じゃあテツくんが母乳出したら? / (C)茶々京色/KADOKAWA
【漫画を読む】『赤ちゃんに転生した話』(画像88枚)

初めての育児はわからないことだらけ。「生まれたばかりの我が子がなんで泣いているのか、どうしてほしいのかわかったらいいのに…!」という切実な願いを持ったことがある人、いませんか?

そんな悩みを抱いたことのある子育て経験者から「子どもが赤ちゃんだった頃の疑問が解消された!」「0歳児育児についての医療情報がお役立ちすぎる!」と大きな反響を受け、SNSで話題となったのが漫画『赤ちゃんに転生した話』。

「転生もの」というと、異世界召喚、冒険ファンタジー系…という印象を受けますが、この作品は一風変わっていて、ある事情で亡くなってしまった主人公が、前世の記憶をもったまま「赤ちゃんとして生まれるところ」からスタートする「子育てコミック」なんです!

『赤ちゃんに転生した話』のあらすじ

痛いし苦しい… / (C)茶々京色/KADOKAWA
主人公の撫倉和史(なでくらかずふみ)は医療情報担当者、通称MRとして、激務の毎日を送っていました。ことあるごとに上司から責められ、無能扱いされ、それでも仕事から逃れられない日々。まさにブラック企業とも言える環境にいたある日、無理がたたった和史はついに職場で倒れ、そのまま命を落としてしまいます。

転生の機会を授けましょう / (C)茶々京色/KADOKAWA
気がつくと女神さまが和史の大人としての記憶を残したまま転生させてくれるのですが、なんと赤ちゃんとして生まれてくるところから人生をリスタートすることに!

俺赤ちゃんじゃん! / (C)茶々京色/KADOKAWA
大人の記憶があるし、お世話される赤ちゃん生活なんて楽勝すぎでは…!?と思うも、上手に寝られないなど困難続き。モロー反射、ルーティング反射、吐き戻し…と、赤ちゃんならではの本能に翻弄されていきます。

寝かせてよおぉ! / (C)茶々京色/KADOKAWA
また第一子を出産した母親も慣れない育児に戸惑い、さらに夫や義母との関係に悩む場面が描かれ、「分かりみしかない」「夫がもっと積極的に育児に関わって!」など、思わず共感を覚える人も続出。和史の「赤ちゃんからの人生リスタート」は今後どうなっていくのか、注目が集まっています。

ママさんのストレスを察知! / (C)茶々京色/KADOKAWA
今回はそんな話題の漫画を発信している著者・茶々京色(ちゃちゃ きにろ)さんにお話を伺いました。

医療職である茶々さんご自身もまた、一児の母として子育て真っ最中とのこと。「赤ちゃん側の気持ちがわかる」という、まったく新しい視点の子育て漫画には、どんな背景が込められているのでしょうか。

『赤ちゃんに転生した話』著者インタビュー

── 赤ちゃんに転生した大人が「大人の記憶のまま」「赤ちゃんの気持ちを代弁」してくれるという、子育て中の悩める親にはとても共鳴するストーリーです。着想を得たきっかけを教えていただけますでしょうか。

茶々さん: 自身の出産後、抱っこしないと寝てくれない娘を抱いている時に、「娘には娘なりに泣くほどの不快さがあるんだろうな」と感情移入し始めたのがきっかけです。それを共感できる漫画があったら読みたいなと思いました。

私の育児漫画にならないように、参考書で裏付けがとれる事象を中心に内容を考えました。また、主人公を育児とは全く関わりが無かったであろう若い男性にして、前知識が無いからこそ、ひとつひとつに驚いてくれる楽しいお話に出来ればと思い本作品ができました。

赤ちゃんの視界こんなんなの!? / (C)茶々京色/KADOKAWA
── 狭い産道を通り抜けるために頭の形を変えて生まれてくる赤ちゃん、赤ちゃんの視力やモロー反射など、医療職としての茶々さんの探究心が作品内の随所に散りばめられているかと思います。赤ちゃんに関する分野をご専門にされているのでしょうか?

茶々さん: 私の属する分野は人間の身体(筋肉や骨、動きなど)なので、赤ちゃんの発達過程や動きなどは基礎知識で勉強させて貰いました。小児疾患も見させて頂く機会はありますが、また別の要素が多いので、お話への反映はされていません。

── SNSでは高校の家庭科保育の授業でも本作品が取り上げられたことについてコメントされています。さまざまな反響があり、読者層が広がっていくことに対し、改めてどのようなご感想をお持ちでしょうか。

茶々さん: 子育てに関わる層に向けた漫画ではありますが、将来、子育てをするであろう若い世代の目に触れることで、ほんの一欠片の内容だけでもその頭の片隅に入れて頂けたら、それだけで光栄です。後からその事象に触れたとき、得られることがより増えるよう、お手伝いになれば描いた甲斐もあるなぁと思います。

パパさん何かやらかしたな? / (C)茶々京色/KADOKAWA
── 茶々さんご自身が作品を手がけたなかで、また子育て中にもっとも興味をもった赤ちゃんの仕草がありましたら、教えていただきたいです!

茶々さん: 漫画を描くようになって、注意深く赤ちゃんを見るようになったのですが、0歳の時からかなり性格が出るなぁと思いました。ママ友と交流するなかで、人見知りをする子はママと2人の時だけ活発になったり、対して初めての場にも物怖じせず遊び回る子もいたり…。もっと幼い乳幼児でも、よく見ると性格によって活動が全く異なるので、とても興味深く勉強になりました。

新生児微笑 / (C)茶々京色/KADOKAWA
── 今後出がけてみたい作品などはありますでしょうか?

茶々さん: より身近なことに共感できるお話や、自身の携わる医療関係のお話など、スタイリッシュに楽しく読める漫画を今後も描いていきたいです。

── 子育て中の読者、とくに0歳児のお世話に奮闘している親御さんへメッセージをお願いします!

茶々さん: 0歳児とともに過ごす日々は、尽きない不安が常につきまとうと思います。いつか思い出になる日は来ますが、現時点の、目の前の、良いこともあれば辛く思う日常に寄り添えるよう精進したいと思います。一緒に健闘しましょう。

あっぶな!寝るところだったわ! / (C)茶々京色/KADOKAWA
取材・文=河野あすみ