特許出願~取得に至りました。

ーーユーザーへのメッセージは?
今ならまだ、皆さんは準備ができます。『知っていることが、いのちを守る』のです。食べ物、水の備蓄ももちろんですが、トイレに関する準備を怠らないでください。内閣府は平成30年に『行政は万能ではありません。皆さんの命を行政にゆだねないでください。皆さんの命は、皆さん自身で守ってください』と中央防災会議報告書で発表しています。自宅であれば、ビニール袋と凝固剤を家族数×5回×3日備蓄しておくだけでも違います。避難生活や帰宅難民になることも想定できる場合には、携帯用のトイレが有効です。もちろん弊社のChiicupも選択肢になり得ます。トイレの準備があればこそ、安心して食べて飲めるということ。災害後の心身の健康を守るために本当に重要な準備だということを周囲の方々に伝えてあげてください。

地震が発生で帰宅困難に…そのとき起こる最悪の事態とは?

今後30年以内に70%の確率と予測される首都直下地震。BOUKENによると、都内では帰宅困難者が約453万人になるといわれており、また地震発生後72時間はオフィス・学校などに待機していることが推奨されているという。

トイレは、電気・上水道・下水道のどれか ひとつでもストップすれば使えなくなり、水が流せない状態となる。 行政の資料によると、各区役所が用意している災害用備蓄トイレはあくまでも住居している区民の分のみ。その区民の分さえも不足しているところも多いのが現実だという。

「当然、帰宅困難者(453万人)のための用意はゼロに等しく、男性であれば緊急に屋外で用を足すこともできますが、女性は用を足す場所を失うことになります。地震発生後、少し落ち着いたころから人々がトイレに行き始めます。水が流せなくなったトイレに多くの人が用を足していくと、便器からは汚物があふれ、汚れてひどい状態に。掃除をしたくても水は使えません」と髙野さん。

トイレの充足度のイメージ図
トイレの充足度のイメージ図【出典】マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン 2021 年版(国土交通省)より

国土交通省の資料では、仮設トイレが発災から各地の避難所へ届くまで早くても3日以上、ほとんどの場合は4日以上かかるケースが多いとのこと。そのため、発災直後数日は避難所の個室トイレブースや簡易的なブース内での携帯トイレや簡易トイレを利用を想定し、備蓄が推奨されている。

「男性であれば緊急時に屋外で用を足せるかもしれません。しかし、女性は外で用を足せません。東日本大震災の時、文部科学省の調査結果においても、避難所で困った事の第1位(74.7%)がトイレ問題でした。3.11当時は性質上、マスメディア等ではほとんど取り上げられていませんでしたが、現場の避難所で1番問題となったのは『トイレ』でした」と髙野さんは続ける。

カップ型トイレ「Chiicup」とは?

扱いやすい軽さも特徴
扱いやすい軽さも特徴

Chiicupは組立式のカップ型トイレで、素材の薄さは1ミリ。ビニール袋を取り付けて凝固剤(または代替品)を入れれば完成する。床に置けば簡易的な便器として、また取手を持てば女性でも立ったまま用を足すことができ、介助が必要な人へのトイレ補助にも便利!使い捨てではなく、繰り返し利用が可能なのも利用しやすいポイントだ。

ビニール袋を取り替えれば繰り返し使える
ビニール袋を取り替えれば繰り返し使える

さまざまなサイズの袋に対応できるのでゴミ袋・レジ袋など臨機応変に使用することが可能で、袋の中に入れる凝固剤には市販の物や代替え品として新聞紙・段ボール・ぼろきれ・生理用品・おむつ・猫砂等を利用することもできる。帰宅困難者となったときのため、常にオフィスの机回りやロッカー等に置いておけるようにと、コンパクトなA5サイズなのもありがたい。

Chiicup本体(お試しキット付き)は1500円
Chiicup本体(お試しキット付き)は1500円

Chiicup開発のきっかけは自身の被災体験

Chiicup本体、凝固剤35回分、消臭ビニール袋・ウェットティッシュ・ティッシュペーパー各40枚、身を隠すサバイバルシート1枚&クリップ2個が入った「災害時トイレ7日間セット」(7980円)
Chiicup本体、凝固剤35回分、消臭ビニール袋・ウェットティッシュ・ティッシュペーパー各40枚、身を隠すサバイバルシート1枚&クリップ2個が入った「災害時トイレ7日間セット」(7980円)

Chiicup開発のきっかけは、BOUKEN代表・髙野明子さん自身の体験。16歳の時に新潟中越地震を経験し、「何かしたい」という想いから参加したボランティア活動が原点だという。

後に看護師となり、ずっと抱いてきた災害の役に立ちたいという気持ちから防災士の資格も取得。そんなとき、さまざまな調査結果などに触れていたところ、新潟中越地震や熊本地震の災害関連死者のなかには、その根源に“トイレに行っていない”という問題があったことを知る。そこで「女性がどんな環境でも気軽に用を足すことができたら被害にあう方を減らせるのでは…」という想いが芽生えたのだとか。

ひとりの女性として、母として、娘として。また看護師・防災士として「災害時の女性のトイレ問題解決の糸口になって欲しい」「女性を災害時の健康被害からひとりでも多く守れる一助になって欲しい」という想いで製品を完成させたという。

現在、都内の行政窓口の協力を得て、少しずつ配布(寄付)活動も行っているという髙野さん。これからChiicupが、より多くの人の備えとなっていくことだろう。

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■BOUKENWEBショップ
https://bouken.theshop.jp/

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