久々に会えば「歳を取ったもんだ」と、つい健康の話をしてしまう。40歳を過ぎてから、ちらほらと健康が気になり始めた方も多いのでは? 吉本興業所属のお笑い芸人兼医師・しゅんしゅんクリニックPさんの『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』は、そんな悩めるアラフォー世代の健康にまつわる疑問を、生活習慣や健康、外見といったテーマごとに解説しています。しゅんしゅんクリニックPさんの医療知識や体験から感じたことを通じて、日常に潜む心配事に一つずつ向き合っていきましょう。
※本記事はしゅんしゅんクリニックP著の書籍『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(ヨシモトブックス:発行)から一部抜粋・編集しました。

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大食い派vs少食派の骨肉の争い!?


2000年代にテレビで一世を風靡した大食いチャレンジ。当時は〝いかに短時間でたくさんの量を食べられるか〟という、いわゆる早食い競争的な企画が多かったですが、〝長時間耐久レース型〟チャレンジが大食い人気に再び火をつけているようです。
YouTubeでも、大食い企画は人気ジャンルのひとつ。女性の大食い系YouTuberも多く、華奢な身体に大量の食べ物がどんどん吸い込まれていく様子は、爽快感を超えて、感動すら覚えます。見る側の視点も様々で、動画のコメント欄を見ると「食べ方が上品で好きです!」なんて書いている方もいて、大食い動画の楽しみ方は深い!
僕が思うに、大食い動画を楽しむ心理として、男性視聴者には人間の限界を見たい欲求があり、女性視聴者は思いっきり食べたいという自らの気持ちを投影しているのだと思います。「一度はやってみたい」と思っても、体力的にも金銭的にも難しく、なかなかできない大食い。そんな視聴者の願望を疑似的に満たしてくれるのが大食い動画の醍醐味ではないでしょうか。
ただ、医者の観点から見ると、大食いそのものについては「ちょっと待った」をかけたいところ。急激に身体を変化させてしまう暴飲暴食は、それだけ胃腸にも過度な負担をかけているということです。そして大食いの人たちは、我々とは体質が異なるということも認識しておかなければいけません。安易にマネしないほうが身のためです。

大食いのデメリットとしては、まず消化器系への負担があります。
大量の食べ物を短時間で摂取することは、胃や腸を過度に拡張させるだけでなく、消化不良や胃痛、胃酸逆流などを引き起こす場合もあります。ほかにも、血糖値や脂質の急な上昇を引き起こすことで、動脈硬化など様々な生活習慣病のリスクが上がってしまいます。大食い動画と同じ類いの「激辛チャレンジ」もまた、心拍数や血圧が上昇し、心臓に負担がかかります。

小食にもリスクはある


一方で、少食についても触れておきたいと思います。
胃が小さく、物理的に食べ物を受け付けない人。そもそも食に対してあまり興味がない人。そして痩せたい人。さまざまな方がいらっしゃるかと思いますが、少食のデメリットとして挙げられるのは、栄養不足、エネルギー不足、体重・筋肉量減少、免疫機能の低下、骨密度の低下、月経不順、精神的健康、低血糖など。
そして少食かつ運動不足の人の場合、肥満の人と同様に2型糖尿病のリスクが高いことも研究結果でわかっています。つまり「痩せていれば健康」とも言い切れないのです。
余談ですが、大食い企画で僕がオススメしたい芸人は、レインボーのジャンボたかお。「レインボー ジャンボたかおの食うチャンネル」というYouTubeチャンネルを開設していて、中でもぜひ見ていただきたいのが、「実家飯」。文字通り、ジャンボが実家でお母様の料理をひたすら食べるという動画。息子のために次から次へとおかずを振る舞うお母様。「うちのエビチリはどこに出しても恥ずかしくない! マジうまい!」と言い切る息子のジャンボ。ひたすらモグモグ食べるだけで笑いこそありませんが(一周回ってそれが逆に面白い)、料理以上に味わい深い2人の親子愛に、見ているほうがおなかいっぱいになります。

笑いの処方せん


〝観る将〟のように大食いも〝観る〟だけにしましょう!これからは〝観る食〟の時代でシュッ!