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コロナ融資を受けた経験や返済状況は?返済に懸念がある飲食店の課題が明らかに

2023/09/05 09:30
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飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」を運営する株式会社シンクロ・フードは、飲食店ドットコム会員を対象に、コロナ融資を受けた経験や返済の状況などについてアンケート調査を実施した。

コロナ融資を受けた経験や返済状況についてアンケート調査を実施
コロナ融資を受けた経験や返済状況についてアンケート調査を実施

本調査について

<調査概要>
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:383
調査期間:2023年6月19日~6月27日
調査方法:インターネット調査

<回答者について>
本調査に協力している回答者のうち、69.2%が1店舗のみを運営している。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は47%(首都圏の飲食店の割合は64.9%)で、こうした背景が結果に影響していると推測される。

半数超の飲食店がコロナ融資活用、家賃や仕入れ費などの支払いに

新型コロナウイルスの影響を受けた企業の資金繰りを助けるために実施された、実質無利子・無担保の「コロナ融資」の返済が本格的に始まりつつある。ゼロゼロ融資とも呼ばれる融資制度で、コロナ禍で苦境に立たされた飲食店をはじめ、多くの企業の資金繰りを下支えした。そこで今回はコロナ融資制度について、飲食店の利用経験や返済状況などを調査するため、アンケートを実施。

まず、実質無利子・無担保の融資制度「コロナ融資」の利用状況を質問したところ、「はい」が53.8%、「いいえ」が46.2%となり、半数以上の飲食店がコロナ融資を受けていたことがわかった。

「コロナ融資」を受けたか
「コロナ融資」を受けたか


続いて、コロナ融資を受けたと回答した人に融資金の主な用途を尋ねたところ、最も多かったのは「店舗家賃」との回答で55.3%。続く「店舗運営にかかる食品・消耗品の仕入れ費(49.5%)」「従業員の給与(43.7%)」「店舗の水道光熱費・通信費(39.3%)」も店舗運営に必要な資金となっており、やはり経営を続けていくための資金に、コロナ融資金を充てていた店舗が多いことが読み取れる。

【画像】コロナ融資金の主な用途は?
【画像】コロナ融資金の主な用途は?


次に、コロナ融資の返済開始時期について、77.2%が「2023年6月までに返済が始まっている」と回答。アンケートを実施した時点で、8割近い飲食店でコロナ融資の返済が始まっていた。また、「2023年7月~9月(7.3%)」「2023年10月~12月(3.4%)」との回答もあり、2023年末までに約9割の飲食店が返済を開始することになる。

コロナ融資の返済開始時期は?
コロナ融資の返済開始時期は?


約2割が返済に懸念、その理由は?

アンケート回答時点で何%のコロナ融資を返済しているか尋ねたところ、最も多かったのは「1~10%」との回答で28.2%。次いで、「11~20%(19.4%)」「21~30%(12.6%)」と続く。全体を見ると「1~30%」が約6割を占めており、返済序盤である店舗が多いようだ。一方で、「すべて返済済み」との回答も4.4%あるなど、完済した飲食店も出てきている。

現時点で何%程度の返済を終えているか
現時点で何%程度の返済を終えているか


さらに、コロナ融資の全額返済の目処が立っているか尋ねると、53.4%が「計画通り返済中」、4.4%が「全額返済済み」と回答。「返済前だが返済の目処は立っている」との回答も16.5%あり、約7割の店舗は問題なく返済を終えられそうだ。一方で、「返済条件の変更が必要(16.0%)」「返済することが難しい(5.8%)」との回答もあり、約2割の店舗は返済に対して懸念を抱いていることが明らかとなった。

コロナ融資の金額返済目処は立っているか
コロナ融資の金額返済目処は立っているか


そこで「返済条件の変更が必要」「返済することが難しい」と回答した人にその理由を尋ねたところ、さまざまな要因があることがわかった。以下では、その一部を紹介する。

<返済額に対する、利益回復の遅れ>
・売上、利益ともにある程度回復したが、想定以下の状況(神奈川県/カフェ/1店舗)
・店舗の利益が返済額に追いつかない(東京都/お弁当・惣菜・デリ/6~10店舗)
・売上は回復傾向にあるが、返済額が多い(東京都/専門料理/6~10店舗)

<物価高騰や光熱費上昇による利益の圧迫>
・売上は上昇したものの、仕入値や光熱費も上昇しているので、利益が出ないため(新潟県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・物価高の影響も大きく、今後の見通しが立たない(京都府/バー/1店舗)
・仕入れ価格、エネルギー価格、人件費、販売管理費の上昇で経営悪化(神奈川県/ラーメン/2店舗)

<事業の立て直しが困難なほど深刻な人手不足>
・お客様の来客度合いは回復傾向ではあるものの、深刻な人手不足によって、供給体制がとれておらず、営業を制限せざるをえない状況のため、売上を伸ばすことが事実上難しい(東京都/フランス料理/2店舗)
・深刻な人手不足で、事業の立て直しが図れていない(愛知県/専門料理/3~5店舗)

<その他>
・協力金に対しての税金が予想より大きく、売上はそれなりにあるものの、開店時の借入れもあり、ダブルの返済で苦しいです(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・宴会利用が主に収入源だったが、宴会そのものが激減しており、いきなり客層が変わるわけでもないので、客の少ない状況が変わらないから(愛知県/洋食/3~5店舗)
・コロナが終息してもコロナ前には戻っていないから(愛知県/和食/1店舗)

経済産業省では、2023年1月からコロナ融資の返済負担軽減策として「コロナ借換保証制度」を開始している。そこで「返済条件の変更が必要」「返済することが難しい」と回答した人に、コロナ借換保証制度の利用予定を答えてもらったところ、「申請の考えがある」(申請済み=8.9%、申請予定=15.6%)と回答した人は24.5%にとどまった。一方で、42.2%もの人が「コロナ借換保証制度について知らない」と回答しており、制度の認知が進んでいない様子が明らかとなった。

「コロナ借換保証制度」を利用する予定はあるか
「コロナ借換保証制度」を利用する予定はあるか


返済に向け、各店さまざまな工夫を凝らしていた

最後に、コロナ融資を受けている人に、返済に向けた事業改善のためにどのような取り組みを実施したか答えてもらったところ、各店さまざまな工夫を凝らしていたことがわかった。

<テイクアウト、デリバリー、オンライン販売の開始・強化>
・テイクアウトやデリバリーに力を入れ、売上を伸ばした。通信販売事業を拡大した(東京都/そば・うどん/2店舗)
・テイクアウト関連を充実させ、売上に結びつけました(北海道/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・テイクアウト、デリバリー、無人店舗で売上を伸ばした(東京都/ラーメン/3~5店舗)

<メニューの絞り込みや改善>
・メニューの改善、絞り込みなどを行いコスト削減した(東京都/中華/3~5店舗)
・冷凍可能なメニューを増やして客数減に対応し、食材ロスをなくした(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・ワンオペにして、それに伴いメニューを改善し、店内改装。早く出せるメニューを増やし、無駄を出さないようグランドメニューを廃止し、日替りメニューのみにした(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

<仕入れや人件費などの見直し>
・仕入れ価格の見直し。小規模店なので、品物によっては、楽天市場やYahoo!ショッピングで比較購入。ポイントゲット(大阪府/フランス料理/1店舗)
・容器や人件費、広告などの無駄出費をなくしたおかげで生きてこられました(群馬県/バー/1店舗)
・アルバイト人員を削減して人件費削減(長野県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

<営業時間や業態の変更>
・営業時間を昼にシフトしてランチ特化型の営業に変更。集客は以前の3~4倍になり、売上もランチだけでなんとかなるようになった(宮崎県/和食/1店舗)
・補助金などを使い店内のリニューアルを行い、居酒屋から居食屋に業態を変更することにより、高客単価の和食店としてスタートした(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

<SNS広告やチラシなどによる販売促進>
・コロナ禍でもSNSなどで広告を行っていた(東京都/和食/1店舗)
・近隣にチラシを入れ、店の存在を広くアピールした(愛知県/カフェ/1店舗)

<その他>
・単価の上昇を狙って、主力商品の値上げ(富山県/その他/3~5店舗)
・新メニューを作り、LINE限定で毎月イベントを行なっている。来店頻度をあげるため(神奈川県/ラーメン/1店舗)
・冷凍技術の導入によるロス対策や調理負担の軽減(埼玉県/そば・うどん/1店舗)
・在庫管理の徹底、従業員の数値意識を高めた(広島県/カフェ/6~10店舗)

特に注目すべきなのは…

本調査について、担当者に話を聞いてみた。

「(今回の調査の意図や狙いは?)コロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始が2023年夏にピークを迎えるとされています。コロナ融資の返済について不安視する飲食店の声を聞いており、また、昨今の物価高騰や人手不足により返済に影響があるのではということから、今回はコロナ融資制度について、飲食店の利用経験や返済状況などを調査するため、アンケートを実施しました」

「(調査結果で特に注目すべきポイントは?)コロナ融資を受けた飲食店のうち約2割が返済に懸念を抱いている点です。その理由として、返済額に対する利益回復の遅れや、物価高騰や光熱費上昇による利益の圧迫、事業の立て直しが困難なほど深刻な人手不足が挙げられています。また、返済に懸念のある飲食店の、コロナ借換保証制度に対する認知が24.5%にとどまっていることも課題です。さらなる周知が必要だと考えられます」

「(ユーザーへのメッセージは?)『飲食店ドットコム』は、飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する、会員数27万件を誇る飲食業界トップシェアのプラットフォームです。テクノロジーを最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な『ヒト・モノ・情報・サービス』など多様な選択肢をシンプル・スピーディに提供し、飲食業界の発展・関わる人のしあわせに貢献します」

■株式会社シンクロ・フード
公式サイト:https://www.synchro-food.co.jp/

飲食店リサーチ:https://www.inshokuten.com/research/company/

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