イメージコンサルティング事業を行う株式会社Style Worksが、子どもを持つ女性向けの新ブランド「momwell(マムウェル)」をスタートした。7歳と5歳の子育てをしながら、代表として会社を引っ張る三輪詩織さんに、起業家としてのキャリアの築き方や、サービスを通して変えたい日本の産後ケアの実情について話を聞いた。
起業を見据えて営業、広報を経験
ーーまずは三輪さんの経歴について教えてください。
【三輪詩織】大学を卒業後は大手人材広告会社で3年の営業職を経て、IT会社の広報職に転職しました。長男を妊娠して産休・育休を取得し、育休から復帰するタイミングで、一部上場PR会社との合弁会社の役員に就きました。
ーー復帰のタイミングで役員職、大変ではありませんでしたか？
【三輪詩織】そうですね、期待に応えなければという気持ちはもちろんあったのですが、周りは百戦錬磨の男性経営陣ばかりだったので、それなりに苦労もありました。でも、今思えば子育てをしていても、仕事はあくまで仕事。当時は理不尽だと思うこともありましたが、周囲が配慮してくれることが当然ではないんですよね。周りが察してくれることを求めるのではなく、自分から考えや意見を伝える努力をもっとすべきだったと反省もしています。
ーーそこからどのように、起業に向けて舵を切ったのでしょうか？
【三輪詩織】父が自営業をしていたので、学生のころから起業に興味はありました。ただ、自分は何ができるのか、何をしたいのかまではわからなかった。また、自分で事業をするということは、自由度が高い反面、協調性や社会の常識などを身につける機会がないと感じたので、まずは企業で仕事のベースとなるものを身につけ、一定の評価を出してから起業したいと思ったんです。営業職や広報職に就いたのも、後々のことを考えて、物を売る力や広める力をつけたかったからです。
ーー起業するにあたって不安はありましたか？
【三輪詩織】不安はもちろんありましたが、それよりもワクワクが勝っていました。逆に言えば、ワクワクが勝たないと起業できなかったし、続けられないと思います。
ギフトを贈ることで「目を向けるきっかけ」をつくる
ーー「momwell」について教えてください。なぜ産後ケアに目をつけたのですか？
【三輪詩織】「momwell」は、一言で言うと「ママのためのウェルネスブランド」です。弊社のイメージコンサルティング業のお客様は、メインの年齢層が25歳から34歳。出産を経験される方が多く、サロンで接客をしていると、睡眠不足で眠ってしまう方や、育児のお悩みを話してくださる方がいます。「育児ってやっぱり大変だな」と共感すると同時に、7年前に長男を出産した当時の私の悩みと全く変わっていないことに気づきました。
【三輪詩織】世の中にはいろいろなサービスが誕生し、SNSではママたちの悩みが表面化するようになったのに、どうして状況は全く変わらないのだろう。そう思って、ママのためのサービスをやってみたいと思うようになりました。第一弾商品は、特に、産後から授乳期のママに取っていただきたい栄養素が含まれる冷凍スープです。
ーー具体的にどういった商品ですか？
【三輪詩織】授乳期に必要なタンパク質や葉酸、カルシウムなどが含まれています。私自身が妊産婦食アドバイザーの資格を持っているので、管理栄養士さんと一緒にレシピの方向性を決め、栄養設計や食材・調味料の細かな選定についてはお願いしました。キューブ状にしたのは、加熱のしやすさと、ギフトとしての見栄えのよさも考えています。パッケージにもこだわっていて、産後ママの1日の様子をイラストにしました。「産後はどういう生活をしているのか知っていただきたい」「そんなママたちを全力で応援したい」という思いをパッケージに込めています。
【三輪詩織】今回のスープは、ギフト需要を想定しています。個人の方が、友人や親族への出産祝いとして贈っていただけるのがひとつ。もうひとつは、会社から社員の方への出産祝いなどで利用していただける、企業向けの福利厚生的なサービス「momwell for office」の二軸で展開しています。
ーー企業向けサービスのアイデアはどこから？
【三輪詩織】時代の流れとして、出産後も仕事を続ける女性が増え、男性の育休取得が促進されています。それによって、以前よりも仕事が生活の一部になってきました。でも、実際に子どもを持つまでは、出産や育児との接点はものすごく少ない。例えば、出産祝いを選ぶのは、同じように子どもを持つ方に任せてしまったり。子どもがいる、いないに関わらず、一緒に働くメンバーとして少しでも目を向けられるきっかけがあればいいと思っていました。だからこそ赤ちゃん向けではなく、ママ向けの商品にしています。また、企業にとっても、産休育休中の社員の方々との接点を増やせるという意味で需要があるのではと考えました。実際にコミュニケーションのきっかけとしてご活用いただいている会社も多いです。
