久々に会えば「歳を取ったもんだ」と、つい健康の話をしてしまう。40歳を過ぎてから、ちらほらと健康が気になり始めた方も多いのでは? 吉本興業所属のお笑い芸人兼医師・しゅんしゅんクリニックPさんの『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』は、そんな悩めるアラフォー世代の健康にまつわる疑問を、生活習慣や健康、外見といったテーマごとに解説しています。しゅんしゅんクリニックPさんの医療知識や体験から感じたことを通じて、日常に潜む心配事に一つずつ向き合っていきましょう。
※本記事はしゅんしゅんクリニックP著の書籍『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(ヨシモトブックス:発行)から一部抜粋・編集しました。

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たんぱく質が最も大切な栄養素といわれるワケ


コンビニやスーパーで、プロテイン入りのドリンクやお菓子をよく見かけます。チョコレート味やバナナ味、ヨーグルト味など様々なフレーバーがあり、どれもおいしそう。意識してスーパーを見渡すと、「乳製品コーナー」「お菓子コーナー」「お酒コーナー」「ラーメンコーナー」「カレーコーナー」「レジ横」など、右を見ても左を見ても「プロテイン」の文字が並んでいます。とにかくプロテイン推しがハンパない!
プロテイン(protein)とは日本語でたんぱく質のことですが、ギリシャ語の「最も大切、第一の」という意味のprōteîosという言葉が語源です。以前はアスリートやボディビルダー、ハードな筋トレを行う人が、身体づくりや運動後のリカバリーのために摂取するものというイメージでした。運動後に摂取すると、筋肉量が増し、消費カロリー(代謝)が増えて太りにくい身体になる仕組みです。そしてここ数年、運動不足を解消したい健康志向の人たちや美容を意識した女性たちなどに市場が拡大。テレビの健康番組や雑誌の特集など、様々なメディアでたんぱく質にまつわる情報が取り上げられるようになりました。
たんぱく質は、血や筋肉、臓器、皮膚、骨、毛など、僕たちの身体を作る重要な栄養素。そのほかにもたんぱく質は、細菌やウイルスなどが体内に侵入してきたときに異物としてそれらを体外へと排除する免疫機能や、気分を制御する〝セロトニン〟(※6)といったホルモ
ンなどの原料でもあります。




たんぱく質が不足すると、筋肉量の低下、意図しない体重減少、疲労感、むくみ、免疫力の低下といった症状が現れます。
本来、筋肉や骨が徐々に衰え始め、毛髪も心なしかコシがなくなっていく40代こそ、たんぱく質を摂取しなければならないはず。にもかかわらず、海外の研究(※7)によって、同じ量のたんぱく質を30代と60代が摂った結果、60代の人のほうが筋たんぱく質の合成反応が遅くなることが確認されました。つまり、年齢が高ければ高いほど、若い人よりも多くたんぱく質を摂らなければ筋肉を増やすのが難しいというのです。しかも、先のような症状を放っておくと、とりわけ高齢者に至って心身の機能が低下するフレイル(※8)へと陥る恐れも。実際、食事にプロテイン入りの麺を使ったラーメンやうどんを提供する老人ホームも増えているようです。つまり、40代のうちからたんぱく質と向き合っていれば、年を取ってからも若いときと同じような健康状態をキープしやすいのです。

たんぱく質が多い食品と見つけ方


たんぱく質を多く含む食品には、肉や魚介類、卵、大豆・大豆製品、乳・乳製品などがあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりのたんぱく質の摂取推奨量は、30〜49歳の男性で65g、女性で50g。体重1kg当たりのたんぱく質1g、つまり自分の体重(kg)の数字と同じぐらいのグラム数だけたんぱく質を摂取するようにしましょう。ただし摂りすぎには注意。たんぱく質を処理する肝臓や腎臓に負担がかかって内臓疲労につながることもあります。過ぎたるは及ばざるがごとし。何事も中庸が肝心です。
コンビニやスーパーで買い物をするとき、商品に記載されている〝栄養成分表〟って見ていましたか? なんとな~くカロリーだけを見てはいませんでしたか? 消費者庁によると、2020年から新たな食品表示制度が施行され、容器包装された加工食品には「栄養成分表示」が義務化。エネルギー(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量(ナトリウムから換算)の5項目(そのほかの成分は任意表示)が必ず記載されるようになりました。たとえば高血圧気味の方は食塩相当量をチェックしてみるなど、食品を手に取り、カゴに入れる前に、いったん成分表を見る習慣をつけてみませんか?

※6 セロトニン 脳内の神経伝達物質のひとつで、ドーパミン、ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをする。精神が安定し、幸福感を得やすくさせる作用があるため「幸せホルモン」とも呼ばれている。
※7 海外の研究 出典 Katsanos CS et al.(2005). Am J ClinNutr.
※8 フレイル 日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、英語「Frailty(虚弱)」をもとにした用語。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指す。

笑いの処方せん


健康的な身体をキープできれば、中年になってもモテ期へのスタートラインに立てる!!