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メンタル不調の渦に呑み込まれる前に「Smart相談室」へ駆け込め!藤田康男CEOに聞いたカウンセリングサービスの現在地

2024/04/08 19:00
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Smart相談室をご存じだろうか?現代社会が抱えるメンタルヘルスの問題を、専門家によるカウンセリングによって解消していくオンラインの対人支援サービスだ。個人で契約するのではなく、法人単位で導入すれば従業員が気軽に使える仕様で、どこに相談したらいいのか見当もつかない悩みごとにも解決の糸口を提供する。

厚生労働省は2006年(平成18年)から「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を掲げ、事業者に向けて労働者のメンタルヘルス対策への積極的な取り組みを促している。こんな経緯から、さまざまな企業はメンタルヘルスの相談窓口を内部・外部問わず設置し始めたものの、実際はあまり効果的に利用されていない部分があるのも実状だ。

ところが、Smart相談室はサービス開始から6000件以上(2024年3月上旬現在)もの相談が寄せられるほど、利用者が多い。つまり、企業のメンタルヘルス対策に大きく貢献しているのである。なぜか。CEOの藤田康男さんにインタビューを敢行した。

Smart相談室の藤田康男CEOにインタビュー
Smart相談室の藤田康男CEOにインタビュー


Smart相談室を立ち上げるにいたった、藤田さんの経験とは

インタビューは2024年3月某日、オンラインにて行った。ミーティングツール越しに対面した藤田さんに、我々はちょっと驚いてしまった。第一印象は、「こりゃ、ずいぶんと元気そうな人だな!」。メンタルの不調とは無縁そうな、パワフルでエネルギッシュなムードだ。

起業からちょうど3年。カウンセリングサービスの中で頭ひとつ抜けている感すらあるSmart相談室は、どのような経緯で立ち上げられたのだろう。

「起業する以前、僕は病院向けコンサル会社の事業部長を10年ほど務めていたんですが、思いがけずメンバーが辞めると言い出すことがけっこうありまして。驚いて本人に話を聞くと、なんで言ってくれなかったんだ、相談さえしてくれていたらすぐに対処したのに!というような、些細なことが原因だったりするんですよ。また、まわりが指摘するまで自分自身の不調に気づかない人も多かったんです」

「多くのケースで、メンタルがすごく悪化して、働けないレベルにまで追い詰められてから状況を打ち明けられることが続きました。そこで強く感じたんです。調子が悪くなってからでは遅すぎる、悪くなる手前で手を打てていたら、メンタル不調の渦から救い出せたはずだ、と」

不調になる一歩手前で相談できる窓口を作ろう。当初は医療業界に限定してカウンセリングサービスを提供しようと考えた藤田さんだったが、「いや待てよ、このサービスが必要なのは医療業界だけじゃないぞ」と気づく。そこで、一念発起してSmart相談室を立ち上げることにした。

「頑張っている人って、どこまでが正常なのか、自分じゃわからないんですよね。僕自身、メンタルの不調を経験したことがあるのでよくわかります。仕事は楽しかった。夢中で働いたけど、結果につながらなかったいくつかの仕事でモヤモヤを抱えて、それこそ何度もメンタルクリニックにも通いました。でも、そこではいつも『大丈夫だよ』と言われて帰されてしまう。『眠れてる?食べることはできてる?』と聞かれて、『まあ……』と答えると、『それならまだ大丈夫だよ。またしんどくなったらおいで』と。納得できず、さらにモヤモヤしたことをよく覚えています」

「そうそう、今思い返すとひどく病んでいたなってときもあります。終電で帰って疲れているはずなのに、朝5時前には目が覚めちゃう。あまり眠れなくて、手汗も止まらない。でも、不思議なことにこういうときに限って病院へは行かなかったんですよ。メンタル面の不調だと自分ではわからないんです」

メンタルクリニックでは、心の病気になってから治療が始まることがほとんどだと感じた。また、悪化した状態では助けを求める余裕がないことも経験済み。「状況が悪くなる前に、踏みとどまるためのソリューションが必要なんです」と藤田さんは語る。

ちなみに、「病んでいた」藤田さんは、たまたま受けた健診で血圧の上昇を指摘され、運動するよう勧められた。筋トレとランニングを始めたことがきっかけで睡眠の質が上がり、やがてメンタルの不調も落ち着いたという。

「僕は本当にラッキーだった。言われるがままに運動を始められたから、不調から抜け出せたんです。体を動かすことでセロトニンが出て、体も疲れて強制的に眠れるようになった。今になって思えば、血圧が上がったのも、寝ていなかったせいなんですよね。強いプレッシャーがきっかけで、睡眠不足のスパイラルに陥っていたんだと思います」

【写真】「病んでいた」自身の過去を振り返る藤田さん。たまたま受けた健診で血圧の上昇を指摘され、運動するよう勧められた。筋トレとランニングを始めたことがきっかけで睡眠の質が上がり、やがてメンタルの不調も落ち着いたという。「僕は本当にラッキーだった」
【写真】「病んでいた」自身の過去を振り返る藤田さん。たまたま受けた健診で血圧の上昇を指摘され、運動するよう勧められた。筋トレとランニングを始めたことがきっかけで睡眠の質が上がり、やがてメンタルの不調も落ち着いたという。「僕は本当にラッキーだった」

Smart相談室が働く人々に“使われる”理由とは

メンタルが不調に陥る一歩手前の段階で、必要な手当てを行うこと。そのためには、小さなモヤモヤをひとつずつ解消していかなければならない。

「なぜ不調になる前に打ち明けられないのか、その原因も見えていました。『こんなことで調子が悪くなっていたら評価に響くかも』『家庭やパートナーのことが原因で、業務には関係ないから』と、何事もないように振る舞って、自分を追い詰めてしまうんですよ」

そこで藤田さんは、Smart相談室のシステムを組み上げるにあたり、あらゆる悩みを取りこぼさない方法を考えた。

「まず第一に、守秘義務を徹底することが大事。人事や外部の窓口に相談すると、翌日には上司から呼び出される、なんてことをよく耳にしますよね。これではダメ」

上司や同僚との関係に悩んでいたり、評価を気にしていたりする場合、相談内容が筒抜けになってしまうことはかえって強いストレスを与えることにつながる。Smart相談室では匿名でカウンセリングを受けることもでき、当然のことながら求められてもいないのに相談の内容を関係者に共有することは御法度。

「次に、相談の内容は区別しません。『こういう人にはこのサービス』と用途を絞り込まず、どんな悩みでも相談に乗り、申し込みの段階から実際の相談内容がずれたり変わったりしても対応します。勇気を振り絞って相談してくれたのですから、その思いに応えたいじゃないですか」

Smart相談室は、複数のサービスを同じUI上で完結できるのが特徴。通常は、悩みによって頼る先が異なる。しかし、自分の悩みがどこに頼れば解決するのかわからないこともあるし、複数にまたがるような悩みの場合、相談することをあきらめてしまいがちだ。

「もうひとつ。UIはやわらかくする。カウンセリングサービスって堅苦しいイメージで、近寄りがたい。深刻な悩みでなければ相談できないような空気は、できるだけ排除したいなと」

デザインの力は絶大で、このゆるさがウケている。「なんでも相談してイイよ!!」と、軽いノリで語りかけてくれるから、小さなモヤモヤも臆することなく打ち明けられるのだ。「目上の世代の方からは、ふざけすぎてるってお叱りを受けることもあります」と藤田さんは笑うが、相談する側としては心理的なハードルが一気に低くなり、ありがたい限りである。

相談しやすい環境を整備することと同時に、力を入れなければならないのが、相談に乗る側、つまりカウンセラーの質だ。

「相談に応じるカウンセラーは、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、国際コーチング連盟認定資格取得者、医師、薬剤師、保健師といった医療系の国家資格を持つ方、そして心理士と、信用のある資格を持っていることが最低条件です。応募も多く、面接を含めた選考を経て、合格するのは全体の10%。手前味噌ですが、話を聞く力に長けた方ばかりです。採用の際に意識しているのは、さまざまなバックグラウンド、異なる属性のカウンセラーをそろえること。相談者の方々に、『たくさんいて選べる』と感じてもらいたいんですよね」

Smart相談室の相談員紹介ページには、得意分野をはっきり掲げた多彩なカウンセラーがずらりと並ぶ。顔が見えることで、この人になら話してみたい、と思わせる。

「パートナーが皿洗いの順番を守らない、同性のパートナーがいると伝えているのに上司が『旦那さん(または奥さん)』と呼び続ける、世代間ギャップに怯えて部下に優しくしすぎ、気味悪がられてしまった、周産期まわりの知識が乏しく同僚を傷つけてしまったかもしれない……そんな、誰に相談したらいいのかわからない悩みも、Smart相談室は受け止めます」

理解ある相談員のカウンセリングを受けることで、相談者の心は軽くなるだろう。「モヤモヤが晴れたり考え方が上振れしてくれたり、そういう場所でありたいんです」と藤田さんは語る。

相談者の「モヤモヤが晴れたり考え方が上振れしてくれたり、そういう場所でありたい」
相談者の「モヤモヤが晴れたり考え方が上振れしてくれたり、そういう場所でありたい」

Smart相談室と藤田さんの描く未来とは

最後に、藤田さんが目指すSmart相談室の未来と、野望を聞いた。

「Smart相談室は、みなさんが高いパフォーマンスで働くことをサポートするのが目標です。仕事上のスキルに限らず、プライベートの問題や個人の心の問題、考え方の問題をサポートし、社会に求められるサービスでありたい」

「会社としては、T2D3(Triple(3倍)、Triple(3倍)、Double(2倍)、Double(2倍)、Double(2倍)という意味で、1年ごとに3倍→3倍→2倍→2倍→2倍にビジネス成長させていくこと)を目指して価値を広げていきたいと考えています。現時点で、僕の読みは概ね当たってるんですよ。ただ、もっとスピードを上げられると思うので、ここは努力が必要なところですね。人のため、社会のためになるサービスだと信じているので、会社が成長してくれたら本望。ついでに僕への評価がついてきてくれたら、これ以上の幸せはありません」

経営者のみなさんに向け、「無料でいいから一度使ってみてほしいです」と藤田さん。あるいは、従業員に聞き取りを行ったうえで、導入するか検討してみるのもいい。その判断が、人的資源に対する企業のポリシーになるだろう。

文=原西香

Smart相談室
https://smart-sou.co.jp/

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