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大暴落はまたくるのか?会計学博士の見立てと「株価暴落時」の対処法

2023/07/25 14:30
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「暴落」というとその字面からも不穏なものを感じさせるが、それこそ投資の未経験者や初心者からすれば不安をかきたてられるものだ。少し前には「世界経済がリセッション(景気後退局面)入りする可能性があることを世界銀行が警告した」という報道もあったが、リセッションにより暴落は起きるのか。また、投資家は暴落時にどんな対処をすべきだろうか。会計学博士として多くの大学で教鞭を執ってきた榊原正幸さんに聞いた。

会計学博士の榊原正幸さんにインタビュー
会計学博士の榊原正幸さんにインタビュー

「利上げ株安、利下げ株高」は本当か

景気は大きなサイクルで拡大と縮小を繰り返していますから、「また暴落がきますか?」と聞かれたなら、その規模はともかく、答えはもちろん「YES」です。

お金や経済に詳しくない人には少し難しいかもしれませんが、マクロ経済学においては一般的に「利上げ=株安、利下げ=株高」というふうに、利上げのときには株価は下がり、逆に利下げのときには株価は上がるといわれています。

でも、現実はどうでしょうか。例えばNYダウというアメリカの株式市場の代表的な株価指数を見てみると、実は利上げの初期のころには株価が上がっています。なぜなら、利上げをするのは景気がかなりいいときだからです。

景気がよくて企業活動が活発になると、過度のインフレといった問題を引き起こすことがあります。そのため、中央銀行は政策金利を上げ、資金調達をしたり設備投資をしたりといった企業活動を落ち着かせようとするのです。しかし、その利上げが瞬時に効果を発揮するわけではありません。景気自体はいいのですから、利上げの初期のころには株価はまだまだ上がり続けるわけです。

でも、利上げの後半の時期になると、「そんなに利上げをすると景気が下がるぞ」と株価が反応をし始めます。そして、実際に株価が下がっていくのです。つまり、利上げの後半については「利上げ=株安」というマクロ経済学の教科書どおりの状態になりますが、利上げの初期の段階については真逆のことが起こるのです。

【写真】利上げ、利下げについて解説
【写真】利上げ、利下げについて解説

2023年中の暴落はないと思われるが……

今アメリカではインフレにブレーキをかけるための利上げが続いていますが、その利上げも後半の時期にあたると思います。実際、先の解説のとおり、NYダウはじわじわと下がっています。そのため、アメリカの中央銀行にあたるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、いずれ利下げすることは間違いありません。

今度は、先ほどの利上げとは逆のかたちで、政策金利を下げることで企業が資金調達をしたり設備投資をしたりしやすくし、企業活動の活発化を図るのです。そうして株価を上げて、景気回復を促すわけです。

ただ、ここでも、教科書どおりとはなりません。先にお伝えしたようにマクロ経済学では「利下げ=株高」といわれていますが、やはり利下げしたからといってすぐに株価が上がるわけではないのです。

逆に、利下げしたことで「中央銀行が正式に不況を認めたぞ、本気でヤバいぞ」と株価が反応します。そうして、マクロ経済学の「利下げ=株高」とは逆に、利下げの初期には株価が暴落するという現象がみられるのです。少なくとも、これまで20~30年のNYダウは、そのように推移してきました。

ですから、最初にお伝えしたとおり、「また暴落がきますか?」という問いに対する答えは「YES」となるわけです。ただ、現時点ではFRBが2023年中の利下げを否定していることもあり、2023年中に暴落する可能性は低いでしょう。しかし、利下げとなったら暴落する可能性が非常に高いと考えています。

『現役大学教授が教える 「お金の増やし方」の教科書』PHP研究所(2020)
榊原正幸 著

【プロフィール】榊原正幸(さかきばら・まさゆき)
1961年6月8日生まれ、愛知県出身。会計学博士。名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。1993年、日本学術振興会特別研究員(PD)となり、その後、渡英して英国レディング大学に入学。帰国後の1997年より東北大学経済学部助教授。2000年、日税研究賞を受賞。2001年、英国レディング大学大学院より博士号(PhD)を授与される。同年、税理士資格を取得。2003年、東北大学大学院経済学研究科教授。2004年、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。2021年3月に退任し、東京・青山を拠点にしてファイナンシャル教育の普及活動を続けている。シリーズ10万部突破の『株式投資「必勝ゼミ」』の他、『誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(いずれもPHP研究所)、『会計の得する知識と株式投資の必勝法』(税務経理協会)など著書多数。

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