【漫画】本編を読む
子どもたちは灰入道に「遊ばれていた」だけ?
クライマックス、捕まった子どもを神隠しにする妖怪“灰入道”から逃げ回っていたカズは、自分を捜しにきた消防団員に保護される。それまで灰入道に見えていた存在が人間だったという展開について、作者の大家さんは「もともとこの話は最初から消防団に発見されるまで、カズの妄想です」と、驚きの設定を告白。加えて、冒頭で自宅から絆創膏を取ってきたカズが「崖から落ちたけどかすり傷で済んだ」と仲間たちに告げるシーンがあったが、大家さん曰く「この出来事でかすり傷どころかカズ以外の全員死んでしまいました。この時点で生き残ったカズだけ何らかの影響により、幻聴幻覚を患ってしまいました。灰入道の仕業です」とのこと。なんと、この時点で生きていたのはカズだけだったのだ。
さらに、「瓦礫に傷だらけの足が映ったコマがありますが、これはひよりの足で、包帯が巻かれています。この包帯は一度家から戻ってきたカズによって巻かれたもの、つまりひよりが崖から落ちた後でカズによって巻かれたものです」なのだそう。その時カズは何を見ていたのか?新たな疑問も湧いてくる。
異型の者である灰入道の実像の見えなさがより恐怖を引き立てるが、「カズの妄想を具現化して、あたかもみんな生きているよう見せていました。作中に出ていた灰入道の姿をしたものは、実際に灰入道が見せた幻覚で、正体は捜索に出ていた消防団員でした。灰入道は、カズに人殺しをさせるように仕向けたんですね。遊ばれていたわけです」とコメント。ニュース映像で「意識不明の重体」と紹介されていた消防団員を崖から突き落としたのは、他ならぬカズ本人なのだという。
描かれたことの意味がわかるとより恐怖が引き立つ本作。大家さんの言葉を受けて最後のセリフを読むと、ストーリーのすべてが回収される。
取材協力:大家(@ksyjkysk)