ローカルtoローカルという、地域と異業種・異分野をつなぎ合わせ、新たな地域創生を目指すLOCAL2。今回は、「持続可能な共生社会の実現」を目指した“まちづくり”をプロデュースする同社の取り組みにクローズアップ。会社の取り組みや姿勢を中心に、代表取締役社長の岸本公平さんに話を伺った。失敗から得た経験を活かし成功へと導いた京都・下鴨神社のラグビー御朱印や、福岡・吉富(よしとみ)町でのSDGsを社会実装させた新しいビジネスモデルの、目には見えない大きな付加価値も明らかに。

株式会社LOCAL2の代表取締役社長・岸本公平さん
株式会社LOCAL2の代表取締役社長・岸本公平さん【撮影=樋口涼】


地域社会に持続可能な変革をもたらす、ローカルtoローカルで取り組むジョイントベンチャービジネスの可能性

ーーまずは御社についてお伺いさせてください。どういった事業を展開する会社となりますか?
【岸本公平】ひと言で言うとプロデュース会社です。ただし、見えないものまで提案したり、あるべき論・理屈だけ説明するコンサルティング会社や代理店とは違い、実行可能なところまで寄り添うようにしています。随時、相手のコンセプトにフィットする専門家などをアサインしたチーム組成をして、プロジェクトごと作るんです。

【岸本公平】LOCAL2という社名が示しているように、地方にスポットを当てながら地域支援をして、新しい魅力を発信し、とある街を別の地域の企業が支える「ローカルtoローカル」という考えのもと、しっかりパートナーとして取り組む進め方を提案しています。僕はもともと、テレビのプロデューサーとして流行っているもの、流行るものを情報番組で取り上げていました。その経験から、地方に目を向けたときに「もったいないな。こうしたらいいのにな」っていう部分が見えたんです。でも、会社を立ち上げても公共事業にはすぐには手が届かないので、地方の企業さん、伝統文化を守られている方などを中心に、それぞれの案件に対し味付けの提案をさせていただいています。

元プロデューサーとしての経験から、地方の「もったいない部分」が見えてきたという
元プロデューサーとしての経験から、地方の「もったいない部分」が見えてきたという【撮影=樋口涼】


【岸本公平】日本には、文化や歴史を含めて魅力がいっぱいあるんですが、地元の人にはそれが当たり前すぎて、その魅力に気が付いていないことが多い。僕の故郷の福岡県豊前(ぶぜん)市には、国の重要無形文化財になっている神楽があるんです。鬼滅の刃にも出てくるあの神楽ですね。鬼に向き合う神職が出てきて、秋になると当たり前に鬼がいて神楽が奉納されていましたが、その当たり前が持つ価値に、そこで暮らしているころは気付きませんでした。

【岸本公平】それと同じように、日本のほかの地域でも日常的な事象で当たり前になっているものが、例えば海外の方からは特別な体験ができる高い付加価値に見えるんですよ。さらに、そこにワン・スパイスを加えて見せ方を少し変えると、また違った見え方になるので、新しい求められ方をするようになるんです。たとえば、1組だけしか体験できないかもしれない特別な価値を伝えていくことで、その地域に生業ができ、収益が上がっていくんです。地域資源が新しい経済を生み出すようになるんですね。こういった取り組みが伝統文化の保全につながればいいなと考え、柔軟に取り組ませていただいています。

ーー具体的にはどういった進め方になるんですか?
【岸本公平】国の行政区画で最も小さい基礎自治体とパートナーシップ包括連携協定を結ばせていただいています。実は、LOCAL2の売り上げ構成の大半が公共事業になりますが、弊社は公共事業の入札資格をひとつも持ってないんですよ。自治体が「こんなことをやりたいから、これに対して仕事を出します」という取り組み方ではなく、我々の場合は、先行投資として仕事を受ける前にまず自治体に足を運ばせていただき、ヒアリング取材などを行っています。するとその強みなどが客観的にわかってくるんです。どうアレンジしたら流行るかって。

ーープロデューサーとしての知見とキャリアの中で培ったやり方ですね。
【岸本公平】そうですね。そこで浮かび上がったものを全体のストーリーと出口戦略までを考えたうえで提案しています。自治体だけだと専門家をアサインできないとか、企画が立てられなかったりしますからね。自治体は3月、6月、9月、12月のいずれかに議会の決議があって、民間のスピード感とも違えば、決済の仕方も違うんです。それに、たとえば首長さんが「OK」と言っても議会が「NO」という場合もあります。それで最初のころは、各々の事情がぶつかり合って、提案の内容はよくても形にできなかったこともありました。

【岸本公平】そこで、我々は軸足を自治体側に置き、企画を練る段階から携わらせていただく方向に舵を切ることにしたんです。各自治体は、地域課題として「こういうふうにしたい」という理想をフワッと持っています。ですから、そこをより磨き上げるために「こうアプローチすれば出口戦略までできます」と提案し、受け入れていただいています。このような進め方で、各自治体の意向に合わせて理想を実行できるチーム組成をしてマネジメントする、ジョイントベンチャーとして活動しています。

プロジェクト全体のストーリーと出口戦略を提案し、チーム組成を行って伴走するのがLOCAL2のやり方
プロジェクト全体のストーリーと出口戦略を提案し、チーム組成を行って伴走するのがLOCAL2のやり方【撮影=樋口涼】


ーージョイントベンチャーとして活動することでどう変わりましたか?
【岸本公平】今までの事業のやり方は、自治体や商工会議所、地域のメーカーさんといった相手側が広告費をいただくお客さんでした。しかし、弊社の場合は業務に関わる数字をすべてオープンにしているので、完全にパートナーになります。そうすることで、パブ(パブリシティ=メディアでPRとして告知や宣伝をしてもらうこと)でメディア露出することを目標にしていたやり方から、パブを通じてレベニュー(売上・収益のこと)を一緒に積み上げられるようになりました。

【岸本公平】メディア事業者がジョイントベンチャーの中にいたほうが得だということに、自治体は気付いていなかったんですよね。広告費・販促費を予算に入れるべきってことも、民間の企業さんならわかるわけじゃないですか。でも、自治体の場合、そもそも流通の仕組みもご存知じゃないんですよ。ですから、トレンドを作るには企画力が必要だということをご理解いただいて、弊社がその部分にある程度、投資をかけさせていただく。そして、パブで収益を上げるっていうところにご理解いただけるパートナーの企業さん、メディア事業者さんと一緒に、レベニューの数字を割って計算して進めます。そうすることで、我々の一番の課題だった「いつ終わるかわからない。いつクライアントから切られるかわからない」という不安が消え、逆に持続化していくというところに達しました。

ーー自治体と一緒に事業をすることで、どんなメリットがありますか?
【岸本公平】自治体や公益団体が絡むことの利点は、物作りなどの場合は国などからの支援の幅も広がるんですよ。さらに、自治体が相手なら自治体納入実績ができます。ひとつの小さな村でも、国などから金銭面を含む公的支援を受け、そこから流行らせるためのストーリーづくりを弊社が担当します。民間案件だと、相見積もりを前提に根拠のあまりないディスカウント交渉をされるじゃないですか。時として発注者が上下関係を作り、後から理不尽なディスカウントの要求や予算を考えない計画変更などを求めてくることもあります。でも自治体の場合は計画概要が決まり予算が確定したら当初の計画どおりにしっかりと形にすることが求められます。合意事項を「安くしてくれ」とか「変更してくれ」とか言われることはよっぽどの事情がない限りありません。

【岸本公平】弊社と同じ多くの中小企業は自治体の仕事を入札で取る場合、企画費やPRや広告予算というブロックの切り出し予算部分でエントリーして、そもそもの自治体が目指す大きな目的を知ろうとせずに、目の前の予算枠の範囲で作業費として狙いにいっているんですよね。自治体の特徴として、原則は全体の事業を企画したうえで執行する予算が決まるんです。それが細分化されて入札などでブロック発注している。うちは全体事業企画から自治体とご一緒させていただくことで、ひとつの案件を単価で相談されるのではなく、いくらの予算があるから何をどうカスタマイズできますか?となるんです。そうすると、ゼロベースから提案できる弊社に強みが生まれます。プロデューサーといっても資格があるわけではない。ただ唯一の武器は、そこにあるものの価値を磨き上げられるかどうかってことなんです。

自身が持っている唯一の武器は、「そこにあるものの価値を磨き上げられること」と語る岸本さん
自身が持っている唯一の武器は、「そこにあるものの価値を磨き上げられること」と語る岸本さん【撮影=樋口涼】


【岸本公平】昔も、クライアントから「これって訴求効果はどうなの?」といった指摘は入りましたが、最近はコンバージョンも求められるようになりました。でも、コンバージョンって絶対に数字が落ちてくるんですよね。その都度、コンバージョン指標に合わせて、お客さんが購入しやすい売り方を変えるのであれば、結局、長いお付き合いにはならないんですよ。たとえば、「ここに聞いたら、こう言われてるんだけど」とか「もっと安くできるんじゃないか?」といった情報収集をして話がまとまらない。そして、そのまま「見積もりを出してください」と言われて…。最悪の場合、別の広告代理店が「うちだったらもっと安くやります」と突然現れたりするんですよ。それに、見積もりを出して取り組めたとしても、必ず出てくるのは文句しかないじゃないですか。やっぱり絶対にうまくいかないし、続かない。あの構造に付き合っていると、もう疲弊しかないです。

【岸本公平】ですから、チームの中で組み上げていけるものを作り、伴走型でやらないと持続可能は無理だと思います。伴走型なら「これ、なかなかうまくいかないけど、次こうしようよ」「こうしたらうまくいきそうですよね」とか、ご当地にゆかりのある著名人の方のところに「一緒に頼みに行きませんか」といった具合に、一緒に取り組めるんです。

ーーたしかに、持続可能は課題ですね。
【岸本公平】テレビ局の営業さんと話をして、情報番組のコーナーに広告をナチュラルに入れて放送すれば流行ります。都内の飲食店であれば、すぐに効果も現れますが、でも田舎でそこまで流行るかといったら無理なわけです。そうすると「高いお金を払ったのに見合っているのか?」という疑念を持たれてしまう。だったら、パートナーとして伴走しながら、どう事業を進めていくかのところから取り組んだほうがいいと思うんです。自治体の場合は収益を求めるのではなく、地元に雇用を生む交流人口・関係人口を創出することが目的ですし、関連企業さんも弊社もそれが生まれることで、事業収益が生み出せるようになるんです。

【岸本公平】SDGsが掲げる達成目標の17番目は“パートナーシップで目標を達成しよう”です。SDGsの社会実装を起点に、このパートナーシップが地方創生の仕掛けに大きな可能性を秘めていると信じて、ローカルtoローカルを進行しています。

周囲に循環型社会についての理解を得て、SDGsという付加価値を実装させたラグビー御朱印をプロデュース

ーー下鴨神社で授与されているラグビーの御朱印も御社のプロデュースなんですよね。
【岸本公平】はい。ラグビー元日本代表主将の菊谷崇さんが監修し、墨絵アーティストの茂本ヒデキチさんが手がけたオリジナル御朱印が、京都・下鴨神社の境内にある『雑太社(さわたしゃ)』で授与されています。オリジナル御朱印は、ラグビーのポジションごとに個性的なシーンを躍動感あふれる筆使いで表現したデザインが特徴です。たとえば、1番のポジションでは、スクラムを組むときが一番輝く瞬間なので、力強さを表すイメージで表現しました。最終的には15ポジション、すべて出す予定です。

【岸本公平】実は、それぞれの墨絵には、隠し文字としてラグビーのポジションを表す数字が書かれているんです。一般的にラグビーをイメージするビジュアルって、ほとんどがトライと、デザインが偏っているんですよ。ラグビーには、ポジションがいろいろあるので、そのポジションごとの役割について菊谷さんに監修をしていただいています。菊谷さんは“人間形成”という言葉をよく使われますが、ラグビーや文化を通じて日本人らしさや強さを伝えていくことができればいいなと思っています。そして、使われている紙についても、授与開始後の限定枚数分は和紙を使っていますが、それを超えたものにはサトウキビを原料にしたバガスペーパーを使い、SDGsにも貢献しています。

【岸本公平】今回の御朱印は、ワールドカップ開幕直前に、日本代表の中村選手に渡しました。実はこれも最初から連動していた企画でして、話題性を作る入り口になっています。これもマイルストーンとして、次の仕掛けにつなげ、継続していくための指標のひとつになっています。

【写真】茂本ヒデキチさんの墨絵がデザインされた、『雑太社』のラグビー御朱印
【写真】茂本ヒデキチさんの墨絵がデザインされた、『雑太社』のラグビー御朱印【撮影=樋口涼】


ーー“こうぞ”や“みつまた”で作った和紙と、サトウキビで作った紙。そこにはどういった違いがあるのですか?
【岸本公平】基本的に、こうぞ、みつまたの和紙の場合は、木を切り倒してバージンペーパーで作っているんです。一方のサトウキビで作る紙は、汁を搾ったあとに残った繊維を活用しています。もともとゴミになっていたものを資源として再利用しているんです。

ーーそこがSDGsになっているわけですね。
【岸本公平】そうですね。サトウキビを原料にしたバガスペーパーは昔からあったんです。ただ、サトウキビを再処理して資源化するという工程が必要なのでコストが高い…。普通の紙の1.5倍はかかります。こういった脱炭素を目指したSDGsの活動として、テクノロジー系のものはほかにもありますが、どこもコストがボトルネックになっているんです。でも、サトウキビの紙にシフトしたほうが環境面からすると健全ですよね。恐らく今後は、エシカルや持続可能というキーワードを意識したり、それがスタンダード化できない企業は受け入れられづらくなるのではと考えています。僕自身、そうあるべきだなと思い、取り組ませてもらっています。

ーー今回、菊谷さんと茂本さんに白羽の矢を立てた理由は?
【岸本公平】菊谷崇さんが代表取締役を務めるスポーツアカデミー『Bring Up Athletic Society』と仕事をしたことがきっかけです。『Bring Up』は、スポーツを通じた道徳の義務教育を受託されていて、ラグビーなどのスポーツを体験させて、そこでお互いが話し合ったり、どう役割を分担するとチームが強くなるかを考えたり、チームマネジメントすることの大切さを伝えています。過去にも、総務省が5Gの実証実験を行ったときに、障害を持った方が社会参加しやすいようにDXを活用した企画を行ったのですが、その際もご一緒させていただきました。

【岸本公平】茂本さんは、7、8年前に彼が海外でライブペイントを行ったときに応援させていただいたことがきっかけです。茂本さんは、もともと墨絵のライブペイントに津軽三味線と尺八、EDMの音楽やエンタメを融合する活動をされていました。墨絵といった日本文化は、外国人もすごく興味があるコンテンツです。お寺に写経ってあるじゃないですか。あれも外国の方はすごく興味を持っているのですが、字のうまい下手がわかりづらいんですよ。であれば、墨絵ならわかりやすいし人気もあるだろうと思って声をかけました。

監修した元日本代表主将・菊谷崇さん(左)、躍動感ある墨絵を描いた、墨絵アーティスト・茂本ヒデキチさん(右)
監修した元日本代表主将・菊谷崇さん(左)、躍動感ある墨絵を描いた、墨絵アーティスト・茂本ヒデキチさん(右)


【岸本公平】前回のラグビーのワールドカップにまつわるイベントに、僕もプロデューサーとして参加していたのですが、こういうことって恐らく一過性で終わりがちだと思ったんです。そこで、どう残していくかという課題に向き合い、このプロジェクトを立ち上げました。でも始動直後は、周りを大きく巻き込むことができない。だから、小さいことからコツコツやっていこうということで、『Bring Up』のロゴを入れた墨絵のプリントTシャツを作ったんです。収益事業とは考えず、「収益はドネーションに充てましょう」と意気投合したのが、菊谷さんであり、茂本さんでした。それを僕が取りまとめさせていただいたというわけです。ただ、今回のラグビーワールドカップは自国開催ではなかったので、何か日本らしさを発信しないといけないと考え、日本が誇るものを表現するということで墨絵にスポットを当てました。

ーー日本には有名な神社がたくさんありますが、なぜ下鴨神社を選ばれたのですか?
【岸本公平】日本のラグビー人口は10万人弱いるとされますが、そのルーツは京都の下鴨神社の『雑太社』にあるんですよ。そして下鴨神社には、森と歴史文化を守る「糺の森財団」という財団があり、その評議員も務められ、下鴨神社の執行役で氏子総代も務めている方が、文化を通じて日本の魅力を発信したり、日本文化を守り続ける活動に理解を示して下さり企画を推薦していただけました。下鴨神社さんからも「スポーツや文化、教育は次世代につながっていくのでやってください」と強い後押しをいただけました。さらに、菊谷さんの学生時代の恩師で日本ラグビー界のレジェンドの坂田好弘氏が以前、下鴨神社の第一の地顕彰会の会長を務められラグビーの振興にご尽力されています。その想いを菊谷さんが受け継いでいます。

日本ラグビーのルーツとされる、『雑太社』の社
日本ラグビーのルーツとされる、『雑太社』の社


ーー実現にあたって苦労したことはありますか?
【岸本公平】強いて言うなら、コストの高さを周囲に理解してもらい、調整するところですかね。ただ、この御朱印は4、5年前からしっかり準備して整えていたプロジェクトなので、ほとんど苦労はありませんでした。こういった、SDGsが根底にあるプロジェクトは、エシカルな意識を一人ひとりが高めていって、消費することに対しての付加価値を理解することが大切になってくるんです。そこに掛かるコストをしっかり算出したうえで、経済的なステークホルダー(利害関係者)には調整・理解していただいています。ですから、下鴨神社さんも、最初はコストについて「そんなにコストが違うんですね!?」と驚かれましたが、循環型の社会モデルに対して理解がある神社なので、ご協力いただけました。付加価値を社会実装させるためには、必要コストが大切なのかなと思います。これまでなかなか実装できていなかったのは、そこにコストが合わないからではないでしょうか。

【岸本公平】ただし、初めてのことですし、コストも掛かっているので、万が一に備えて、まず限定という形でスタートしましたが、おかげさまで好評につき継続が決まりました。下鴨神社さんも非常に前向きに捉えてくださり、ラグビー神社でもある「雑太社」の隣の臨時授与所を常設の案内所として建設していただくことが決まりました。日本ラグビーの歴史関連の展示の見学や御朱印の授与がいつ参拝に訪れても可能になります。さらに、御朱印の初穂料の一部をラグビーの振興にあてていただいているんですよ。この取り組みは海外の方が参拝に来た際に、神社を接点とした日本らしいラグビー振興の方法として興味を持っていただけると確信しています。次回2027年のオーストラリア開催のときはもちろんですが、再びワールドカップを日本に誘致する動きもあるようなので、そのときはもっと成熟した形で取り組めるはずです。

ーー御朱印をいただく参拝者は、SDGsの取り組みについても学ぶことができるのですか?
【岸本公平】もちろんメッセージを発信することで、御朱印をいただいた方にも付加価値への理解が浸透するはずです。神社では“御札を返す”という資源循環が、古来より行われていますよね。サーキュラーエコノミーって、実は神社の文化の中にもあるんです。神社側としても、再訪、リピートの可能性や参拝動機の創出にもなるし、最終的にはそういった資源化にもつながります。ですからラグビー御朱印は日本文化のやり方を踏襲しつつ、資源循環を行っていることになります。

「ラグビーの興味を広げることにもなるし、神社への参拝の動機にもなる。そして再資源化の取り組みにもつながります」と、御朱印が持つ循環性をアピールする岸本さん
「ラグビーの興味を広げることにもなるし、神社への参拝の動機にもなる。そして再資源化の取り組みにもつながります」と、御朱印が持つ循環性をアピールする岸本さん【撮影=樋口涼】