高校生で一人暮らしを始めたタマコが涙する理由とは?
【漫画】「隣の猫が成仏してくれない」を読む

元ゲーム会社所属デザイナーで、現在はストーリー漫画をメインに執筆している吉良いと(@kilightit)さん。個人で作品を公開・販売するほか、商業誌にも作品を掲載するなど、精力的に活動している漫画家だ。代表作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、「このお話ほんとに好きです」「1度見た事あるはずなのに泣いてしまった」など、多くの読者に感動をもたらしている。

今回は「隣の猫が成仏してくれない」をお届け。物語の主人公は、実家を離れて一人暮らしをしている高校生のタマコ。彼女の顔には大きなアザがあった。ある日、タマコは近所の人たちが自分のことを「かわいそう」だと話す場面に遭遇。自分から望んで一人暮らしをしていること、アザは生まれつきであることを伝えてその誤解を解いたものの、家に向かうタマコの目には涙が浮かんでいた。

アザのことを言われ、誤解を解くタマコだったが…
タマコが一人暮らしを始めたのは、再婚した母を幸せにするためだった。自分の存在が母を縛らないように、母が不安にならないように…。タマコは“自分は一人でも大丈夫”という手紙を書こうとするのだが、それを邪魔するかのように、部屋の先住民(先住猫)で地縛霊のナナシが手元に出現。普段は彼のイタズラに困らされてばかりのタマコだったが、このときばかりはナナシの優しさに涙し、感謝の言葉を口にする。

お母さんへの手紙を書くタマコに、ナナシが優しい眼差しを向ける
夜、一緒に布団で横になるナナシにタマコが語りかける。「このアザがなかったらどんな生き方をしていたんだろう」。興味なさそうに伸びをするナナシ。このとき、タマコはナナシの顔に自分のアザと似た柄があることに気づく。「キミと同じ柄だと感じたら、このアザも悪くないって思えるよ」。“おそろい”を持つ友達の存在を噛みながら、タマコは眠りについた。

ナナシとおそろいだと気づき、タマコは笑顔を取り戻す
この作品について作者に話を聞いてみた。

吉良いと「人はどうしても他人と比べてしまう生き物です。肌の色、目の色、顔の大きなアザ...。でも、猫同士は。アイツは黒いから、白いから、とかきっと考えていません。むしろ『人間はそんなことに囚われて愚かだなあ』と思っているかもしれません(笑)。タマコはナナシのそんな大らかなところに救われました。漫画『隣の猫が成仏してくれない』を通して、今まで以上に猫の魅力を感じていただけたらうれしいです!また、この作品以外にも猫が登場する漫画をたくさん描いているので、興味ありましたらぜひお読みください」

X(旧Twitter)に投稿されると、読者からは「成仏が幸せとは限らないよね」「このまま2人一緒にいてほしい」といった感想が寄せられている。偶然なのか必然なのか、タマコが住み始めた部屋にナナシがいて本当によかった!

画像提供:吉良いと(@kilightit)