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助かる命を助けるために「命を守る教材を後世に残したい」、元レスキュー隊員の心優しい挑戦

2023/07/19 18:00
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ーーここ数年、地震や台風、洪水といった災害が増えています。こうした自然災害にはどのように対処すればいいでしょうか?
【兼平豪】自然災害で押さえておいてほしいポイントは2つあります。1つ目は、地域のハザードマップを必ずチェックしておくこと。これは、プロが調べてくれているので、ある程度の危険予想ができます。まず危険がどこにあるかを理解しておくことが大切です。そして2つ目が避難場所を知ることです。災害が迫ると、警戒レベルが絶対に出るので、その警戒レベルに合わせて避難する場所を明確にしておくことが重要です。ちなみに、避難場所と避難所の違いってご存知ですか?避難場所は、命が奪われる危険性があるときに命を守る場所のことです。そして避難所は被災して家に住めなくなったあと被災生活をする場所です。まずは避難場所を把握しておきましょう。

【兼平豪】それから、川や崖から離れている場所、マンションの高層階など、無理して避難しなくていい場所や場合もあります。これは「無理して避難しなくていい」という心の安全につながるんです。「やばい、逃げろ!」と、大雨のなか、外へ出て避難するのは逆に危険なリスクを招く場合もあります。だから、事前に知っておくことが大切なんです。例えば、近所の人が「あそこのビルまで逃げろ!」と言って動き出すと、追従性の法則といって、事前に調べていない人は“その急げ”に続いてしまうんです。これはめちゃくちゃ危ないです。事前に調べていたら「調べた結果、上の階に行ったほうが安全」と言えるじゃないですか。そうすれば、周りの人も安心して行動できますよね。

ーーユーザーの方とのやり取りで、印象に残った防災に関するエピソードはありますか?
【兼平豪】『RESCUE HOUSE』を立ち上げたころに、津波で被災して娘さんを亡くされたお母さんから「タイチョーさんの活動が、世界中に広がることを願っています」というメッセージをいただきました。そのときのやり取りを通じて、「ひとりでも救える命があるのなら、たとえおもしろくないコンテンツでも一生発信していきたい」と誓ったんです。そのことは忘れられないエピソードのひとつですね。大切な人の死って、どんなことをしても絶対に戻ってこない。それを守るため、大切なことを学ばせていただきました。

【兼平豪】あとは、レスキュー活動をしていたころ、いつも救助後に、とっても美しい言葉をもらっていました。「ありがとう」って泣きながら伝えてくださるんですが、それって恐らく、その人が一生に1回しか言わないであろう「ありがとう」なんですよね。ほかの何事にも変えられない達成感があるんです。だからこの仕事が好きなんですよね。絶対にまた誰かを守ったろうって思います!

「心の底から感謝される“ありがとう”があるから、また誰かをまもったろう!って思う」と、活力源を語る兼平さん
「心の底から感謝される“ありがとう”があるから、また誰かをまもったろう!って思う」と、活力源を語る兼平さん【撮影=樋口涼】


ーー『RESCUE HOUSE』と兼平さんの今後の野望を教えてください。
【兼平豪】助かる命を助けるために、僕はこれからも発信を続けていきます。今、日本の自殺率の高さが社会問題となっています。孤独死なども含め、あらゆる災害や地震だけじゃなくて、いろいろなリスクが日本の国を危なくしていると思いますが、10代〜30代の死因のトップが自殺なんですよ。それについて「どうして?」と、全然納得がいかないので、助かる命を助けるために発信していきます。『RESCUE HOUSE』にも、年間数千件以上のSOSが集まるんです。「私もこういうことで苦しんでいる」とか、「私はこういうことで大切な命を失った」とか。「死を選択することが楽」だと思うぐらいつらい想いをされている方が、世の中にいっぱいいることを知りました。そこで、この人たちをどうやって守れるんだろう?と考えるようになり、障害者総合支援法のもと障害福祉事業を始めたんです。対象となる方は、生きる価値がないと自分で思っている方や引きこもりの方、それから精神的な心の病を持っている方などです。そういった方々が社会に出るために準備する場所を作って、日本全国に普及していきたいと思っています。

【兼平豪】『RESCUE HOUSE』では、初めにお伝えした、命を守る教材をつくっているつもりなので、「タイチョーあんなこと言ってたよね」とか、「あの単語、言ってたよね」っていう、僕自身がみんなの未来を守る選択肢になりたいです。同じ災害って存在しないんですよ。地域も違えば、傷病者の要救助者も違う。季節も違うし温度も違う。だから、僕が伝えていることだけで命が守れるかというと、そうじゃないっていうこともわかっているんです。わかっているけど、みんながパニックになって何もできないより、1%でも助かる可能性があるなら、生涯を通して救助活動をしたい。そう考えています。

この記事のひときわ#やくにたつ
・一度の挫折で諦めず、目的達成のための手段を探す
・目的のためにいまのやり方を大きく変える
・判断にブレが生じないよう、緊急時の情報元は一元化する
・日頃から危機感を持った訓練が必要

取材=浅野祐介、樋口幸一郎、取材・文=北村康行、撮影=樋口涼

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